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妖奇退魔夜行・逢坂蘭子  作者: 神崎理恵子
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序章・蘭子登場

 大阪市阿倍野区阿倍野元町5-16。

 熊野街道沿いに安倍晴明神社あべのせいめいじんじゃがある。

 安倍晴明公は、天慶7年(944年)、この地に生誕し、のちに天文陰陽推算の術を修め、「葛の葉子別れ」の伝説で広く知られている。


 この物語は、その安倍晴明が活躍した世代から、約十世紀余の現代にはじまる。


 草木も眠る丑三つ時。

 安倍晴明神社からほど遠くない所にごく普通の住宅がある。

 その二階の一室で眠る一人の若き少女。

 本編の主人公であり、枕元には先祖代々受け継がれた妖刀を収めた小柄が、夜の闇に怪しげに輝いている。

 名匠長曽弥虎徹が鍛えた御守懐剣の一つである。


 少女の名は、逢坂蘭子。


 安倍晴明の血筋に繋がり、陰陽道の妖術の使い手でもあったが、その寝顔を見るにつけてもごく普通の女の子にしか見えない。

 それもそのはずで、近くの大阪府立阿倍野女子高等学校に通う、今時の女子高生なのだから。


 窓のカーテンは開け放たれており、夜を照らす月の光が差し込んでいる。

 その月を真っ黒な雲が覆い隠し、物音しない夜の空間に闇を作り出した。


 と、突然だった。

 枕元の小柄が、微かに震え始めた。

 その小柄に向かって、白くて細い指先が伸びて、それを掴んだ。


「妖気……」

 異変を感じて目を覚ました少女は、あたりに漂うただならぬ気配を感じ取っていた。


 何も言わず、静かに寝巻きを脱いで裸になる少女。

 そして和箪笥から、この時のための装束である巫女装束に着替え始めた。

 巫女装束は、少女にとっては戦闘服でもあった。


 巫女装束に着替えた少女。

 彼女の名前は……。


 陰陽退魔士「逢坂蘭子」


序章 了

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