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幼女時間

MP -400/200


予想外の表示に困惑する俺。



これ、蘇生に必要なMPは「600」だったって意味?

600! 死者を蘇らせる魔法が大量のMPを必要とするのは当然なんだろうが、これほどとは!

気安く使える魔法じゃないぜ。元より気安く使うつもりはなかったが、それにしても……


「よかったですね! 上手くいって……どうかしたんですか?」


親子の抱擁を目を潤ませながら見守っていたビアンカが怪訝そうな表情で俺の顔を覗き込んでくる。


「いや、えーと、そうだね、よかったと思うよ」


俺も目を潤ませながら親子の再会シーンを見つめていたかったわ。でももう無理、MPの件が気になってそれどころじゃない。


消費MPの大きさ自体は分からなくもないが、「マイナス」って?

MPが足りなかったら普通はその魔法は使えないんじゃないのか?

俺がこの世界の「魔法の常識」を知らないだけ、なんだろうか。

足りていないのに魔法が使えるならMP表示の意味がないような。


……はっ!?

もしかするとこれは、正しい意味での「チート」(ズル)なのでは?

自分の限界を超えた力が使えるというまさにチート!

この俺がチート野郎、違った、チート幼女だ!


……異世界における「チート」ってこういうのだったっけ? 何か違うような。

何だろう、この「コレジャナイ」感は。

何か地味だし、それに何かしっくりこない……不足分のMPはどこから来たんだ?

ノワールかシュバルツが譲渡してくれた……いや、MPを譲ってくれた時は俺の体に触れていたし、ここにはいないのだから違う筈だ。

エクレールか?


(何?)


(エクレールが魔力を譲ってくれたの?)


(そのような事はできない)


(……そう)


していない、ではなく「できない」のか。

するとこのMPはどこから……後、考えられるとしたら「神」か?

俺の行動を見ている神がくれたのだろうか?

「神が見ている」のは間違いない。なぜなら、


SP 2


またSPが増えているからだ。

しかし、それだと「-400」という表示はおかしいよな。くれた訳ではないのか。


……もしかして、これって「貸し」という意味なのでは?

借金ならぬ借MP! ついに神すらも俺に貸し付けを!?


いやでも待てよ? 一晩寝ればMPは全回復するんだぞ? 「貸し」なんて意味ないだろう?

……本当に、どういう事なんだよ一体。



「私はこのハンターギルドのギルドマスターをしているアトール・トレメインだ。どういった事情なのか話を聞かせてもらってもいいかね?」


ギルマスが母親に声をかけている。

こちらも重要な話があったんだ。意味が分からない事はひとまず棚上げにしよう。

明日の朝になればMPが全回復して、それで終わる話だろう。(たぶん)


「はい。私達はトライシス村という所で暮らしていたのですが……」


リディアの話は、村で夫と娘2人の4人家族で暮らしていたある日、その村が魔物に襲われて夫を含む多くの住人が殺されてしまい、生き残った人間だけでは村を再建する事ができず、村の存続を諦めて町で生きていこうと幼い子供を連れて旅をしてやってきた、という悲惨なものだった。


「魔物というのは?」


「火を吹く蜥蜴でした。その魔物に家も畑の作物もほとんど燃やされてしまって……」


それでは村の再建なんて無理だろうな。火を吹く蜥蜴……サラマンダー? 


「その魔物はどうなったの?」


「分かりません」


子供と一緒に家の地下にある貯蔵庫に隠れていたリディアには魔物がどうなったかは分からないらしい。


「大きな町なら仕事を得られるかもしれないと思ってマーヴィンの町へ向かっていて、村からは僅かな食料しか持ち出せなかったので途中で食べ物を探す為に森の中に入ったところまでは覚えているのですが……」


そういえば彼女の鞄の中にはお金も食べ物も無かったな。


「どうして私達はマーヴィンではなくシオリスにいるのでしょう?」


さぁ、ここからが問題だ。上手く誤魔化さなくては。


「倒れていたあなたを治療した後マーヴィンの町に運んだのですが、あなたの意識が中々戻らなかったんです」


「その間子供達を預けられる所を探したのですが、町にある施設は満員で断られてしまったので、私が所属しているギルドがあるシオリスの町なら預け先が見つかるかもしれないと思ってこちらへ連れて来たのです」


「あなたが目を覚ました時、子供達がいないと不安になると思ったので、あなたもこちらに運びました」


ギルマスが考えたこの説明、少し苦しいと思うんだが通用するだろうか?


