ホール
ホールについた私は、これまた国会議事堂みたいなデカい部屋に驚かされた。
この国はどこからこんな予算が出るのだろうか。
先が見えないほど長いテーブルには、
数々の和洋中華の料理が並ぶ。
珍しいものだ。
今までいくつもの国を訪れたが、ここまでレパートリーの豊富な料理が並んだのは見たことがない。
ホールでは何百ものメイドがせわしく働いていた。
ララの姿も見える。
で、私は一体、どこに座れば、
と思っていると、遠くで
「おーい」
と呼ぶ声。
間違いなくアクバルだ。
手招きしているようだ。
私はリリの手をつかみ
「行こう」
といって、王の元へ向かった。
○ ○ ○
アクバルは
やあやあ、などと言いながら私を迎えた。
「どうだい。さっきのお楽しみはっ」
このこの、とか言いながらつつくアクバル。
「色男だね。あはは、現代の在原業平かなっ?ははは」
すごく楽しそうである。
とここで、「ルカ様、とても欲張りなんですよ」
とリリ。
「胸は、ひとつじゃ足りないみたいで、」
「こらあーっ」
余計なこと言いやがる。
「あはははっ、まったく、男というのは欲張りなものさ」
こんだけメイドを抱えるアクバルが言うのだから説得力があるな。「ところで王様。私はどこに座れば」
あー、とアクバル。
「どうしょうかな、じゃあここでいいんじゃない?」
ポンポンと隣の席を叩く。
そういえば不思議なことに王様もメイドも同じテーブルで食べるんだな。
「僕ちんの趣味さ」
げっ、聞こえてたのか、ってかこれは脳内だぞ。
「僕はね、メイドを見ながら一緒に食べるのが好きなのさ」
いいのか悪いのかよくわからんが。
しかし、アクバルがあまり身分など気にしてないらしいことはわかった。
第一、半袖短パンは威厳すらない。