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接触

1942年1月25日午前8時

トラック島北東850キロ海域



アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊旗艦超弩級戦艦ユナイテッドステーツ艦橋


「電文です。『我、敵艦隊を発見せり。距離は貴艦隊から南西250キロ地点。』以上です」


伝令がそれだけ伝えると、艦橋を出ていった。


「艦長、進路変更。通信室、第1航空部隊に攻撃隊出撃命令」

「「了解!!」」


第1打撃部隊司令官ユリアマクレーン中将が命令を下し、艦長のエリスノアール大佐と通信参謀が復唱した。



通信参謀は早速、艦内電話で通信室に命令を伝えていた。


「進路変更、南西2−2−4」

『了解、進路変更。南西2−2−4』


エリス大佐の命令が操舵室に伝えられた。


「艦長、砲撃戦は任せましたよ」

「ご安心下さい。私とこのユナイテッドステーツが負けるわけがありません。私とユナイテッドステーツが負ける時、それは弾切れの時だけです」

「まあまあ、強気ね。応援してるわよ」

「ありがとうございます」


ユリア中将は笑みを浮かべると、外に目をやった。


(せいぜい頑張るが良いわ。強気なのも今のうちよ。)



ユリア中将は小さく笑った。










大日本帝國海軍連合艦隊第1機動艦隊旗艦超弩級空母大和艦橋



「長官、こんなに接近して良いんですか?」


第1機動艦隊参謀長松田直人少将が尋ねた。


「大丈夫よ。敵の主力TBDデバステーターは航続距離1000キロ。SBDドーントレスは1200キロ。F2Aバッファローも1200キロよ。250キロまで接近しないと、敵の司令官は航空部隊を出撃させないでしょ?何せ航空部隊はろくな訓練をしてないのよ?」

「それに、私達だけでなく。ロイヤルネイビーもいますからね。彼等も戦いたいでしょうし」


司令長官中野真知子中将と艦長飯島奈美大佐が、松田参謀長の質問に答えた。松田参謀長は2人の息の合った話し方に、目を白黒させるだけであった。


『艦橋、こちら通信室。敵偵察機の通信を聞きますか?』

「聞かせてちょうだい」


すかさず飯島艦長が艦内電話を取り、要望を伝えた。


『では。[敵機動艦隊は、IJNGF(大日本帝國海軍連合艦隊)主力と思われる。]これが第一報です。次が接近してからの通信です。これは面白いですよ。[緊急!!緊急!!IJNGF主力は全力出撃の模様!!繰り返す!!IJNGFは全力出撃!!敵旗艦と思われる空母は約300メートル!!繰り返す!!ユナイテッドステーツより巨大だ!!]相当慌ててますね』

「そうね。貴女は軍を辞めても、宝塚で活躍できそうね」

『子供の頃の夢は、タカラジェンヌでしたから』

「その夢が叶うと良いわね」

『ありがとうございます。それでは失礼します』


飯島艦長は受話器を元に戻した。


「確かに宝塚に入れそうね」

「はい」


中野長官の言葉に、松田参謀長は頷いた。


「彼女は自分の夢よりも、家庭を優先したみたいです。宝塚の入学金はまだまだ高いですからね」


飯島艦長は悲しそうに呟いた。


「確か入学金は年間1000円でしたね。それじゃ無理ですよ」

「1000円もするの!?」


中野長官は松田参謀長の言葉に驚いた。何せ帝國では普通の会社員で年収450円である。官吏でも年収580円だ。宝塚には財閥のお嬢様位しか入れないのであった。


「金持ちの道楽ね」


中野長官は呆れ顔で吐き捨てた。


「確かにそうですね」

『艦橋!!零警(零式艦上早期警戒機)より緊急電です!![敵航空部隊通過。戦闘機60機、攻撃機45機、爆撃機45機。推定速度200キロ。1時間以内に接触する恐れあり。]以上です!!』


