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天使の僕が悪魔に恋をした話  作者: コインチョコ
一章
16/16

15 修行を始めましょう


天照大神様を奉る地、三重県伊勢市伊勢神宮内宮に移動しました。

僕らが移動したのは、神様が存在する【()()()】の内宮だ。

裏世界とは、今言った通り神様が住まわれる現実の裏側の世界で、表世界からは裏世界には干渉できない。

その逆の裏世界からの表世界への干渉もできない。

唯一、神様だけが裏から表への干渉ができ、この絶対領域から髪だけの異能である神通力で災害や疫病や飢饉、戦争から人々を守り、又はそれらを起こしてきた。

これを習ったとき、まだ小さかった僕は「神様なのに人に危害を加えるの?」と思ったけど、神話を知るにつれて、ろくでもないことをする神様をたくさん知り、神様って大体そんなもんかと思うようになった。


当然、裏世界は一般人は勿論のこと、天使や妖怪でも滅多に出入りできない場所だ。

だって、その裏世界の所有者に招かれなければ入ることなんてできないからね。


「我はここで待つ。中に入れ」

「はい。ご案内ありがとうございました」

「幸運を祈る」


内宮には昔、一度だけ来たことがある。

父さんと一緒に表の方の内宮と外宮を観光した思い出。

もうほとんど記憶にございません状態だが、とにかく来たことがある。

あの日は人で賑わっていた。

あ、お土産屋さんで饅頭買ったんだっけな。


話変わるけど、天魔町は未だに続く魔界と繋がりやすい日本の土地の一つだ。そこで大悪魔や熾天使が暴れたとなれば、日本の神様も動く。

それとも、僕と黒崎さんの関係についてだろうか。


人界側の神話は千年戦争と天魔大戦から魔界を嫌っているだろうから、魔界から人界を守るべき天使の僕が、魔界の女の子と恋愛なんてやってれば裏切り者扱いされてもおかしくないわけで、不安だ。すごく不安だ。

まあ、でも、何とかなるかな。


気を抜くと落ち込みそうになる。

でも理由のないポジティブは僕の専売特許だ。

気楽に行こう。


建物の中に入ると和服の美女が座布団に座って僕を待っていた。


「よく来たのぅ、ミカエルの子よ。まあ座れ」

「あ、はい。失礼します」


この女性から漲る威圧感、プレッシャー、気迫。

断言し難き不思議なパワーを感じる。

自然と頬に冷や汗が伝っていく。


この女神様としては、ただそこに居るだけで、僕が萎縮しているだけで、僕のことを威圧しているつもりはないのだろう。

天使の僕は、生まれついての本物の神様には本能で従うようにプログラムされている。

ただ、平服してどんな命令にも従いたくなる。

これが土地神とは違う、本物の神話神様の威光なのか。


「そう固くなるな、ミカエルの子。楽になれ」

「ぁ、はい……」


そうは言われてもガチガチに固まった体は言うことを聞いてくれないです。

正座するだけでもかなり時間が掛かった。


「クックック、緊張しているようだな。聖書最強の熾天使の息子でも、やはり半分は人の子だな」


肩を震わせてくつくつと笑うのは、なかなか様になっている。


「妾は天照大神。お主に用があってな、弟に迎えに行かせたのじゃ」


羊羹をつまみながら優雅にお茶を飲む女神様。

ゆっくりしていて、なかなか本題に入ってくれそうにないから、恐れ多いが僕から話を切り出すことにした。


「あの、それでどういったご用件でしょうか?」

「お主の町で起こったことについて、積もる話があってな。それで、唯一所在が分かったお主を呼んだのじゃ」


ヤバイよヤバイよ。冷や汗が止まらないよ。


「お主、悪魔と、かの町で暴れただろう?あの町の土地神から連絡が来ていたぞ。お主も関わっておるそうじゃな。」


全部じゃないけど殆どはバレてる。正直に話そう。


「はい。僕はこの件に確かに関わっています」

「そうか。では、話せ」

「実は――――」


ありのまま、全てを話した。

悪魔教団に襲撃された日から起きたこと、父さんとバルログさんのいがみ合い、バルログさんに襲われたことを全て。


「そうか。だが、全てを把握していないな」

「まさか、父さんも?!」

「そうだ、お主の父もお主の思い者を襲っていた」

「そんな!黒崎さんは無事なんですか!?」


鏡はあまり見てないけど、今鏡見たら真っ青だと思う。


「無事だぞ?今のところはな」

「今のところってどういうことですか!?」

「お主の父は、思い人を天界に幽閉しようと試みている」

「それじゃ、黒崎さんは死んじゃうじゃないですか!!」


悪魔にとって天界に満ちている清浄な光は魂を蝕む猛毒となる。

黒崎さんが本当に父さんに捕まったのなら、もう時間はない。

あと二月もしないうちに、黒崎さんは魂まで消滅してしまう。

今すぐに助けに行かなきゃ。


「で、どうするつもりじゃ?」

「どうする、とは?」

「このけじめをどうするつもりなのだ?」

「バルログさんと父さんを止めます」

「お主ごときの力でか? それに、時間はもうないぞ?」


またクツクツと笑う。

僕、バカにされてるの? 怒ってよくない? 相手神様だしやめろ。

僕じゃ父さんにもバルログさんにも勝てないのは事実だし黙っとこ。

せめて黒崎さんもいてくれれば、一人ずつ倒すこともできたかもだけど、今は僕一人だ。僕がなんとかするしかない。


日本神話の神様に頼るって発想はない。


だって、この国の神話は自然と摂理の化身だ。

僕らの人や人外の一個人の都合で動くことはまずない。


協力してもらおうと思ったとこで無駄なのだ。


そう思っていただけに、次の天照様の言葉には心底驚いた。


「だから、我々がお前に力を与えてやろう」


僕はその言葉の意図も意味もわからずに唖然としていると、別の神様が部屋の襖を派手に開けて入ってきた。


「天照よ!!そいつが件の天使混じりか!!」

「え、どちら様ですか?」

建御雷神(たけみかづちのかみ)。この国の軍神じゃ。今からお主の師となる神でもある」

「え?」

「よし着いてこい、混じり者の人間よ!!俺が鍛えてやる!!」

「へ?」

「うむ。精進しろ、ミカエルの子よ」

「ええええええ!!!???」


こうやって僕が連れ出されたのは、富士山麓の樹海だ。

建御雷神様は、この国の軍神で雷神。

北欧のトール様と並ぶ雷の使い手だ。


「ここでお前を一月と半月鍛える。天使混じりのお前を強くしてやる」


混じり、混じりって、しつこいなぁ。確かに天使混じってるけど。日本神話ではハーフのことをそう呼ぶの?


「安心しろ。俺の修行とお前の潜在能力なら、一月あればお前の親父も、ばるろぐ? とかいう悪魔も超えられるぞ」


買い被りすぎじゃないかな? 僕にそこまでできるのか?

まあ、するしかないんだけどね。


一月でミカエル、バルログ超えかぁ。まともじゃないね、


でも黒崎さんのためならやる。彼女には僕の命だってあげてもいいんだから。


「よろしくお願いします。建御雷神タケミカヅチノカミ)様」

「うむ。その心意気や良し、これから地獄を見せてやろう」


これから1ヶ月、僕の地獄の修行が始まるのだった。




「つまらない」「主人公キライ、気持ち悪い」とかでもいいから感想を恵んでくださいですじゃ

もう心が折れそうですじゃ

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