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レスキュー幼女 2

「ど、どうしよう?」


うろたえるリーダー。

どうしようって、様子を見に行くしかないだろう。それ聞いて「じゃあ帰ろうか」とはならないわ。

助けが必要なんじゃないか? もう手遅れかもしれないけど。


「エクレール、この近くに蟹とか人はいる?」


(向こうにいる)


森の一方向を指し示すエクレール。


「どっち? 蟹? 人?」


(両方)


それ大丈夫なのかな。とりあえず見に行くか。エクレール、案内してね。


「蟹と人がいるらしい、お前達は……」


「お、俺達も行くぜ!」「助けるんだな!」「手伝おう」


やる気になっている3人。蟹を倒して自信つけちゃったか。

正直足手まといだけど、ここに置いていっても安全とは言い切れないし、トーチカを作って中に入っていてもらうか? ……大人しくしているかわからんな。

いいや、時間が惜しいから連れて行こう。


「一緒に来てもらうけど手伝わなくていいから、自分達の身を守るだけでいいよ。クリエイトゴーレム!」


新たに3人乗りゴーレムを作って乗ってもらう。


「こ、これに乗るのか?」「俺は前がいいぜ!」「3人乗っても大丈夫なのか?」


「早く乗れ」


ごちゃごちゃ言ってる3人を急かして出発だ。先行するエクレールの後を追う。



斥候ゴーレムの視覚で蟹と倒れているハンターらしき人達を確認。

またおいしく食べられちゃっているな。今度は何人だ? 1、2、3……5人もいるぞ!? こいつはヤバい! 急がないと!


「シュバルツ! ノワール!」


すっ飛んでいくゴーレムズ。即座に蟹をぶっ飛ばしてくれる。俺は再びレスキュー幼女にジョブチェンジだ。

どいつもこいつも手足を切断されていて出血がひどいけど、まだ生きているのか? 生きていてくれよ。死んでいたら蘇生魔法を使わなければならない。

また「魔法が使えない1日」が……勘弁して欲しいわ。口止めにも金が掛かるし。


「キュア、ヒール!」


とりあえず解毒と血止め。幸い全員まだ息があった。タフだな、こいつら。

足はそこらじゅうに転がっているが腕が見当たらない。蟹は腕しか食べないのか?


意識を取り戻したハンター達が腕や足を失った事に錯乱して叫んだり、泣き出していたりするが、ちゃんとくっつけてやるから安心するといい。


どさどさどさ。


俺が治療をしている間に気を利かせたシュバルツとノワールが蟹の腹を切り裂いて腕を回収してくれたらしい。「収納」から取り出された腕が地面に落とされる。


「ありがとう、シュバルツ、ノワール……っておい」


5体いた蟹の全てから回収したのか? 本数が多い。仕事が早いな!

それはいいのだが、腕が全部まとめられちゃったぞ!? しかもぶつ切りになっている!


どうやら今度の蟹達は腕を食べやすい大きさに切り分けてから食べていたらしい。さっきの蟹達は腕を1本丸ごと食べていたのに!

ほとんどの腕が服の袖が付いてない状態で、それらが一纏めになってしまっているからどれが誰の腕だか分からんぞ!? 


