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帝国議会

1942年3月10日。大日本帝国帝国議会に於いて更なる戦費として『第三次追加予算』が成立した。これは210億円にも達し、陸軍海軍の更なる軍備増強と軍需企業・海軍工廠・陸軍兵器廠の生産設備投資が行われる事になった。大日本帝国は開戦以後陸海軍の予算の大部分を臨時軍事費に移行しており、大日本帝国予算は一般会計予算とは別個に臨時軍事費という枠組みを設ける事になっていた。

第一次追加予算は開戦後すぐに策定された海軍連合艦隊の戦時艦船急速建造計画を推進する為に編成され、79億円もの費用を支出する事になった。1941年の大日本帝国一般会計予算は182億円であったが、その一般会計予算の半分に迫る予算が追加予算として計上されたのである。更に1942年1月に第二次追加予算が策定され、陸軍海軍の各種兵器量産と技術開発費用として99億円が計上されたのである。

そして今回の第三次追加予算において210億円もの巨額の費用が計上された。1942年度予算に於ける一般会計予算は202億円であり、一般会計と同規模になる規模であった。210億円にも及ぶ第三次追加予算により、海軍は新型艦載機の量産を推し進め空母航空隊の全面更新を行う事になった。新型ジェット戦闘機烈風の費用も計上され、海軍航空隊の新型機開発も計上されていた。更には第一次追加予算は戦時艦船急速建造計画の建造予算のみであったが、第三次追加予算では海軍工廠と民間造船所の効率化向上の為にも支出される事になっていたのである。

陸軍はなんと言っても三四式戦車を量産する為の費用が計上され陸軍の戦車を全て更新するという並々ならぬ決意をしていた。その為の効率化向上に軍需企業を支援する費用も計上され、東條陸相の熱の入れようが表れていた。更に歩兵火器の一〇〇式機関短銃の量産費用と、新型自動小銃・機関短銃・軽機関銃開発費用が計上されていた。海軍と同じく陸軍兵器廠の効率化向上の為にも費用が計上されており、第三次追加予算は純粋に軍備増強だけで無く軍需企業・海軍工廠・陸軍兵器廠の生産設備投資にも費用が計上される事になっていた。これは山本総理兼海相と東條陸相が力を注ぐ事にした事項であった。

特に山本総理兼海相は駐米大使館付武官時代の経験から、アメリカ合衆国の生産力を目の当たりにしており大日本帝国の生産力向上を重要視していた。1937年5月31日林銑十郎内閣が内閣総辞職となった事により、次期首相選定で昭和天皇は海軍穏健派の米内光政海軍大将を希望した。大命降下により内閣総理大臣就任を打診された米内大将は、自分よりも適任者がいるとして当時の海軍次官であった山本五十六中将を推薦した。元老や陸軍も特に反対はしなかった為に山本五十六海軍次官が大将に昇進すると共に、新たに内閣総理大臣に就任し海軍大臣も兼任する事になった。山本総理兼海相は陸軍大臣に軍官僚としての能力が高く『カミソリ』の異名をもつ東條英機を求め、陸軍がそれに応えて東條英機が大将に昇進して陸軍大臣に就任する事になった。

そして山本総理兼海相と東條陸相は協力して大日本帝国の国力向上に取り組んだのである。国内産業育成を重視し補助金や設備投資を行い、重厚長大産業を徹底的に育成した。その結果は如実に表れ、粗鋼生産量は開戦前の1941年に2000万トンを超える数値を記録し、GDPは1000億円(1ドル=2円であり500億ドル)を突破していた。アメリカ合衆国は粗鋼生産量3980万トン、GDPは1014億ドルであった。粗鋼生産量とGDP共に半分にまで迫っていたが、それでも倍の国力を有する大国と大日本帝国は戦争に突入するしか無かったのである。

その為に第三次追加予算での軍備増強と軍需企業・海軍工廠・陸軍兵器廠の生産設備投資は大変重要な意味を有していたのである。

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