6・伊織はひとりぼっち
「・・・お母さんからそう言われた伊織は、信頼してくれているって思ってたのにって、その日一日中泣いてて。さすがにやりすぎたかなって思った。でも謝る気はしなくて・・・」
詩織はため息をついた。
「伊織は頭いいから、私がわざとやったってことが分かってた。で、そのころから私を避け始めて。・・・当たり前のことだけどね。家で笑わなくなって暗くなった伊織は、クラスの友達の前でも暗くてイライラしているような感じだしちゃって・・・それで、友達がいなくなって」
「・・・それで・・・誰のことも信じられなくなっちゃったの?友達のことだって、信頼してたのに、これだけで離れていくんだ、って?」
「・・・うん。ときって、勘いいよね」
詩織は下を向いた。
「私は今こうして友達ができて・・・あの頃はそれが夢だった、今の私たちみたいな状態を夢見てたんだよね」
「・・・」
「だけど・・・伊織が誰のことも信じられなくなって・・・友達なんていらないって言った時に、私、泣きそうになって・・・」
「・・・うん」
「友達になろうって言われても、必死に暗い自分を作って友達になりたがらなかった。・・・でも今更謝れない・・・!お願いとき!時間を戻して!!」
そういう詩織の顔は、今にも号泣しそうだった。
「・・・ごめん」
「え・・・」
「私ね、あんまり力は使わないって決めてるから。・・・自分の力で解決できることなら、解決した方がいいし」
「でも、それができないから――――」
「本当にそう?伊織が殴られそうになってた時。助けようとしてたんでしょ?あの時、どうして助けにきたの?」
「・・・それは・・・」
「伊織のこと、好きなんでしょ?その気持ちがあれば、謝るのなんて簡単なはずだよ。魔法なんていらない」
「・・・」
詩織は黙り込んだ。
「・・・じゃあ、せめて・・・」
「せめて?」
「その・・・伊織が殴られそうになった時に。そのちょっと前に・・・そこまで戻らせて・・・」
詩織が涙目で言うので、ときは考え込んだ。
「・・・みんな、どう思う?」
「・・・?みんな?」
詩織が顔を上げると、ひな、のあ、りりかにさら、それにゆいかが立って考えていた。
「・・・いつから・・・」
「最初から聞いてた。全部ね」
「言わせてもらうと・・・別に、今謝ったって全然だいじょ―――――」
「大丈夫なんかじゃない!!」
詩織が叫んで、いつメンが固まる。
「・・・ど、どういうことなの?詩織ちゃん」
「・・・わ、わた、私・・・・・・・・・・・・昨日伊織と絶交しちゃったんだもん!!!」
「「「「「「・・・・・えぇぇぇぇ~~~~~~~~~!!!!??」」」」」」