お楽しみ
男はまた不思議に思う。
牢屋を出てから長い回廊を経て、階段に至ったのだが
またその階段が長いのだ。
しかも上りだから余計に疲れる。
ひいひい言いながら登る男。
ニコニコなアクバル。
作者が大好きなゴスロリ。
もう500段は登っただろうか。
とっくに普通のビルなら頂上の高さであるのだが。
「あと少しだぞ、旅人」
まだあるのか、
と男は気が重くなった。
そして、
「頂上だぞ!」とアクバル。
「や、やったあ」
男は喜びの声を上げる。
三人の前にはこれまた5メートルはあるかという巨大な扉。
アクバルがパチンと指を鳴らすと、またまた自動的に開いた。
男は、私もやってみたいなあ、と思っている様子。
アクバルはそのまま進んだ。
数々の豪華な装飾の間を通り過ぎ、
さらに長い回廊を渡った後、ようやく目的地についた。
「ここだぞ」
「ここかあ」扉はそれほど大きくなかったが立派なものである。
ただし扉には汚い字で
「たびびとのへや」
と書かれたホワイトボードがあり、興ざめであるが。
ホワイトボードを取り上げて、アクバルは扉を開けた。
「きみの部屋だ、好きに使っていいぞ」
中へ入ると、
これまた麗美なタンスやらテーブルやらソファーや絨毯、ワインセラーまである。
高級ホテルもかなわないほどの美しくしつらえた部屋。男は感動がこみ上げてくる。生きてて良かったぜ、豪華な部屋にメイドつき。
そう思いながら、
部屋を見渡すと、ふと、新たに扉を発見した。
「王様、あれは?」
「ああ、見てくるといい」
アクバルがそう言うので、男は一人で見に行った。
そして、扉をあけると、
「……」
バタンとしめる男。
「なんですか!これは」
嬉しそうにアクバルは答える。
「夜のお楽しみルームだ」
その部屋は、
全体がピンクで装飾され、
ジャグジーがむき出しで、
用途不明な椅子や、鞭、ボンテージや手錠、ローションやらが散乱して、中央にキングサイズのベッドがあった。
もう一度扉をあける男。
「ここで……、ねろと……」
唖然とする。
「うん、そうだ」
やけにうれしそうなアクバル。
「……きゃっ」
顔を赤らめて、口を抑えるゴスロリ。
男はなんだか複雑な思いで、部屋を見つめるのだった。