勝敗
記憶が戻ったとき、
いや今回はそれほど気絶していなかったみたいだ。
さきほどと同じようにララとゴスロリがいた。
しかしなんだか言いあっている。
「リリは早くあそこに帰りなさい!」
「お姉さまの言うことなどもう聞きません」
お姉さま?
聞き違いだろうか。
「ダメ!コイツは私が処理するんだもの」
「渡しませんわ。わたしが一生奉仕します」
なにがなんだか……。
「あのぉ」
一応アピールしてみる。
「あによっ」
ララが睨んでくる。
リリと呼ばれたゴスロリは素早く私の元に駆けつけ、
「もう痛い所、ありませんか?」
優しい……。
「そんな変態、井戸に放りすててしまえばいいのよ」
もうララは嫌いだ。
そしてリリが
「では最後におまじないで大丈夫ですね」
と言う。
おまじない?
「気絶したときのおまじないです」
と言って、リリは、
「……ちゅ……」
私に、口づけを……。
「あーっ!!」
と言って急いでララが私を蹴飛ばした。っておいっ!
「ばか、何してるのよっ!」
「旅人さんの唇、姉さんより先にもらったわ」
すると
「へんっ!」
ララが誇らしげに胸をそらすではないか。
「あたし、もうコイツとキスしたから」
がーん、という音声が聞こえてきそうだった。
リリは本気でショックを受けていた。
「でも、わたし胸も触ったいただいて」
「甘いわ。あたしなんか揉みしだかれて、乳首までなめられたわい」
だいぶ脚色がついているが、それでも、リリはまた絶句して、床に膝をつけて負けた、というポーズ。
対照的にララはすごく満足そうだ。
「もうわたし、死にますっ」
と叫んだのはリリである。
「どうぞ、ご自由に、負・け・犬・さん」とララ。
こいつら一体何の勝負してるんだよ……。