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サポートしましょう

「何やってるの? お前達」



ノワール達がいる所へ戻ると、ハンター達が周辺の木々を穴だらけにしていた。


「あぁ、セシリア……テッド達は見つかったのか?」


「テッド?」


「『エヴァルスの栄光』のリーダーの名前だ」


「そうか。いや、まだ見つかっていない。その件でお前達に意見を……そういえばお前達は何て名前?」


名前聞いてなかったわ。


「パーティー名は無いよ。俺はリーダーのケヴィンだ」


「何で無いの?」


「名前を付けなければならない、なんて決まりは無いし、無くても困らないからパーティー名が無いっていうのは別に珍しくもないぞ?」


そうなのか。


「じゃあケヴィン。『エヴァルスの栄光』について意見を聞かせて欲しいのだけれど」


「何の意見だ?」


怪訝そうな表情のケヴィン。他のメンバーも集まってきた。


「どうした? 見つかったのか?」

「まだらしい。意見を聞かせろと言われたんだが」

「何の?」


「『エヴァルスの栄光』が既に狩りを終えてこの森を出ている可能性はないかな? ケヴィン達は彼等について知っているみたいだから意見を聞かせて欲しい」


「あぁ、なるほど……その可能性はあるな。連中は俺達よりずっと狩りが上手いし、この森は兎がたくさんいたから、持ち運べる限界まで狩ってさっさと売りに行っているのかもしれない」


「持ち運べる限界? それはどれくらいなの? 魔法袋は最小サイズでも相当入るんじゃ……」


「いや、俺達もそうだが連中も魔法袋は持ってない。俺達には高価過ぎて買えないんだ」


そうなのか。


「すると、彼らはシオリスの町に……」


「魔法袋が無いと町まで持ち帰る事はできないぞ? 傷んでしまうからな。だからこの森の近隣にある村へ売りに行くんだ」


「村?」


「一番近いのは『トーレス村』だ。獲物を売りに行くなら、たぶん『エヴァルスの栄光』もそこへ行っている筈だ」


ふーむ。ではその村へ行ってみるか。


「村の場所を教えて欲しい」


「川を渡る大きな橋を見ただろう? あの橋を渡って先に進んで最初の分かれ道で右へ行くとトーレス村に辿り着く。少し距離はあるが分かれ道の先は村まで一本の道だから迷う事はないし、空を飛べるのならすぐじゃないか?」


あの橋か。それなら地図はいらないな。


「分かった。行ってみるよ。教えてくれてありがとう」


「あぁ」


「ところで、周りの木を穴だらけにしているのは何で?」


「あぁ、セシリアがくれた武器の性能確認と使いこなす練習をしていたんだ」

「この武器すげーな! 簡単に穴が開くんだぜ!?」

「こんな高性能な武器持ったことねーよ!」

「ありがとうな、セシリア!」

「この武器があれば、今までよりも安全に狩りができる!」


口々に喜びの声を伝えてくれるハンターの皆さん。

……おい、くれてやった覚えなんてねーぞ!? 「貸し」だと言った筈だが。

それにそんな理由で木を穴だらけにするなよ。なんか木がかわいそう!


「木に穴が開く程度で高性能?」


「ん? セシリアは知らないのか? この木は『ドゥーロの木』と言うんだが凄く固いんだぞ? 並みの武器じゃ傷一つ付かない。少なくとも、俺達が買える程度の武器じゃ無理だ」


「でもこの戦斧や槍だと俺達でも簡単に切れるし穴を開けられる。こいつは凄いよ!」


「そ、そうなのか」


「こいつを使いこなす事ができたら、俺達でも蟹を倒せるんじゃないか……そんな風に思えるんだ」


それはたぶん可能だろう。少なくとも2人は(足を切られていたのに)結構動きが良かったし、最初に助けたハンター達よりは確実に上だろうから(サポートがあれば)倒せるんじゃないか?


「なぁ、セシリア。頼みがあるんだが……」


ケヴィンが何か言いかけたが、そこへ「マザー」を回収しに行っていたノワールとエクレールが帰ってきた。そしてノワールが俺の前に「収納」から取り出した何かをぺいっ、と放り出す。


「これは、チェーンソーゴーレム」


そういえば、こいつは「マザー」の所に置きっぱだったな。2号機もあるし、一緒に回収してくれたのか……ノワールは気が利いているね!


……あれ? Mk-IIも放置したままだったけど、そっちは回収しなかったのか。

今どうなっているんだ? Mk-IIの視覚が使えるかな?


試してみると、結構距離がある筈だが確認できた。まだ飛んでいる。旋回し続けているな。

勿体無いからこちらへ飛ばして回収しよう。


「今、何か言いかけていたみたいだけど、それは後で聞くよ。先に『エヴァルスの栄光』の安否確認をしておきたい」


「そうか、分かった」



再びエクレールに抱えられて今度は街道を目指して飛んでもらう。


少しゆっくり目に飛んでもらっているが、それでもやはり空を飛ぶと速いな!

あっという間に森を抜けてすぐに街道が見えてきた。

そのまま街道に沿って飛んでもらい、橋に到達する。


結構な長さがあるのに橋脚が一つも無い、不思議な橋の上を越えてさらに先へ進むと、「最初の分かれ道」とやらを見つけるより先に街道を歩く人影を発見した。

人数は5人。おや? もしかして?


