表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/122

アルジェンティーナ

庭で寝ようとするアルジェンティーナの体にもたれかかって星空を見ているうちに寝てしまった。


朝、ふさふさの白い毛の中で目を覚ます。

朝日を浴びてきらきら光っているような……いや、自発光か? うっすらと光っているアルジェンティーナ。

今朝はご飯食べられるかな?



アルジェンティーナも目を覚ました。

ふぁー、とあくびをして伸びをするアル。お前、変わらないな。


「おはよう、アル」


(おはようございます! リーダー!)


「……お、おう……?」


元気いっぱいな声が聞こえた。……リーダー?



エクレールの声ではない、聞いた事のない声が頭の中に響く。

誰の……いや、どう考えてもこれ、アルジェンティーナから聞こえてくる声でしょ……


いつも通りのクールな眼差しで俺を見るアルジェンティーナ。しかし、


「リーダーって何?」


(リーダーはリーダーです!)


ハキハキとした答えが返ってくる。

これ、アルジェンティーナだよな? 見た目とのギャップが凄いんですけど。


アイドル声優みたいな可愛らしい声と巨大で迫力のある外見がまるで合っていない。表情もクールなままだし。

これが声と同じぐらい可愛らしい女の子のような外見なら違和感も無いのだが。


(わかりました!)


「何が?」


いや、何も分かってないだろ?

思考が伝わったらしいが、アルジェンティーナに「アイドル声優」も「可愛らしい女の子」も分かるとは思えないんだけど。

……そんな事より、重要なのは、


「リーダーって私の事かな?」


(そうです!)


ふむ、確かに俺はパーティーのリーダーと言えるだろう。

声の響きが幼いのでちょっと不安になったけど、これは現状を正しく理解しているという事か?

一応確認してみよう。


「なぜ?」


(? リーダーはリーダーです!)


さっきと同じ答え。

これまでのアルジェンティーナの行動を思えば「理解力」はある筈だけど。


「『従魔契約』は分かっているんだよね?」


(リーダーに従います!)


間違ってはいない。うーむ……では次の質問。


「どうして大きくなったの?」


(大きくなりました!)


「いや、そうではなくて、理由を聞いているのだけど」


(?)


分かりません! みたいな雰囲気。何かダメっぽい。

意思の疎通が出来ているようで出来ていないような? 俺の聞き方が悪いのか?

どうしたものか……


会話というか、念話が出来るようになったのは従魔契約によるものだろう。

エクレールの時と同じだな。それなら……エクレールに助力を求めよう。

同じ従魔の先輩として会話の手助けをしてくれるかもしれない。起きているかな?


(エクレール!)


(何?)


すぐに返事が来た。


(おはよう。ちょっといいかな? 庭に来て欲しいのだけど)


エクレールはすぐに来てくれた。


(従魔同士は会話できる?)


(できる)


(ではアルジェンティーナとの会話の手助けをして欲しい)


(分かった)


エクレールはアルジェンティーナと向き合うと何やら話をしているような雰囲気に……あれ? 話しているの? その会話に俺は入れないのか? 聞こえないんですけど。

さして長い時間ではなかったけど、何だろう、この疎外感。


(アルジェンティーナに言葉の意味がどの程度通じるのかよく分からないんだけど、エクレールには分かる?)


(伝える事は可能)


(どういう事?)


エクレールの説明によると、言葉ではなくイメージで伝えるといいらしい。

……今一よく分からない。

言葉を使わずにイメージで伝えるって、むしろ難易度が上がってないか?

まぁいい。とりあえずは事情聴取をしなければ。エクレールさんお願いします!


(分かった)


まずは「リーダー」について。エクレールの協力を得て聞き取った話によると、


アルジェンティーナが森の中で仲間とはぐれる → お腹が空いたので単独で狩りをする → 失敗! 返り討ちに遭う → 痛くて苦しい、と思っていたら2本足(俺の事だ!)が治してくれて、食べ物も貰えた → お礼をする為についていったら、自分がやられた相手を2本足が倒した。

(という事は、やはり相手はファングボア)


以上の事から俺を群れ(『2体』でも群れになるらしい)の「リーダー」と認めた、という流れらしい。


なるほど。

アルジェンティーナにとってはこの町に来る前から、既に俺が「リーダー」だったという事か。

「パーティー」に関する認識ではなかったが、分からなくもない。


「仲間を探さなかったの?」


(見つかりませんでした!)


