緊急閣議14
東條陸相はアメリカ合衆国への無差別戦略爆撃についての説明を終えると、席に着いた。だがその淡々とした説明が、逆に無差別戦略爆撃の悲惨さを表していた。だが戦争終結の為の非情な手段を採用すると決めた以上は、それは遂行しなければならなかった。少し沈痛な空気となったが、それを変えるために東郷外務大臣が口を開いた。東郷外務大臣はヨーロッパ侵攻に連合国各国は兵力を供出しており、アメリカ合衆国本土上陸作戦にも兵力を供出すると表明していると語った。
それは大日本帝国にしては非常に有り難い事であった。陸軍も選抜徴兵制により大規模な増強を行っており、120個師団まで増強していた。この陸海軍共に大軍拡を行っていたが、それは選抜徴兵制による『経済力維持優先』を山本総理兼海相と東條陸相が、共通認識として採用したうえでの規模だった。山本総理兼海相と東條陸相は大日本帝国の人口が約1億1千万人である事から、経済力維持優先の選抜徴兵制により動員可能人口を500万人としていた。これにより大日本帝国は大規模な生産体制を維持出来ていたのである。しかも陸軍は連合軍により人口が多い中華民国と、影響圏にある満州帝国に師団編成を任せる為に人口に比しての過度な負担はせずに済んでいた。
その代わりに大日本帝国は連合国各国に対して大規模軍事援助を行い、役割分担を行っていた。これによりヨーロッパ侵攻という大規模な作戦が実行になったのである。だがそれは賀屋大蔵大臣と岸商工大臣が奔走する程に、予算と資源を必要としており大日本帝国経済には過度な負担となっていた。
開戦から約2年半が経ち、ジワジワと長期戦の弊害は出始めて来ていた。その為に賀屋大蔵大臣は口を開くと、遅くとも1946年までには戦争終結をしないと大日本帝国そのものの経済が崩壊してしまうと語った。それまでにヨーロッパとアメリカ合衆国の二正面作戦を終わらせるのが肝要だったのである。
それに関しては東條陸相はG計画が順調であり新型爆弾は、今年中には実用化出来る可能性があると語った。そうなるとヨーロッパとアメリカ合衆国に大打撃を与えられる為に、戦争終結の一助にはなると思われた。これまでの話を聞いた山本総理兼海相は、アメリカ合衆国本土への無差別戦略爆撃で打撃を与えつつ遅くとも11月前後には上陸作戦を実行すると語ったのである。




