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帝國連合艦隊〜史上最大の空母艦隊出撃!!〜  作者: 007


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潜望鏡が見た物

1942年1月15日午前9時

ジョンストン島北方250キロ地点


「総員戦闘配置!!」


伊400―28潜水艦の艦内に、艦長の声が響く。



「大した数ね」


第3潜水戦隊司令官中村美代子大佐はそう呟いた。


「戦艦が20隻以上、巡洋艦と駆逐艦も大量ね。アメリカ様は金持ちですわね。空母は3隻しか見えないけど」


中村司令官が潜望鏡から離れると、艦長の須藤由紀中佐が潜望鏡を覗いた。


「確かに凄い数ですね。我が国にあれだけの戦艦を量産出来る経済力はありません」

「だから海軍は戦艦から空母に主力の座を変えたのよ」

「どういう意味ですか?」須藤艦長は潜望鏡から離れると、中村司令官に尋ねた。


「考えてみなさい。戦艦はその主砲口径が命よ。敵が私達より口径の大きい主砲を装備した戦艦を建造すると、私達はその口径より更に大きい戦艦を建造しないといけないわ。そうすれば敵もまた、私達より更に大きい主砲を装備した戦艦を建造する。私達はそれより大きい主砲を装備した戦艦を建造する。キリがないわ」

「確かにそうですね」

「そうなれば『八八艦隊計画』のような、無謀な計画が罷り通るようになるわ」

「はい。皇国も一度はそれを計画しました」

「だけど空母ならどう?敵が重防御の戦艦を建造しても、攻撃機や爆撃機を大量に搭載しているから手数は多いわ。もし打撃力が足りなければ、艦載機を新型に更新すれば良いわ。空母は大和級や長門級・大鷹級なら発展性があるから、戦後20年はそのまま使えると思うわ」

「確かに便利ですね」

「そうでしょ?航空機の開発も一朝一夕に出来る物じゃないけど、量産となれば中小企業数百社が稼げるわ」

「戦艦建造だけでは無理だった、中小企業も儲けられるわけですね」

「そういう事。一種の公共事業ね」

「先見の明があった、そうなりますね」

「アメリカ様は戦艦に拘ったツケを、この戦争で払う事になるわ。艦長!!雷撃用意!!」

「了解!!」



須藤艦長は素早く命令を伝える。


「雷撃用意完了!!」


艦内電話を片手に水雷長が須藤艦長に伝えた。


「30秒で雷撃用意完了」

「全自動装填装置のおかげですね」

「艦長、準備は良いかしら?」


中村司令官は潜望鏡を覗きながら須藤艦長に聞いた。


「はい。何時でもどうぞ」

「いくわよ……」

「………」

「……囮魚雷発射!!」

「1番発射!!」

「1番発射!!」


中村司令官の命令を下し、須藤艦長が復唱して水雷長に伝える。水雷長はそれを艦内電話で魚雷発射管室に伝えた。その直後に魚雷発射管から囮魚雷が発射された。


「海龍発射!!」

「海龍発射!!」


中村司令官が腕を振り下ろすと、須藤艦長が復唱した。それを水雷長が魚雷発射管室に伝える。


「急速潜航!!」

「急速潜航!!ベント開け!!」


須藤艦長の命令を航海長が復唱する。伊400―28潜水艦はその体を海中深くに沈めた。









アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊


現在、世界最強海軍・世界最強艦隊・世界最強戦艦の三冠を達成している海軍は世界中でも、アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊だけである。第二次ダニエルズプランを完成させた、アメリカ合衆国海軍は太平洋の覇権を賭けて大日本帝國と激突した。しかし今のところ、大規模な海戦は行われていない。西海岸付近で完熟演習を行っており、太平洋艦隊がオアフ島パールハーバーに進出したのは昨年来12月30日の事であった。アメリカは気付いていないが、パールハーバーに太平洋艦隊が進出していなかった為、大日本帝國海軍は真珠湾奇襲を中止せざるを得なかった。そのおかげかは分からないが、大日本帝國と大英帝国は予定よりも早く、東南亜細亜地方から米蘭軍を叩きだした。1月5日の事である。大日本帝國海軍連合艦隊と大英帝国東洋艦隊は、現在トラック島に集結しており、決戦の最終準備を終え待機している状態である。







太平洋艦隊第1打撃部隊旗艦超弩級戦艦ユナイテッドステーツ艦橋



「第3打撃部隊旗艦ノースカロライナより入電です。『魚雷接近、回避行動に移る。』以上です」


伝令はそれだけ言うと、艦橋を出ていった。


「なるほどね。それが面舵の理由ね」


第1打撃部隊司令官のユリアマクレーン中将が呟いた。


「しかしあんな丸分かりの魚雷を発射するとは。敵はやはり貧乏所帯ですね」


ユナイテッドステーツ艦長のエリスノアール大佐が笑いながら言った。


「問題はそこじゃないわ。僅か15キロ先の潜水艦に気付かなかったソナーが問題なの。もしかすると私達の行動は、連合艦隊に筒抜けかもしれないわ」

「まさか、偶々ですよ。貧乏海軍ですから、空母しか建造出来ないじゃないですか。アメリカ合衆国海軍に敵は存在しません」

「………」


ユリア司令官はエリス艦長の言葉を無視して、双眼鏡を構えた。ユリア司令官は嫌な予感がしていた。向かってくる魚雷は僅か1発だ。それも航跡がはっきり見える。もしかして囮なのではないのか?ユリア司令官がそう考えていると、嫌な予感は的中した。突如として巡洋戦艦ワスプの左舷から巨大な水柱が現れた。その高さはワスプの艦橋を超えていた。


「……ひ、被雷!?」


砲術長が驚きの声をあげる。いや、絞りだしたように弱々しい声である。


「何故なの!!魚雷は回避したはずでしょ!!」


エリス艦長が我を忘れて叫んだ。しかしワスプは傾斜を強めていく。すでに15度は行っているだろう。


「ワスプ艦長、総員退避を命じました」


伝令が艦橋に飛び込んできた。


「ワスプが」


エリス艦長は艦長席に座り込んだ。そんな中でも、ワスプは傾斜を大きくしていく。そして遂に。


「ワスプ横転!!」


航海長の言葉に、艦橋にいた全員が防弾硝子に駆け寄った。竣工から5年も経たずに、ワスプはその体を太平洋に没した。







トラック島夏島泊地


大日本帝國海軍連合艦隊第1機動艦隊旗艦超弩級空母大和艦橋


『長官、第3潜水戦隊伊400―28潜水艦より入電です。[ジョンストン島北方250キロ地点に、太平洋艦隊を発見。海龍を発射し、巡洋戦艦レキシントン級1隻を撃沈。]以上です』


通信室直通のスピーカーからの連絡に、艦橋は拍手に包まれた。


「幸先が良いわよ」


第1機動艦隊司令長官中野真知子中将が呟いた。


「では長官」


超弩級空母大和艦長の飯島奈美大佐が尋ねた。


「決戦は近いわよ!!」


大日本帝國海軍連合艦隊・大英帝国東洋艦隊対アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊の決戦は近い。



大日本帝國・大英帝国対アメリカ合衆国。


どっちが勝つのやら?

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