作業台を作って腕のパーツを全て並べてみる。何てグロい光景だ。猟奇殺人事件の現場か! 被害者は全員生きているけど。

大変、多いです……1本の腕が2つか3つに切り分けられているみたいだ。


どうしよう、これ? 正しい組み合わせを見つけるのに時間がかかりそう。

パズルじゃないんだからあまり時間をかけてはいられないぞ? まだ他にも救助が必要なハンター達がいる筈だし。

全員エクスヒールで再生した方がいいかな? だがその場合MPが足りなくなるかもしれない。こいつら以外にあと何人いるのか……誰かに聞いてみよう。


「すぐに治すから安心して。その前にちょっと聞きたい事があるんだけど、お前達以外にこの森にハンターが何人いるか分かる?」


比較的落ち着いているリーダーっぽいハンターに聞いてみる。


「え? あぁ……来る時一緒だったのは全部で18人だけど他は知らないし、森に入ってからは別行動だから今もいるのかは分からない」


「お前達のランクは?」


「全員Fランクだ」


「お前達以外の13人も全員低ランク?」


「あぁ、Fだな」


パーティー構成も聞いておく。男5が1つ、男4、女4が1つずつ。

そいつらがまだこの森にいて蟹にやられていた場合、エクスヒールを使い過ぎると足りなくなるかも……


このパーティーは男4、女1の構成で、女の子の腕は他より細い分バラバラの腕の中でも比較的分かり易い。

泣きじゃくる女の子を宥めながら何とか腕のパーツを並べて向きを合わせて、足と一緒にハイヒールで繋げる事ができた。

男達の腕は……判別するには時間がかかるのでエクスヒールで再生だ。


「エクスヒール!」


しょわしょわと光りながら手足が再生されていく。


MP 123/200


もし他の13人全員にエクスヒールが必要になったらMPが足りなくなる。

できればハイヒールを使う事でMPを節約したいんだけど、どうなることやら。

シュバルツとノワールにどれだけMPを譲ってもらえるか後で確認しておかないと。

……そういえばエクレールはどこに行ったんだ?


(あっちにいる)


上空から降りてきたエクレールが新たな目標のいる方向を教えてくれた。

すでに探索していたのか、仕事が早い!

そうだな、急がないともう死人が出ていてもおかしくないし、全員連れて移動だと時間がかかる……よし、置いていこう。


「「トーチカ!」」


ぽこんぽこん


トーチカの中で待っていてもらおう。これで移動速度が上がる。

だが、ここで待っていてもらうと話したらハンター達がパニックになった。


「また蟹に襲われたら……」


「このトーチカは頑丈だから大丈夫」


「もし壊れたら!」「助けに来てくれたんじゃないの!?」


大騒ぎするハンター達。泣き出すやつまでいる。

何も泣く事はないだろ、トーチカの強度は……知らないと不安にもなるか。

仕方ない。


「ビアンカ、ここで護衛していてくれる?」


「はい、任せてください!」


蟹をぶっ飛ばしたビアンカが残ると聞いて安心したらしい。ハンター達は大人しくなった。

さて、急がないと!


(わかった)


ん? エクレールが俺を後ろから抱き抱える。何?

一瞬で視界が変わった。世界が白黒になっている。何だこれ!?


「うぉおっ!?」


飛んでいるらしい。

らしい、というのは目が見えなくなったからである。

視界が真っ暗! これ「ブラックアウト」っていう状態じゃね?

下向きの「G」がかかると血流がどうとかっていう……ブラック、何て嫌な響き。


実際気分が悪いわ。気が遠くなりそう……ってどれだけ加速しているんだよ!

そこまで急がなくていいんだよ、エクレール!



飛んでいた時間は1分程度か? 地上に降りたみたいだが、くらくらして目が見えないので自分にヒールをかける。

視力が回復すると、ノワールがザクザクと蟹の頭に尖った脚を突き刺しているのが目に入った。

エクレールがもの凄い加速で飛んだみたいだけど、しっかりついて来られるとは、ノワールの力も底が知れないな。

そして蟹の腹を捌いて内容物を取り出しているいるシュバルツ。


「今度は1体毎に分けてね」


さて、被害者は……倒れているのは女の子ばかりだ。

4人パーティーか? 全員腕や足を切断されていて顔色がヤバい。

蝋人形みたいになっている!


「「「「キュア! ヒール!」」」」


ぽやん。


光った。セーフ!

まだ生きていた。出血多量で死んでいてもおかしくないような、ひどい顔色だったけどよく生きていたな……実際、何で生きているんだろうな?

生きていてくれた方が嬉しいけど、出血量はかなりのものだったぞ? どうなっているのか。


シュバルツとノワールが腕や足を1体ごとに分けて持ってきてくれたが、この蟹達は腕だけでなく足も細かく切って食べていて、しかもご丁寧な事に服の部分は綺麗に剥がされている。全員女の子だから太さも同じくらい。

そして足首から下は切り落とされて無くなっている。(たぶん靴を食べたくなかったんだろう)


全く見分けがつかないんだけど、本人ならどれが自分の腕や足なのかわかるかな?