松田参謀長の声を掻き消すように通信室からの報告が入った。


「来たわね。全航空部隊出撃よ!!」


中野長官が勇ましく命令した。







大日本帝國海軍連合艦隊の保有する全ての空母が今回の海戦に参加している。全空母艦載機は合計2830機にもなる。驚くべき数である。2割は偵察機と早期警戒機が占めるとしても、脅威的な数字だ。小国なら大和級1隻で壊滅させられる威力を持っていた。しかし大日本帝國は断じて無意味に他国侵攻・占領を行う意思は無い。この兵力は世界最大の強敵アメリカ合衆国と対峙する為に、磨きに磨かれた海鷲なのである。今その海鷲が強敵を打ち砕くべく、母艦から蒸気カタパルトによって次々と射出されて行くのであった。










大日本帝國帝都東京皇居図書室


「山本、久し振りだな。良く来た」


天皇陛下は部屋に入って来た山本五十六総理に、微笑みながら声をかけた。



「お久し振りでございます」

「最後に会ったのは、開戦報告の時であったな」


天皇陛下は椅子を指差した。山本総理は最敬礼をして、椅子に座った。


「山本よ。海軍はどこまで進んだ」

「現在、トラック島沖北東海域に展開しております。ロイヤルネイビーも連合艦隊に続いております」

「余は今でも日米開戦を悔やんでおる。誠に残念な話だ」

「御意」

「しかしアメリカ合衆国は何故、日本に戦争を仕掛けて来たのだ。余はそれが分からぬ。中国は蒋介石が統治しており、日本との関係も良好だ」

「アメリカ合衆国はそれが気に入らないと思われます」

「日本が中国と仲良くするのがか?」

「御意」

「亜細亜民族で団結するのに、アメリカ合衆国は反対なのか」

「アメリカは世界を己の支配下に置きたいのです。かつて日本が国連に『人種差別撤廃法』を提出した時も反対しました」

「それは余も覚えておる」

「アメリカ合衆国は有色人種を人間と見ていないのです。世界を支配した暁には、有色人種は奴隷として利用しようと考えているのです。現にアメリカ合衆国では未だに黒人奴隷が存在します」

「なんと。未だに黒人奴隷が存在するのか!?」

「南部でそれは多いです」

「余はアメリカ合衆国大統領にその事も申し出よう」


天皇陛下がそう言うと、若い侍従が部屋に入って来た。その侍従は紅茶セットを2人の前に置くと、一礼して立ち去った。


「山本よ」

「はっ」

山本総理はティーカップを置くと、姿勢を正した。


「連合艦隊はもともと、防御型に造られたものだ。日清・日露の頃から変わってはならん、国防の基本なのだ。それが太平洋まで出撃して、無理ではないのか?」

「確かに日清・日露の頃までは無理だったかもしれません。それは戦艦主役の時代だったからです。しかしながら、空母を主役と考えるようになって、遠くへ打って出る事が可能になりました。我が海軍連合艦隊の空母は『大和』『武蔵』『信濃』『長門』『陸奥』『金剛』『比叡』『榛名』『霧島』『扶桑』『山城』『伊勢』『日向』『赤城』『加賀』『蒼龍』『飛龍』『大鷹』『沖鷹』『神鷹』『隼鷹』『龍鷹』『千鷹』と23隻を数えました。これら正規空母がもし沈められた場合を想定し、戦時艦船急速建造計画を推し進めております。戦時艦船急速建造計画では超弩級空母大和級に迫る大きさの空母を3隻、正規空母大鷹級の戦時簡易量産型空母を10隻、軽空母10隻、重巡洋艦20隻、軽巡洋艦30隻、駆逐艦60隻にも及ぶ大建造計画です。現在海軍工廠のみならず全国の造船所で急ピッチで建造が進められています」

「そのような数の船を量産出来るのか?」

「鈴木商店が『連続部分建造』を確立しまして、全国の造船所はそれを採用しております」

「それで大量生産が可能なのか」

「海上保安庁の護衛艇も大量生産しております」

「海軍は日本の主力となる軍隊である。お前が常々言うように『海軍あっての日本、日本あっての海軍』だな」

「誠にそうでございます」

「期待しておるぞ」

「はっ」


山本総理は椅子から立ち上がり、最敬礼を行った。








次回は航空部隊同士の空戦から始まります。

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