奇妙な食べ方
しばらくして、ようやく準備が終わり、アクバルとルカとリリ、それから500人ものメイドがテーブルについた。
しかし、ルカが見渡すと、まだ誰も食べようとしない。
何でだ?、とルカが考えていると、アクバルが大きな声で、
「では、みなさんご一緒に!!」
その声を合図に、
「「「「いただきます」」」」
一斉に皆が食べ始めた。
ルカは、つくづくこの国は変だ、と思いながら、目の前の刺身を皿に盛った。そう和食もあるのだ。アクバルはうれしそうな顔でミソ汁を飲む。
「うまい!このミソスープっ!」
ここではそう呼ぶらしい。
リリはというと、
上品にナイフとフォークで何かを食べている、だろうなと思ってルカは目を移そうと、
ドスン。
なにやら大きな音がリリから聞こえる。
な、なんだと思って
見ると、
このリリはスプーンもフォークも箸も使わず、
刃渡り20センチくらいの包丁で、そのまま七面鳥を食っているではないか。
「なんだその食い方はっ!」
思わず声をあげる。
周りのメイドも驚いている。
さらに、リリの隣に座っていたサラはよほど驚いたのか、失禁していた。
他のメイドに連れて行かれるサラ。
かわいそうに、大泣きしている。
「えっ、どうなさいましたご主人様」
リリが何でもないといった感じで返す。
「いや、それ、その豪快な食い方はちょっと」
するとすこし不満そうなリリ。
「わたし、こうじゃなきゃ食べられないんです」
ここで、ララは、というと、少し離れた場所にいた。
こちらはまだ普通の食べ方だが、フォークで突き刺して食べるあたり、どこか似ている。ただ、ララの場合、食べるスピードがかなり早い。
アクバルが口を開いた。
「まあまあ、いいじゃないか。あまり気にしなくてもさ」
彼だけは呑気である。彼も好きなようにバクバク食べている。ちなみに今食べているのはトンコツラーメンだ。
ルカはリリの恐ろしい食べ方が気になりつつも、まあ異国だしこういうこともあるか、と思ったのだった。