選択
「そうだチバニーズよ」
アクバルが言った。
「ジャパニーズです」と男。
「悪い悪いツダヌマン」
「なんで津田沼まで知ってるんですかっ!」
気にせずアクバルは言う。
「さっき君の部屋作ったから今日はそこに寝ていいよ」
さっき……?
と男は不思議に思ったが、きっと言葉の彩だろうと疑問を押し込めた。
「ありがとうございます」
えーと、とアクバル。
「それで、一人二部屋ルールだからさ、えーと」
また謎のルールが発動するらしい。男は頭を抱えた。
「あと一人をどこからか調達しなきゃ、あ!」
また閃いた様子。
「いいこと思いついたよ僕ちん♪」
なにやら満足げである。
「ここから一人連れていこう」
ちなみにこことは牢獄である。
「え……」
少し驚きを隠せない男。
「でも、ここは」
「大丈夫。ここにいるのは大して悪い奴じゃないから」
男は今気づいたのだが壁にA級犯罪者と書かれたプレートがあった。
「犯罪者はAからFまであって、えーと、確かFが凶悪だったような気がする」
男はなんだかすごく不安だったが、まあ確かに胸を触るくらい軽いもんだよな、とか思いながら視線を逸らすと、ゴスロリがくすくす笑っていた。
男は不思議に思うも、すぐ会話に戻った。
「じゃあ私が選んでもいいですか」
「もちろんさ、お好きにどうぞ」
男が牢屋を見渡すと、実は50部屋くらいあるらしいことに気づいた。それになんだか、全体的にすごく物騒な人が、たとえば口が裂けていたりとか、歯をカタカタさせている骸骨とか、骸骨!? などなど。
まともなのはさっきまで見ていたこの3人くらいのようだった。
「さあ、選べ。ただしお一人様一点限りだぞ」
とアクバル。
男は誰にしようかと彼女らに目を移すと、
メガネっ子が泣いていた。
「ぐすっ……うっ……」
あまりにもかわいそうで男は思わず彼女に指をさそうとしたが、その瞬間メガネメイドはニヤリと笑った。
「ひいいいい」
ただならぬ笑いであった。
とここでアクバル。
「あー、このメイドはそういえば人を700人くらい殺してるから止めた方がいいかも」