「まぁ……ありがとうございます。そんなに気を使っていただけるなんて」


通じるらしい。こんな説明でいいのか。 

ギルマスがどや顔で俺を見ている。

何か納得できない気もするけど、まぁ、これで誤魔化せるのならいいか。


「治療代について話をしてもいいかね?」


ギルマスの質問に顔を曇らせるリディア。


「お金はありません。でも仕事を見つけてきっとお支払いします!」


「いや、違う。セシリアはあなたに治療を望むか確認していないのに、言わば勝手に魔法をかけたのだから、あなたは治療代を払わなくていい」


「え?」


死んでいたのだから意思確認などできる訳ないが、そういう「設定」なのだ。


「だが彼女はうちのギルドでお金をとって治療魔法をかけているから、無料で病気を治したと知られるのは都合が悪い。そこであなたにはこの事を黙っていて欲しいんだ。口外しないと約束してくれるなら治療代が不要なだけでなく、お礼もさせてもらうよ」


「え、ええ、私にはありがたい話ですが、その、本当に払わなくていいのですか?」


「本当だ。黙っていてくれるのならお礼として金貨5枚を進呈しよう」


「そんなに!?」


ちなみにその金を出すのは俺である。責任を取れ、という事だな。


「ただし、約束を守ってもらう為に『契約魔法』をかけさせてもらうよ。内容は『セシリアがあなたに魔法をかけた事を誰にも話さない』というものだ。聞き入れてもらえるだろうか?」


「は、はい。大丈夫です」


上手くいきそうだ。さすがギルマス、人を言いくるめる事に慣れているな。

「ついで」を装いつつ仕事の斡旋の話もしている。この町で仕事が見つからないと他の町へ行ってしまうかもしれないからな。


「契約魔法と仕事の件は明日の朝にしよう。今日はもう休むといい」


「本当に何から何までありがとうございます」


リディアは子供達とこの部屋で寝てもらうという事で話は終わった。


今度はギルマスの部屋で話の続きをする。


「ありがとう、ギルマス」


「何、こちらにも利のある話だ。礼には及ばない。それより、仕事の斡旋はするが住居の面倒までは見れないので君が世話をするといい」


「住居? なぜ?」


「うちはハンターを対象に住居の紹介はしているが、彼女はハンターではないからね。君はギルド職員だから君に住居を紹介する事はできるよ」


「? つまり?」


「ずっとギルドの裏で寝泊りしている訳にはいかないだろう? 物件を紹介するので選ぶといい」


つまり、出て行けという事ですね。今は金があるから家賃を払うのは難しくはないが。


「その住居に君が誰と住もうと我々は関知しない」


「なるほど」


しばらく母子を住まわせてやれ、という事だな。了解です。


「じゃあ明日はお部屋探しだね。ビアンカも協力してくれるかな?」


「もちろんです。私も一緒に住みたいです!」


「そうだね。それじゃあまた明日。お休みギルマス」


「ああ」


なんとか丸く収まったな。



次の日の朝。


MP -200/200


どういう事なんでしょうねぇ……回復していませんよ?

いや、回復はしているな。「200」だけど。

全回復じゃない。つまり?


……今まで一晩寝れば最大値まで戻っていたから「全回復」だと思っていたけど、それは間違いだった、という事だな。

回復するのは「最大値まで」ではなく「最大値分」、つまり今は200まで、と。

-400だったから200回復してもまだ-200……

何という事でしょう……


何という事、じゃねーよ! どうするんだ俺!

まだマイナスだぞ!? こいつはヤベぇ! 魔法が使えない!!

いや落ち着け俺、まだ慌てる段階じゃない!

ノワールかシュバルツにMPを譲ってもらえばいいだけだ。そうだ、そうしよう。

何も慌てる事はなかった。


「おはよう、ノワール、シュバルツ。朝からすまないがMPを譲ってもらえるだろうか?」


早速おねだりする俺。MPが無いと困るからな。

ノワールがスッ、と腕を伸ばして、俺に触れてMPを譲渡してくれた。


「ありがとう、ノワール。これで……ん?」


MP 0/200


どういう事? 


「MPが200しか増えていないんだけど、どうして?」


反応がない。この聞き方ではダメか。えーと、


「1回につき200までという事?」


肯定。何その縛り。意味あるのか?


