罵倒
一体どんだけだよ。
それにアクバルがそう言ったあとメガネはピタッと泣き止み、
「チッ」
とか言ったし。
実はもしかしてここヤバい所なんじゃないだろうか、というか絶対ヤバい。
「まあまあこの子以外でどうぞ」
「殺したいィーっ!!」
と言ったのはさっきまでか弱い女の子を演じていたメガネである。
恐ろしい……。
あんまりここから選びたくなかったが、仕方ないので、また探そうと目を移すと、
「あっはーん」
ヤンキーがM字開脚をして、こちらを向いていた。
「あなたのおいしそうなバ・ナ・ナ、ちょうだい」
さっきとは打って変わった色っぽさ。
ブラジャーをはみ出させて、人差し指をなめている。
……絶対裏がある。
だから無視した。
じゃあ消去法で
「この子にします」
ゴスロリを指差した。
「なかなかいい趣味だよ、きみ」
とアクバル。
「お前ぶっ殺すっ!」
と叫んだのはヤンキーである。
やはり正解だったらしい。
ちょっと安心した。
そしてアクバルがパチンと指を鳴らすと鍵が勝手に外れ、
中からゆっくりとゴスロリが出てきた。
ゴスロリはスカートをつまみながら
「精一杯お仕えします」
と丁寧に頭をさげた。
……かわいい。
それに上品である。
「じゃ、行きますか!」とアクバル。
ちょっと嬉しく思いながら、私はアクバルとゴスロリと牢屋を後にした。
背中で二人の激しい罵倒が聞こえたが気にしない。
ゴスロリは、といえば、私のTシャツの端をつまみながら、不安そうに後に続くのだった。