「あ、そう」


常にハキハキと答えるアル。元気いいねー。



次に魔力の件。


「昨日私の魔力がごっそり減ったんだけど、アルジェンティーナがやった事なの?」


(そうです!)


そうです! じゃねーよ。

何でもハキハキ答えればいい、というものではないのだが。


「理由は?」


(リーダーがいいっていいました!)


「言ってねーよ! ……そんな覚えはないのだけど?」


(『もふもふ』しました!)


「もふもふ?」


アルジェンティーナの言っている事が分からなかったのでエクレールに聞いてもらう。


エクレールの解説を含めた話によると、ウルフの子は親、もしくは群れのリーダーから魔力を貰う事ができるのだが、その際に「もふもふ」「わしゃわしゃ」する事が「許可」を表しているらしい。


つまり、俺がアルジェンティーナをもふもふわしゃわしゃしたのは「魔力を持っていってもいい」という合図のようなものだったので、今までも魔力を貰っていたのだ、と。


「今までも? いつ?」


(寝る前です!)


全然気が付かなかった。

戦闘前や戦闘中はこまめにチェックしているが、寝る前にMP残量を気にする理由は無いからな。(一晩寝れば回復するのだから)

そういえば寝る間にはよく「もふもふ」していたが、あれが「許可」だったとは。いや、そんなの分かる訳ないわ。


「今まで」は戦闘等に配慮して、一度にたくさん魔力を持っていかないようにしていた(子供なのによく考えている!)が、「昨日」はリーダーが外に出ない、魔力はたっぷりある、と言ったのでいつもよりたくさん貰う事にしたのだという。

……確かにそういう事を言った覚えはあるな。


「それで何で大きくなったの?」


(わかりません!)


アルジェンティーナは分からないらしい。代わりにエクレールが教えてくれた。


(魔力が多過ぎて器が耐えられなくなった)


(器? どういう事?)


(器に入り切らない魔力を取り込んだ結果、器が膨張した)


「器」って体の事か……何それ怖い。


(普通はそれで死ぬが、主が魔法をかけたので生き延びた)


やはり危なかった! アルジェンティーナめ、無茶しやがって……

しかし、するとアルジェンティーナはずっとこの大きさか?


(何か問題が?)


(問題、というほどの事ではないけど)


これだけ大きいと、たくさん食べるようになるのだろうか?

幸い金ならあるから十分買えるだろうけど、買うより狩りをたくさんした方がいいかな? アルジェンティーナが自力で狩ってしまうかもしれない。


そんな事を考えていたらまたエクレールとアルジェンティーナが話をしているような雰囲気。

それって俺には聞こえない仕様なの? なぜハブられるのか……


(わかりました!)


いきなり何だよ? 何が分かったの?


アルジェンティーナがぶるっ、と体を震わせたかと思ったら何かぐるぐる言い出した!


(アルジェンティーナ?)


返事が無い。


(エクレール?)


(主の意を汲んだ)


えっ?


「ぐるぐるぐるっ!」


唸り声が強くなっているような……おい、苦しんでないか?


「ヒール!」


ぽやん。


光ってるじゃん! 何やってるの!? ……アルジェンティーナが何だか小さくなっているような……おいおい!?


「ぎゅおん!」


「おぅい!?」


何だかただならぬ雰囲気! いいのか、これ!?


「エクスヒール!」


しょわしょわ光り出す。ダメージが生じてるって事じゃん!


(エクレール、これ大丈夫なの?)


(主が魔法をかけたから大丈夫)


(おい!)


何やっているんだ本当に!? 小型化なのか? 別に無理して小さくならなくてもいいだろうに!


光が強くなっている。エクスヒールが効いているなら大丈夫な筈だけど……


やがて光が消えると……そこには「裸の女の子」がいた。


……おい、どういう事だよ?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