「もう1回譲ってもらえる?」


否定の雰囲気。何でやねん……


「1日1回っていう事かな?」


肯定。なぜなのか。理由を問い質したいが今はMPが優先だ。


「シュバルツ、悪いんだけどMPを……」


MP -200/200


「はぁっ!?」


MPが減っている! なぜだ!? 今貰ったばかりなのに! 何もしていないぞ?


「今譲ってもらったMPが無くなってしまったのだけど、ノワール、何か分かる?」


否定。分からないみたいだ。

ステータスをじっと見つめてみても-200の表示は変わらない。何かのバグだろうか? もう一度やってみよう。


「シュバルツ、MPを譲って欲しい」


シュバルツも長い腕を伸ばして俺に触れてMPを譲ってくれる。


MP 0/200


こちらも200回復だ。


「ノワールと条件は一緒なの?」


そうらしい。制限があるのはなぜなんだろうな?

理由を尋ねてみようとステータス表示から意識が逸れた瞬間、


MP -200/200


またMPが減った! 400もMPが消えてしまったぞ……400?

400って昨日のマイナス分だよな、ってまさか!


これってもしかして「取り立て」じゃないの?

(たぶん)「神」が貸したMP400を回収しましたって事か?


……貸した翌日に取り立てるって容赦なさ過ぎじゃないですかねぇ。

もうちょっと猶予してくれてもいいじゃん! 鬼か! ……違った、神だった。(たぶんきっとそう)


これで今日1日魔法が使えない事は確定だ。どうするんだよ、俺?



「おはようございます……どうしたんですか? 朝から元気がないですね?」


起きてきたビアンカに心配されてしまう俺。


「おはようビアンカ。MPが無くて魔法が使えないんだ……」


正直に話す。今日一日迷惑をかけるかもしれないからな。


「昨日凄い大魔法を使ったのだから仕方ないですよ。それに、今日はお部屋探しをするんですよね? 魔法が使えなくても問題無いのでは?」


「だけど、魔法が使えないとほとんど何もできないし、自分を守る事も……待てよ?」


土ゴーレムは? あれはMPが無くても動いた筈。外に出しっぱなしの2号機や試作ゴーレム達を見る。

ゴーレムが使えれば……? 動かないぞ? なぜだ!?


「どうしたんですか?」


「土ゴーレムが動かない。なぜ?」


「MPが無いからでは? ゴーレムは魔力が無いと動かせないのでしょう?」


「そんな筈は……」


おかしい、今までゴーレムを使っている時にMPが減った事は無かった筈だ。

MP無しでも動くんじゃないのか? どうなっているのか。


「大丈夫ですよ、私達がついていますから。守ってあげますよ!」


どーんと胸を張るビアンカ。盛り上がりが凄い! (胸の)


(敵がいるなら私が踏み潰してくれよう)


エクレールも起きてきた。ありがとう、エクレール。頼もしいよ。

「踏み潰す」というのはドラゴン的な言い回しかな?



顔を洗おうとして洗浄魔法が使えない、という事に気が付いた。

魔法を使う事に慣れ過ぎているからな。今日一日本当に気を付けないと。


ギルドの建物の中に井戸があるので水を貰いに行く。

井戸がある事は知っていたが、水魔法で水を出せるので今まで使った事がなかった。


中の井戸には……手押しポンプがついていた。材質は何か分からないけど円柱形のアレ。

これも転生もしくは転移者の知識によるものだろうか?

もしそうならこれで稼いだやつがいるかもしれないな。


レバーを動かして取っ手の付いた桶に水を入れて、ふと、気が向いて桶を持ち上げてみる。


お、重い。腕がぷるぷるするわ。こんなに腕の力が弱かったか?

持ったまま歩こうとしたらふらふらして危ない!

