バトルオブブリテン2
大英帝国本土上空では、大英帝国王立空軍とフランス陸軍航空隊の航空撃滅戦が繰り広げられていた。大英帝国王立空軍はスピットファイア戦闘機・ハリケーン戦闘機を投入し、フランス陸軍航空隊はBf-109を投入し壮絶な空中戦を繰り広げていたのである。王立空軍はスピットファイア戦闘機とハリケーン戦闘機の2 機種を投入したが、フランス陸軍航空隊のBf-109の格闘性能に対抗出来たのはスピットファイア戦闘機であった。ハリケーン戦闘機は、スピットファイア戦闘機に対して翼の構造上、重武装を搭載するにあたり幾分か有利であったのだが、それらは爆撃機や対地攻撃に効果を発揮し得たが、そういった火器を増強すると機動性と加速力、上昇力に影響を及ぼしたのである。重くなったハリケーン戦闘機はフランス陸軍航空隊の戦闘機との空戦には向かなかったが、一方のスピットファイアはBf-109と肩を並べられる存在であった。
その為に空中戦では、その機動性とコックピットの良好な視界という要因によって、フランス陸軍航空隊のBf-109戦闘機に対してスピットファイア戦闘機がかなり多くの勝利をおさめていた。だがスピットファイア戦闘機が叩き落とす以上にフランス陸軍航空隊は多数の機体を送り込んでおり、スピットファイア戦闘機も機体性能では無く機数の差によって撃墜される数は増えていた。だがそんな中でも王立空軍は役割分担を徹底し、スピットファイア戦闘機は格闘性能の高さからフランス陸軍航空隊の戦闘機を、ハリケーン戦闘機は重武装によりフランス陸軍航空隊の爆撃機を、それぞれの攻撃対象にした。
しかも王立空軍は本土上空での戦いである為に、撃墜されてもパイロットが無事であればパラシュートで脱出し次なる機体に乗り込んで、即座に空戦に復帰する事が可能だった。しかしパイロットは無事でも当然ながら機体の消耗は激しかった。その為に大英帝国政府は軍需企業に対して、航空機生産の増産を要請し軍需企業も当然ながらそれを実行していたが、生産に対しても本土航空戦は多大な影響を与える事になっていたのである。その理由はやはり空襲を受けている事が大きな理由であった。王立空軍は必死になってフランス陸軍航空隊を迎撃していたが、全てを完璧に阻止出来る筈もなく爆撃は受ける事もあった。
フランス陸軍航空隊はBf-109と同じく、ドイツからスカウトした技術者が開発したJu88とJu188の2種類の軽爆撃機を大英帝国本土空襲に投入しており、ハリケーン戦闘機の迎撃をすり抜けて着実に空襲を行っていた。大英帝国としても大日本帝国との技術交流で実用化した、対空レーダー網を整備しており航空管制も効率的に行っていたが、それでも迎撃は完璧に行えなかった。しかも大英帝国は王立空軍の航空撃滅戦のみならず、陸軍は必死の本土決戦を敢行していた。ドーバー方面の陸軍部隊を、サウサンプトンやポーツマス方面に振り向け更には北部の陸軍部隊を南下させていた。その陸軍も王立空軍は支援しなければならず、それが航空撃滅戦で迎撃漏れが存在する理由になった。
その為に大英帝国首相チャーチルは大日本帝国への更なる援軍を要請する必要に迫られた。イーデン外務大臣は既に中東オマーンにまで大軍を派遣してもらっている以上は、大日本帝国への負担が強過ぎるとして反対した。アトリー副首相も王立海軍がスカパフロー包囲網を突破してフランス海軍の潜水艦を撃破しており、サウサンプトンやポーツマスへの救援は暫くすれば可能となり、大日本帝国に無茶な事をさせる必要はないとして反対した。しかしチャーチル首相は王立海軍の救援はいつ可能になるか不確定事項が多く、大日本帝国への救援も現状の中東オマーンに展開する海軍航空隊を大英帝国本土に移動させてもらうだけであり、負担は小さいと語った。海軍航空隊の移動による制空権への影響は、大日本帝国海軍連合艦隊機動艦隊と陸軍航空隊が残る事により、影響は無いと語ったのである。
チャーチル首相の話を聞き大日本帝国に更なる部隊派遣で無く、既に派遣している部隊の移動ならまだ大日本帝国も要請を受諾する可能性があるとして、イーデン外務大臣とアトリー副首相はチャーチル首相の提案に賛成する事になった。他の閣僚達は大日本帝国の航空機の威力は先の太平洋での海戦で知っている為に、賛成していた。閣僚全員の賛成を得た事により、チャーチル首相は大日本帝国に対して海軍航空隊の大英帝国本土派遣を要請する事を決定したのである。