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ハッピーエンド

代価と利益

作者: 佐田くじら

よろしくお願い致します。

「やあ、こんにちは。ここの住人さんかな?」


「そうですけど…」


「僕、吸血鬼なんだ!きみ、美味しそうだね‼」


「…」


仕事から帰ったら、家の前でヤバいヤツに絡まれた。


「あっ!君、女の子なのに今変なこと考えたでしょ‼もー、駄目だよ…」


バタッ


…数年ぶりに女の子扱いされたとおもったら元気にセクハラしてたはずのヤツが倒れた。


えっと、このスキに帰って良いかな? …駄目か。




「はっ。ここは?」


起きるとき漫画みたいに"はっ"とか言うやつはじめてみたよ。


「普通に病院ですね」


「なんで!?」


「倒れたからですかね」


「君の血を飲ましてくれるだけでよかったのに。」


「それは、丁重に却下ですね」


「どうして!?」


「代価が無いからです」


「そういう問題!?」


「世の中、ギブアンドテイクですよ」


「代価払えば血をくれるの!?」


「嫌ですよ、気色悪い」


「駄目じゃん!じゃあはじめからそう言いなよ!!」


「ソーデスネー」


「反省の色が見えない!!ていうか、じゃあ何で僕を助けたの!?」


「ビジネスチャンスだと思ったので」


私はずいっと前に出る。


「手元を見て下さい」


「…ん?…ってなにこれ!?」


「手錠ですね」


「なんで!?」


「貴方が犯罪者だからです」


「どゆこと?!貴方って…えっ僕!?」


「ここ、私と貴方しかいないじゃないですか。」


「確かに!…じゃなくて。何で僕が犯罪者?!」


「貴方は出会い頭に私にセクハラ発言をし、私に精神的苦痛を与えました。さらに…」


「ぜ、前提がおかしい!アレはセクハラじゃないってば!」


「そんなのはどうでも良いんですよ。…おっと本音が」


「どうでも良いならいいじゃん!僕を釈放して!?」


「要点はそこじゃないってことですよ。…貴方は私の医療機関を受診したにもかかわらず、お金を払って無いんですよ。」


「そりゃ今まで寝てたからね?!…わかった、払うよ。ここは、君のお店だったのか。まあ、勝手につれてこられて理不尽だとは思うけど、お世話になったなら代価を払わないとね。」


「…払えないと思いますよ。」


「え?何で?ああ、僕が吸血鬼だからここのお金は持ってないっておもったの?大丈夫、ちゃんとここのお金も持ってるよ‼」


「いえ、違います。そんな簡単な問題じゃありません。」


「え?じゃあなに?ていうか、簡単??」


「それなら換金すれば良いでしょう。じゃなくてですね…代金が馬鹿にならないんです。」


「…んん?どういうことかな?」


「治療費が、百回宇宙に行けるくらいの値段なんです」


「…何でそんな高いの?!…もしやここは闇医者…」


「やめてください、人聞きの悪い。…否定はしませんけど」


「ちょっと、小声で不穏なことが聞こえたんだけど!?」


「まあ、多分、気のせいじゃないですか。」


「誤魔化し方、適当!」


「良いんですよ。それで、治療費の内訳ですが…」


私は息を吸い込む。


「まず貴方の身体が貴方の言うように明らかに人間じゃなかったことに加えて貴方の症状は栄養不足。点滴を打って良いのかわからない上に、何を食べさせれば良いのかもわからない。さらに、貴方の症状は保険適用外なので…まあ、貴方が保険に入っているのかは知りませんが…なので、治療費全額自己負担。おまけに、…」


「う、あ、わ、わかった、もう良い…。とにかく、治療が大変だったのはわかった!」


「あーあ、せっかく長々説明したのに。まあ、貴方、言動からして賢くはなさそうですもんね」


「…う、うるさい!それより、払えるかもしれないのに手錠するのは、横暴すぎるだろう?!」


「払えるんですか?」


「払えませんよ‼」


「じゃあ、代価ですが…」


ごくり。目の前の吸血鬼が息を飲む。

…この人、すっかり私のペース飲まれてるな。可哀想に。


「貴方の身体を提供してください。」


「…は?」


彼の顔が真っ赤になった。…ええ?。


「そ、それって…け、けけけ結婚みたいな…?」


「な訳無いでしょう」


見ず知らずのヤツにそんなこと言うわけ無いだろう。

…ん?まてよ…。


「良いですね、結婚!!この際もう永遠の愛を誓っちゃいましょう!死が二人を別つまで、ですよ!」


「なななな何を…」


「とにかく、私は貴方たち吸血鬼の身体の仕組みが知りたいんですよ」


「そっちかよ?!いやいや、そんなんで結婚するなよ‼」


「しますよ、結婚!研究者体質なめんな、ですよ!」


異種族が世界に馴染みつつあることは知っていたが、まさかこの目で拝めるとは!きっと今、私の瞳は子供のようにキラキラしてるはずだ。


…いや、ギラギラ、か?


「さあ、治療費、払えますか?払えませんよね?!なら、この書類にサインを!印鑑は、拇印で良いから!」


「新手の詐欺みたいだな…というか、それは婚約届け!?何故こんなタイミングで婚約届けがあるんだよ‼」


「備えあれば、憂いなし、ですよ!さあ早く!」


「ええい、あとは野となれ山となれ、だ!」


こうして私たちは結婚した。人からは、変わってると言われる。

しかし、子宝にも恵まれ、私たちは幸せだ。


彼の実家がかなりお金持ちで、少し無理すれば治療費が返せたことは、最近知った。まあ、もうどうでも良いことだろう。



ああ、人生って、何が起こるかわからないなぁ。

ありがとうございました。


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