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バトルオブブリテン4

『離陸した陣風艦上戦闘機は搭載した2000馬力を発揮する新型の排気タービン過給器エンジンを最大限に活用して、急上昇を見せた。その上昇速度はその当時では世界最高水準の能力であり、世界のどの国の戦闘機でも真似する事は不可能であった。見学していた大英帝国空軍省幹部は呆気にとられて、陣風艦上戦闘機の上昇を見ていたのだ。その大英帝国空軍省幹部に塚原司令官は陣風艦上戦闘機の武装を説明したが、その重武装に更に大英帝国空軍省幹部は驚いた。陣風艦上戦闘機の武装は25ミリ機関砲2門に13ミリ機銃6門、そして50キロ噴進弾14発を搭載しているのである。

この当時の王立空軍ロイヤルエアフォースでは考えられない程に、圧倒的な重武装であった。その重武装を誇る陣風艦上戦闘機が迎撃高度に到達すると、フランス陸軍航空隊の大編隊が近付いてきた。フランス陸軍航空隊は戦闘機であるBf-109を中心にJu88とJu188の2種類の軽爆撃機を大量に飛行させていた。そのフランス陸軍航空隊の大編隊の更に上空から、陣風艦上戦闘機は逆落としに攻撃を仕掛けた。各機は両翼に装備する50キロ噴進弾を一斉に発射し、それら噴進弾はことごとくがJu88とJu188に命中し大爆発を巻き起こした。その合間を陣風艦上戦闘機が通り越したが、1回の噴進弾の発射でフランス陸軍航空隊の大編隊はズタズタに引き裂かれていた。

慌ててBf-109は迎撃を行おうとしたが、陣風艦上戦闘機の速度と旋回能力に追い付かず次々と撃墜されていった。それは圧倒的性能差となった。見学する大英帝国空軍省幹部は目の前で繰り広げられる光景が、全く信じられなかった。そこに塚原司令官が更に説明を行い、現状噴進弾は着発信管である為に敵機に直接命中させなければならないが、大日本帝国本土でら近接信管を開発中でありこれが実用化されれば直接命中しなくても敵機を探知して噴進弾が爆発し被害を与えられる、と語ったのである。更に近接信管は連合艦隊の艦艇が搭載する10センチ両用砲以上の艦載砲用の砲弾にも装備する事が決定しており、そうなると防空性能は飛躍的に向上すると見込まれていた。そして塚原司令官は噴進弾に誘導装置を組み込み、[誘導弾]に発展させる事が最終目標だ、とも語ったのである。

塚原司令官の言葉に大英帝国空軍省幹部は、もはや言葉が見つからなかった。それを見た塚原司令官はジェット戦闘機烈風については説明しない事にした。それについても説明すれば、卒倒しかねないと判断したのである。そんな会話を続けていると、上空で行われていた空戦は既に終了していた。陣風艦上戦闘機の圧倒的な性能の前に、フランス陸軍航空隊はまたしても全滅したのである。その光景を全て見届けた大英帝国空軍省幹部は、陣風艦上戦闘機を制式採用する決意を固めたのであった。』

小森菜子著

『欧州の聖戦』より一部抜粋




1942年4月2日。フランスは政府としての正式表明として、大英帝国本土空襲を無期延期するとした。この知らせに大英帝国政府をはじめ、国民は歓喜の声を挙げた。フランスとの航空撃滅戦に勝利したのである。ロンドンタイムズはその一面に航空撃滅戦の勝利を報じた。だが大英帝国王立空軍と大日本帝国海軍航空隊は、[無期延期]とのフランス政府の表現に注目していた。フランスは諦めていないのである。大日本帝国海軍航空隊の戦闘機の性能に驚き、新型機を開発するかもしれなかった。更に大英帝国本土には未だにフランス・オランダの合同陸軍が健在だったのである。まだまだ楽観視する事は出来なかった。

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