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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
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到着

さぁ、開拓地に向かって出発だ! だがその前に、このシオリスの町を上から眺めてみよう。

地上はあちこち歩いているが、上から町全体を見るのは勿論初めてだ。

どんな眺めかなー。見ろ! 人がゴミのようだ! とか言ってみようかな……ん? 

下を見ようとしたらゴーレムの脚に何かが……右脚に黒いワイヤーのようなものが巻き付いている。

その先を見るとワイヤー(らしきもの)はノワールの胸? の部分から出ている。長さは20~25mぐらい。


そして左脚には……手? これ、シュバルツの「手」じゃないの?

しかも手だけで、その手から伸びたやはり黒いワイヤーらしきものがシュバルツの右手首に繋がっている。何だこりゃ。


えーと、お前達、そうやってずっとぶら下がっていくつもりなのか? シュバルツはともかく、ノワールは自分で飛べるだろ……これ、シュバルツの方は危険じゃないの? 万が一落ちたらどうするんだよ。落ちても平気なのか?


シュバルツからは問題無い、みたいな雰囲気が伝わってくるけど、本当か?

もしもの時はノワールが助けてやれよ?


(たぶん)重たい筈のゴーレム2体をぶら下げているというのに、MK-Ⅲは力強い上昇を続けている。

はっ!? しまった! 上からシオリスの町をじっくり見ようと思っていたのに、ゴーレムズに気を取られているうちに上昇し過ぎてしまった。今、どれぐらいだ? ……高度は1000mぐらいありそう。

下を見ると「人がゴミ」どころか、全然見えない。上がり過ぎだ。


機体の高度を下げようとして、考え直す。

もともと町を出たら高度1000mぐらいまで上昇するつもりだったし、町全体を見るのは帰って来た時でいいか。


そのまま東へ進路をとる。すぐに東門がある「壁」の上空を通過するが、何も感じない。

結界があるんじゃなかったのか? 上昇の過程ですでに抜けていたのか、でも特に何も無かったような……外へ出る時は関係無いのか?


町を出て、上空から街道を確認する。

これぐらいの高度からだと遠くまで見通しが良くて、地図の形と照らし合わせるのも容易だ。


ティルトローターを水平方向へ移行。加速を開始する。



水平飛行に入ってしばらくして、シュバルツとノワールの動きが何かおかしい事に気が付いた。

最初は大人しく曳航されていたのに、今は上下左右に動きまくっている。

跳ねるように大きく上昇したり、流れるように横へスライドしたり……この動き、どこかで見た事あるような?

……あぁ、思い出した。これ、「水上スキー」の動きにそっくりだ!


勿論スキー板など使っていないが、シュバルツもノワールも風に当たる自分の体の向きや角度を変える事で空中を自由自在に動いているように見える。

何だか楽しそう……つまり、お前達は遊んでいるのだな? 


俺もやってみたいなーと思いかけて、慌てて首を振る。落ち着け、俺!

あれは「空中スキー」だ! リスクが大き過ぎる。失敗したら死にかねない!

ノワールやエクレールに助けてもらう前提で遊ぶ、というのも何か間違っている気がするし。


まずは水上スキーから始めるべきではないだろうか? 幸い既に水中用ゴーレムはあるのだ。

全然出番の無かった試作アルファを使えば(たぶん)安全に水上スキーができるのでは? そうだ、そうしよう。


暇な時に試してみようと考えていたら、MK-Ⅲが何となく後ろに引っ張られたような感じに……今度は何だよ? と思って後ろを確認すると、ついさっきまでMK-Ⅲと並行して飛んでいた筈のエクレールが、機体の一番高い位置にある「水平尾翼」に腰掛けて寛いでいる姿が見えた。エクレール、そこ、公園のベンチじゃないんだけど。


エクレールは後ろ向きに座っているので背中に付いている小さな翼が揺れているのが見える。

白銀の髪が(たぶん)時速200㎞以上の風にかき乱されている……という事は風を遮る魔法は使っていないんだな。風圧は平気なのか……使われても困るけど。尾翼が効かなくなるからな。


水平尾翼の上に座って足をぶらぶらさせているエクレールはそれなりの空気抵抗にはなっているが、飛行が不安定になる、という感じではない。

エクレールからも何となく楽しげな雰囲気が伝わってくるし、まぁ、それならそのまま腰掛けていてもいいけど。お前達、自由だな。



どこまでも高く、抜けるような青い空に、綿菓子のようなもくもくとした白い雲がたくさん浮かんでいる。

鮮やかなコントラスト。夏そのもの、といった感じの広い世界を行く俺達。


「そーらーはひろいーなー、おおきいーなー。いーいってみたいーな、よそのーくーにー」


この歌、この部分しか知らないんだよね。実際の歌詞は空じゃなくて海だけど。


「セシリアさんは他の国へ行ってみたいんですか?」


出発以来ずっと黙り込んでいたビアンカが話しかけてきた。


「国って言うか、あちこち広い世界をたくさん見てみたいな、っていうのはあるよ」


この世界、めっちゃ広いみたいだし、地球には無い風景というのもありそう。

ある程度余裕ができたら、いろいろ見て回りたいなー。面白そうだ。


「セシリアさんならどこへでも行けますよね?」


「まぁ、たぶん?」


魔力の続く限り飛行型ゴーレムでどこへでも飛んでいけるし、エクレールの背中に乗せてもらうというのもありだろう。単なる旅行としてあちこち行ってみるというのは悪くない。