意識が戻った女の子達は皆自分の手足の欠損を見て泣いている。

この子達にバラバラの腕や足を見せて「これ、どれが自分のかわかる?」って確認してもらうのは……精神的にちょっとキツいかもしれない。

判別や治すのにも時間がかかるだろうし、ここでMPを節約するのは諦めよう。


「「「「エクスヒール!」」」」


MP 73/200


もう絶対足りない。

いや、残り全員が襲われて重傷を負っていると決まっている訳ではないが。

どちらにしろMPは譲ってもらわねば。


「「「「ありがとう! セシリアー!!」」」」


うぉっ!?

欠損が治った女の子達がぎゅうぎゅう抱きしめながらお礼を言ってくる。

頭を撫で撫でされたりキスされたり、俺が女の子達にちやほやされるのってこれが初めてじゃないか?

いつも女の子達にちやほやされているのはアルジェンティーナだったからな。

これはいいもの……ではなかった。


彼女達は血と汗とおそらく嘔吐物に塗れてひどい事になっている。

つまり、すごく……臭いです。


君達、感謝の気持ちは十分に伝わったからもう離れてくれないかな? ひどい匂いで気が遠くなりそう!

でも正直に「臭い」って言ったら女の子は激怒するよね? ここは黙って洗浄魔法だ。


魔法を使って全員綺麗にしたら大喜びして、更にちやほやしてくれた。

うむ、これなら……って喜んでいる場合ではないわ。先を急がないと。


他のハンター達を助けに行くからしばらくここで待機していて、と話したら途端に泣き出す女の子達。やはりか……

トーチカを作って頑丈だからと説明しても泣き止まない。

怖い目にあったのだから仕方がないか。安心材料を追加しなければ。シュバルツ、蟹を出してくれるかな?

まずシュバルツにパイルバンカーで蟹の甲羅に穴を開けてもらう。


ドカッ!


一撃で甲羅に巨大な穴が開く!


「うわっ!?」「凄い!」「何の武器??」「格好良い!」


目を見張って驚く観客の皆さん、じゃなかった女の子達。


「このようにシュバルツの射出杭は頑丈な蟹の甲羅も容易く貫きます! 頼もしいでしょう? 蟹の甲羅がまるで紙のよう! 更に!」


ナイフ状に変形した手で甲羅を細かく切り裂いてもらう。


「ご覧の通り、ザクザク切れます!」


強さアピールが必要だと理解したシュバルツが残った甲羅を両手で持ってメリメリと引き裂いた! 力強いね!


「凄まじい力! どうです? 皆さん! こんなにも力強く頼りになるシュバルツさんが今なら! 無料であなた達を守ってくれます! 安心できるでしょう?」


なぜか蟹の脚を持ち上げながら変なポーズでアピールするシュバルツ。

女の子達の表情を見ると……だいぶ和らいでいる。あと少し、という感じだ。

武器と盾を一通り人数分用意する。


「更に! こちらの武器と盾を今回に限り! 無料で貸し出すよ! 試しに使ってみて!」


もう1体蟹を取り出して、彼女達に槍やハンマーの性能を確認してもらう。


「凄い! 簡単に槍が刺さる!」「このハンマー、威力が桁違いだよ!?」「使い易いわ!」「欲しい!」


そうでしょう? これで少しは安心できる筈だ。


この子達、見た目は朴訥でちょっと可愛い村娘、みたいな感じで全くハンターには見えないが力は強い。

全員ウォーハンマーを扱えるなんて、これも魔力強化か。

小柄な女の子でも魔力があるとハンターになるんだな。ハンターって危険な仕事だと思うんだけど。



女の子達の雰囲気が明るくなったのでもういいかな。先へ行くから後はよろしく、シュバルツ。しっかり守ってやってくれ。

そしてエクレール、今度は少しだけでいいからゆっくり飛んでくれないか。

ブラックアウトは辛いから。




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