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合衆国の憂鬱

1942年3月1日。アメリカ合衆国首都ワシントンのホワイトハウスでは対策会議が開かれていた。内容はフランスによる大英帝国本土侵攻による状況の変化にどう対応するかであった。中部太平洋海戦(大日本帝国呼称トラック島沖海戦)でアメリカ合衆国海軍太平洋艦隊が完敗してから、アメリカ合衆国は太平洋での活動を停止せざるを得なかった。戦艦7隻を含め59隻が撃沈されたのである。更に海軍が世界に誇る超弩級戦艦ユナイテッドステーツが、大日本帝国海軍に拿捕されるオマケまで付いていた。這々の体でハワイまで逃げ帰った太平洋艦隊は整備を行う必要があった。あまりの太平洋艦隊の規模に大日本帝国海軍連合艦隊の攻撃は一部に集中し、撃沈された59隻以外はほぼ無傷であった。

だが完全なる無傷という訳にはいかず弾片や爆沈した艦艇の破片により、多少の損傷は受けていた。しかし小破にすら達していない艦艇の状態では整備自体は早々に完了し、アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊は再出撃が可能となった。だがその出撃は大統領府と海軍省からの命令で無期延期となり、アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊は対空兵器増設の改装工事を行う事になった。中部太平洋海戦での大日本帝国海軍連合艦隊の空母の威力を見せ付けられ、更には太平洋艦隊の空母を全て沈められた現状では各艦艇の対空戦闘能力の向上が最優先事項であった。

だがそれを行うにはパールハーバーのドックだけでは到底全ての艦艇を改装出来ず、アメリカ合衆国本土の西海岸や果てはパナマ運河を通航し、東海岸まで送り返す必要があった。アメリカ合衆国の威信を掛けて改装工事は行われたが、それに並行して巡洋戦艦エセックス級の空母への改造が全力で行われていた。幸い1番艦と2番艦は上部構造物の建造前であったので早急に改造が可能で、更には新型正規空母の建造も進められた。

しかしアメリカ合衆国の工業力や技術力・資金力をもってしても新型正規空母がそう簡単に建造出来る訳も無く漸く設計図が完成したばかりであった。それに加えて空母だけで無く艦載機とパイロットについても最優先で整備が進められた。先の中部太平洋海戦で艦載機は大日本帝国海軍連合艦隊の物より、2世代は遅れていると判断された。此れは絶望的だった。空戦ではアメリカ合衆国海軍太平洋艦隊の空母航空隊は一方的に叩き落とされ、撃墜出来たのは戦艦や巡洋艦・駆逐艦の対空兵器であった。艦載機の新型への早急な更新が求められた。

そしてその機体を操縦するパイロットの養成も大量に行わなければならず、やる事は山のようにあった。新型機開発は航空会社各社に要請が出され競争試作を行わせ、開発と同時に量産ラインを準備する事になった。パイロット確保策も選抜徴兵制で徴兵した者や志願者の大部分をパイロット養成に振り向けた。だが全てに於いて時間が必要であった。新型正規空母も新型機もパイロットも魔法が使える訳じゃないので、一瞬で建造・開発・生産・養成が終わる訳では無い。海軍省は最低半年間は時間が必要だと結論付けていた。

その間の太平洋で大日本帝国海軍連合艦隊にどう対抗するか悩んでいたが、大日本帝国海軍連合艦隊が大挙して中東に派遣された事を掴むとアメリカ合衆国の安堵感はとてつもなく大きかったのである。

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