表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

8・未来の伊織

「こ・・・ここって・・・」


「3年後の詩織の家だよ。どうなってるか、見ないと分からないんでしょ?」

私はちょっと強めに言った。

わかってるけど、強めに言わないと、詩織は成長できないと思う。


「伊織ちゃんの部屋どこ?」

「・・・わ、私と同じだけど。その2階の・・・」

窓が見えて、そこを指さす詩織。


「行こ」

ときは詩織の手を引っ張った。


「あれ?伊織は・・・?」

詩織は部屋に入って、きょろきょろとあたりを見回した。

「私・・・この中学行ってるんだ。制服がある・・・」

詩織の制服は、市立の受験なしで行ける中学の制服だった。

伊織ちゃんのところにかかっている制服は・・・


「どこの制服・・・?これ・・・それに、すごくほこりかぶってる・・・」

詩織がそっとほこりを払うと、校章?らしいマークが見えた。

「ここ、すっごく頭いいところだよ。私立わたくしりつの」

「えぇ!?伊織、そんな勉強してたの?」


詩織はびっくりして、伊織の席を見つめた。


「・・・でも・・・どうしてこんなほこりかぶってるの?」

「・・・いやな予感がする」


私はそう言って、詩織にたずねた。

「今は夜の7時だよね。さっきご飯の器が机に置きっぱなしだったし・・・でもね、器が、3人分しかなかった」

「3人分・・・ってまさか・・・」

「多分、詩織、お母さん、お父さん、でしょ?・・・伊織は?」


詩織は青ざめた。

自分の体が中学生になっているのを確認してから、下へかけていった。



「お母さん!!」

「わっ!!何よ、詩織。どうしたの?」

「い、伊織は!?伊織はどこにいるの!?」


「何言ってるの?」


お母さんは悲しそうに、目線をそらした。


「・・・どうして?どうして答えてくれないの!?」

「一週間前に出ていったじゃない!!家を!!」


詩織はつかんでいた手の力を弱めた。

「・・・え?」

「こんな家、もう出ていくって・・・学校なんてつまらないものも、家なんてうざいとこも、もう絶対に行かないって・・・一人で生きてくって、言ってたんじゃない」

「・・うそ」



詩織はぺたんと座り込んだ。

陰からそっと見ていたときは、じっと詩織を見つめた。


「とき!今すぐ戻って!!現代に!伊織に謝らなきゃ!!!!」


詩織はときにしがみついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