上空から見るとハンターっぽい格好をした男達のようだが、こいつらであっているのかな? 確認しよう。


男達の前に降ろしてもらう。

突然現れた俺達に驚きつつも、素早く武器を構える5人。なかなかいい動きをしている。


「何だお前達は! ……お前、セシリア? ギルド職員がこんな所へ何の……俺達に何か用か?」


リーダーらしき男が問いかけてくる。

こいつも他のやつらも、森の中で助けたハンター達よりは多少年長かもしれない。といってもせいぜい20歳前後だろうけど。


「驚かせてすまない。人を探しているのだけど、お前達は私の事を知っているようだけど私はそちらを知らないので、名前を教えてもらえないだろうか?」


「え? あぁ、俺達は『エヴァルスの栄光』だ。俺はリーダーのテッド」


当たりだ! ……嬉しい筈なのに、なんだろう、この素直に喜べない感じ。

喜んで然るべき、なのだが。

こんなに簡単に見つかるとは、今までの苦労は一体……


「どうかしたのか?」


おっといけない、ちょっと呆然としてしまったのかもしれない。


「お前達を探していたんだ。もしかして、もう獲物を売りに行った帰りなの?」


「そうだけど、何? 兎が欲しかったのか?」


「違うわ!」


おっといけない、思わず大声を上げてしまった。こいつらは別に何も悪くないのに。

怪訝そうなハンター達に事情を説明する。


「お前達が狩りをしていた森で今、蟹が大量に発生していて、お前達と一緒に来ていたハンター達が全員蟹にやられていたので……」


「「「何だと!」」」


顔色を変えて俺に詰め寄ってくる男達。お前ら落ち着けよ。


「全員!? 全員やられたのか!?」

「嘘だろ!?」

「全滅だと!?」


「あ、違う、言い方が悪かった。やられてはいたが全員助けたから生きているよ」


「そ、そうなのか」


「お前達だけ安否が確認できなかったんだ。そういう訳なので、もしお前達がまた狩りをする為に森へ入るつもりならそれは止めておいた方がいい」


そう言うと顔を見合わせるハンター達。

雰囲気から察するに、やはりまた森に入るつもりだったのではないだろうか?

まだ昼過ぎぐらいだから時間はあるからな。


「分かった。教えてくれてありがとう。森に入るのは止めておく。あと、あいつらを助けてくれた事にも礼を言わせてくれ。みんなもう森を出ているのか?」


「まだ森の中にいる。私の仲間が守っていて、これから戻って撤収に入る」


「そうか。一緒に帰りたいから俺達は街道沿いの森の出口で待っているよ」


「分かった」



再びノワール達の元に戻ると、ケヴィン達が何やら「覚悟完了しました!」みたいな顔で待ち構えていた。


「テッド達は見つかったのか?」


「ああ、みんな無事だった。助言してくれてありがとう、お陰で見つける事ができたよ」


あとは帰るだけなんだけど、何かそんな雰囲気ではないような。


「さっきの話は何だった?」


「セシリアに頼みがあるんだ。俺達は、蟹の討伐に挑戦したい! それで、その際に俺達をサポートしてくれないか? この武器と、セシリア達の支援があれば蟹を倒せると思うんだ」


「助けてもらった上に、こんな頼み事をするのは厚かましいと分かっているんだが、頼む! 俺達はこのまま帰りたくないんだ!!」


そう言って頭を下げるケヴィン。他の4人も頭を下げている。

死にかけたというのに怖くないのだろうか? 勇気あるなー……よく見るとみんな小さく震えているような?


「怖くないの? 大丈夫?」


「怖くないと言えば嘘になる。だけどこのまま帰ればきっと、ずっと『怖い』という気持ちがいつまでも続く。蟹を倒して、この恐怖を乗り越えたいんだ」


「俺達に力を貸してくれ!」


「頼む!」


俺から見ればまだ子供と言えなくもない、若いハンター達が一端の顔で決意を伝えてくる。


「勇気」が「恐怖を乗り越える力」の事だとするならば、こいつらは今、「恐怖を乗り越える為に」勇気を持とうとしているのか。

いいだろう。


「お前達の覚悟は分かったけど、他のハンター達もいるからあまり時間はかけられない。積極的に蟹を探して回る気は無いよ。この森から撤収する途中で蟹に遭遇した場合は協力しよう。それでいいかな?」


「ああ、分かった。ありがとう」


2、3体でいいかな? たぶん、すぐに遭遇するだろう。蟹はまだまだたくさんいるだろうから。



移動時間を短縮する為にハンター達も土ゴーレムに乗ってもらう。


後ろに2人乗る5号機を2機作成。サポート用に盾とハンマーを持たせておく。

少しでもMPを節約すべく着陸させていたMk-IIも移動に使用する。斥候も、新しく作らなくてもチェーンソーゴーレムでいいだろう。


「ゴ、ゴーレムに乗るのか?」

「俺、ゴーレムに乗るなんて初めてだ!」

「乗っても大丈夫なのか?」

「潰れないか?」


「いいから早く乗れ」


先頭はエクレール。斥候役としてチェーンソーゴーレムを付けて、少し離れた距離に俺達。最後尾に2号機とノワール。



これで準備は整った。撤収開始だ!




ぶたけとん 様からレビューをいただきました。ありがとうございます!

今後も皆さんに続きを楽しみにしてもらえるように頑張っていきたいと思います!

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