「ビアンカはどこか行ってみたい所ってあるの?」


「どこ、というより自分が見た事の無い、知らない世界を見てみたいです」


「そう。それならそのうち一緒に見に行こうか」


「はいっ!」


元気が出てきたようで何より。よし、この流れで聞いてみよう。


「さっき、表情が硬いように見えたけど、何か気になる事があったの?」


「それは……」


しばらく間があったが、やがてビアンカが話し始めたのはやはり、貴族に関する事だった。


「最初は貴族の人と会う事に緊張していたんですが」


その貴族はいなかったが、貴族の、地図とコンパスだけ渡して後は自力で来いや、というやり方に思うところがあったらしい。


「セシリアさんに仕事を依頼しているのに、現地までの案内ぐらいしてもいいのではないでしょうか? 貴族だからなのかもしれませんが、失礼なのでは、という気がします」


貴族が俺をぞんざいに扱っていると感じているようだ。口ぶりから察するに……怒っているのか?


「あまりにも態度がひどいようであれば、たとえ貴族が相手だとしても仕事について考え直した方がいいかもしれません」


俺の為に言ってくれているのか。いいやつだなー。


「そうだね。これから会う貴族次第で、考えてみるよ」


領主にとってこの開拓事業は重要な筈だし、俺の機嫌を損ねるようなおかしな人間を送り込むとも思えないが、しかし、初っ端から不自然な気もしないでもない。

もしかしたら「現地集合」が貴族の当たり前? それはないか。予定変更って言ってたし。まぁ、会ってみないと判断できないな。



その後はビアンカと今までどんな所へ行った事があるのか、みたいな話をしつつ、地上と地図とコンパスを確認する作業も行う。

空からの眺めはいつ見ても素晴らしいのだが、しかし。


もう出発から1時間以上飛んでいるし、地上のほとんどは緑の絨毯のような広大な森で、その中を走る一筋の白い線(街道)が延々と続くという変わり映えのしない景色を見続けるのはさすがに飽きる。


シュバルツもノワールも空中スキーに飽きたのか、今は引っ張られるまま、まるで吹き流しのようになっているな。

エクレールは水平尾翼の上で仰向けになって寝転んでいるし……まさか、寝ているのか?

ビアンカも何だか静かだし、おい、俺以外全員寝ているなんて事は無いよな?

確かに空の上は静かで心地良くて、思わず眠たくなってしまうかもしれないけど!



コンパスの数字が目安と言っていた「40」に近づきつつある……そろそろ分岐点に到達するタイミングなのだが、あれかな?

地図と同じ地形を確認。機体を傾けて右旋回、支道の上に移行する。


確か前回はこの道をネルスス村のエイラさんと一緒に走った筈なんだよなー。

少しは見覚えあるかな? と思ったけど地上と上空からの見え方では違うせいか、いまいちわからない。


支道に入ってすぐに地上に村らしきものが見えたけど、もしかしてあれがネルスス村かな?

この高度では人の姿を確認できないけど、時間があったら帰りに寄ってみてもいいかもしれない。


そのまま飛び続けているとコンパスの数字は順調に減っていって10分もしないうちに一桁台になった。

そろそろだな……速度を落として下降する。

前方に緑の森が途切れて少し開けた所が見える。あれか?


コンパスの数字はカウントダウン状態だ……3、2、1……下を見下ろすと、森の中、小高い丘を下ったその先に四角く切り取られたように開かれた空間が。


見覚えあるぞ! この地形。間違いない、あの廃村だ! 

エクレールが大量のゴブリン達をサンダーで滅ぼしたあの光景は脳裏に焼き付いて離れないわ。

山のような瓦礫をかき分ける作業も昨日の事のように……おや? 瓦礫が無いな?


一旦村の上空を通過して、村の先にあった湖の上で左旋回。

コンパスの針もその動きに合わせるようにぐるりと回る。という事は子機を持った貴族もここに……いるな。2人。

……「2人」? 2人だけ?


廃村の前を通る道に人が2人立っているのが見えるが、上空から村全体を見渡してみても他に人影は見当たらない。どういう事?




廃村の前に着陸して「貴族」らしき2人と対面する。


「はじめまして、セシリア様。クローディアと申します。お会いできて光栄です。わたくしは水魔法を得意として、主に水源関連でセシリア様のお手伝いをします。どうぞよろしくお願いします」


お嬢様っぽい感じがする女の子が優雅に微笑みながら挨拶をしてくれる。


「はじめまして、アシュリーです。わたくしは施工の際に指示を出させていただきます。精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします」


こちらは有能な秘書、みたいな雰囲気の女性。


「はじめまして、クローディア様、アシュリー様。セシリアです。よろしくお願いします」


「『様』は不要です。クローディアとお呼びください」


「そうですか? では、私の事もセシリアでいいです」


「それはいけません」


何でやねん。フランクな感じでいこうぜ、って事じゃないの?


この2人、ツッコミどころがいくつもあるんだけど。

そう、まずは2人「だけ」ってところ。何で2人だけなんだよ?





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