7・時計の針を進めよう!?
「・・・きのう、変なとこ見せちゃったことでケンカになって・・・それで・・・」
「ちょっと!やばいよ!」
「絶交って!」
いつメンが叫び声をあげるので、詩織は「しーっ!」と言った。
「静かにぃ!」
「もー、仕方ないか・・・」
ときが時計を取り出したので、いつメンはびっくりして、ときを見つめた。
「と、とき?まさか時間を戻すの?」
「ううん、違うよ。進めるの」
「・・・進める!?」
ひなが叫んだ。
「進めるって!?未来に行くの!?」
「うん。このままだとどうなるのか、見に行くの」
「ど、どうなるって・・・」
詩織はおびえるような顔をして、ときを見つめた。
「・・・どうしたの?詩織?」
「・・・怖いよ・・・」
「怖い?」
ゆいかが尋ねると、詩織はひなの後ろに隠れながら言った。
「・・・このままだとどうなるのか・・・私のせいで、伊織が何かあったら・・・?それとも、私と伊織の関係が・・・とか・・・怖い」
「じゃあ、伊織に今すぐ謝ってきたら?」
「・・・それは無理」
「ほらぁ。現実を見ないと、できないことってあるからさ、人間」
ときは時計の針を進めた。
「やめて!」
詩織が叫ぶ。
「やめてっていうなら、そうなる前に謝ってきてよ!」
ときも叫び返した。
「いや!見たくないよ!ずっとこのままとか、伊織がどこかにいなくなっちゃうとか・・・そんなバッドエンドだったらどうするの!?」
「未来なんてわかんないんだよ?もしかしたら謝ってるかもしれないし」
「そんなわけない!今ここで謝らなかったら、もう一生謝ってないよ!!」
「・・・分かってるんじゃん」
のあが言った。
「え?」
「分かってるんじゃん!今ここで謝らないと、もう一生謝れないって!そしてバッドエンド迎えるんだって、自分でわかってんじゃん!」
「・・・」
「謝れるよ?今ならまだ間に合うよ?それともバッドエンドの未来を見てからじゃないとだめなの?」
「・・・」
「先生がよく言ってる・・・怒鳴られないと分かんないのか!ってさ。怒鳴られないと分かんない?詩織も」
「・・・」
「謝ってきなよ!詩織・・・」
「いや!やだ!無理!私が伊織に謝ることなんてできない!」
「・・・なんでそんなにかたくなに謝ろうとしないの?」
ときが尋ねると、詩織はこう答えた。
「私が悪いんだもん。全部私が悪いくせに自分から謝ったら、そんなのますます嫌われちゃうよ・・・それに今の伊織は、人のこと信じられなくなっちゃってるし・・・」
詩織の言葉を聞いて、ときは時計の針を進めて、杖でチョンとみんなに触れて、ボタンを押した。
「・・・え?」