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勾玉柄のスカーフ
今市内を見下ろせる公園で夜景を見ている。
一番最後尾のベンチに座り彼は呟いた。
もしここで食べるとしたら何が食べたい?
彼女は逆に質問をしてきた。
貴方なら?
彼は答えた。
⌈ラーメンかな?⌋
彼女は言った。
「私なら肉まんだわ。多分熱々のほっかほっかをフーフーしながら食べたいから⌋
彼は両親の出会いのエピソードを思い返した。親達は別れてしまったが、きっと出会った頃はこんなにも温かい出会いだったのだろうと。
改めて出生について追及せずに生きて行こうと彼は密かに思い直した。