座禅
私はまたなんだか嫌な予感がしたが、黒髪がまだ比較的まともであったために、少し安堵していた。
二人よりはずっと信頼できそうだ。
「そなたは姉たちから大変な迷惑を被っているからな」
知っているのかこいつ。
「だから少し保護しようとここに連れてきたのだ」
ん?待てよ、しかしあのとき私は裸ではなかったか?
と自分の格好をみると、
「忍者!?」
忍者だった。
「我は見てないからな、あ、あれ」黒髪が赤くなる。
って見たのか黒髪っ!
「見てないと言ってるだろうが!」
物凄い剣幕で怒る黒髪。私はたじたじになり、
「……はい、わかりました」
あっさり折れた。
考えたことまで読まれてしまうなんて。
「で、その」
「なんだ」
と黒髪。
「保護されるって一体どこで?」
「ばかいうな。ここに決まっているだろうが」
黒髪が当然という顔をしたが、
「寝具がないのですが」
部屋には椅子とテーブルくらいしかなく、それにかなり狭かった。
「座禅だ」
とここですっとんきょうなことを申し上げる黒髪。
「我はいつもそうしている」
ざ、座禅……。
徹底したマニアだなコイツ。
私は座禅で寝れるのか心配になりつつ、しかし自信満々な黒髪をみると、もしかしたら本当にできるのかも、と思いもした。
まあやるだけやってみよう。
黒髪はというと、
もうすでに座禅を組んでいた。
ダメなら床で寝ればいいし。
そうして私は軽い気持ちで座禅に挑んだのだった。