……最近はちょっとでも重い物はゴーレムで持っていたから力が弱くなっているのかもしれない。

ラジオ体操もしばらくやってなかったし、今日から心を入れ替えて体を鍛えよう。


念入りにラジオ体操をしてからロビーのカフェで朝食を済ませて、リディアの契約魔法に立ち会う。



1回目の契約魔法が失敗(!)したのでリディアの魔力を調べた結果、平民にしては魔力が強いと判明したので金貨1枚の魔道具から金貨20枚! の魔道具に変更されて、費用を負担する俺の出費が増えた。

金の減るスピードが速くなっている……


2回目の魔法は問題無く成功した。

契約魔法を見て驚いている親子を連れ出してお部屋探しに町中へと出かける。

仕事の斡旋が先じゃないかと思ったのだが、ギルマスに部屋が先だと言われたので。

ここでは住まいが定まっていない人間には仕事を斡旋しにくいらしい。



ギルドが紹介すると言っていたが正確には物件を持っている商会に紹介してくれる(ギャグではない)というのと、その際に保証人になってくれるという話だった。


「私達まで一緒に住まわせていただいていいのですか?」


「この町に保証してくれる人がいない場合、部屋を探そうとしてもいい部屋は見つからないそうですよ」


数年働けば雇い主が紹介してくれたり、保証人になってくれるがリディアには保証してくれる人がいない。

そういう人間は宿に泊まるか、保証人がいらない代わりにあまり治安がよろしくないエリアで住む所を探す事になる。(らしい)


宿だとまだ夜に泣いてしまうクレアがいると他の客に迷惑が掛かるかもしれないし、最悪追い出されてしまうかもしれない。

治安がよくないエリアに住むというのはまだこの町に慣れていない親子にはきついだろう。


「服をいただいたうえに住む所まで……」


リディアは俺が作ったワンピースを着て、俺があげた抱っこひもを使ってクレアを抱っこしている。

元々着ていた服は今の季節には合わないし、シルヴィアが着ている服とも合わないからね。


「知らない町に来たのだから、慣れるまではお金を節約するといいですよ」


「……ありがとうございます」



町中は朝から賑やかで人が大勢歩いている。活気に満ちているな。


商会はすぐ近くにあるという話だったが、最近ずっと土ゴーレムに乗って移動していたからか、少し歩いただけで違和感が凄い。

町を歩く他の人の姿に視界が遮られて歩きにくい! こんな視界だったろうか?

ここの町に最初に来た時に戻っただけなのに。もう遠い昔の事のようだ。


他の人間の背中を見上げている俺に気付いたビアンカが、にっこりと笑顔を浮かべながら俺と手を繋いでくれた。


「こうすれば歩きやすいですよ」


子供扱い! だがその優しさが嬉しい!

歩く速度も俺に合わせてくれる。正直助かるわ。

シルヴィアもリディアに手を繋がれて歩いている。

目が合うとにこっと笑ってくれた。癒されるわー。



ハンターギルドからそれほど遠くない所にあるその商会は立派な構えを持つ大店だった。

中はホテルのロビーのような広い空間で、ソファがたくさん置いてあって半分ぐらいが埋まっていた。ここで商談をするのか?


受付でギルマスから貰った紹介状を出すとすぐに担当の男がやって来た。


「はじめまして、セシリア様。担当のアーネストです」


緑の髪をオールバックにして制服をビシッと着こなしているいかにもできる営業、といった雰囲気の男が爽やかな笑みを浮かべながら挨拶をしてくれる。


「こんにちは。セシリアです。部屋を探しています」


「どうぞこちらへ」


俺達も店内のソファに案内された。


「ご希望の条件は?」


広い部屋が複数欲しい、壁が厚い建物がいい、シュバルツ達が(たぶん)重いので床も頑丈なのがいい、等の条件を伝えると普通の賃貸物件では難しいと言われた。それはそうだろうな。

一軒家でいくつかいい物件があるというので早速案内してもらう。



中央通りから少し北へ入ると大きめの一軒家がいくつか固まって建っているエリアがあった。


「この辺りは商家の主が貸し出し用に保有している家が多くて、比較的裕福な方が借りられています。家の質が高くて治安も良いのでおすすめです」


軽く見て回ったがどの家も似たようなつくりで十分過ぎるほど広い。アーネストが流れるように滑らかにそれぞれの家の説明をしてくれるが、特に違いはなかったのでハンターギルドから一番近い所にある家を借りる事にした。


家賃が月に金貨10枚! と聞いてびびったが、ギルマスの紹介という事で金貨1枚値引きしてくれた。凄いぞギルマス! そして皆が自分の分を出すと言ってくれたので一人当たりの金額はそれほどでもなかった。


家は家具付きで中も綺麗ですぐに住める状態だったので、その場で家賃を支払って今日からこの家に住む事にした。


「これだけ大きな家だと今後の掃除の手間が大変ですね」


だがアーネストによると、この家には清掃用の魔道具が設置されていてその魔道具が定期的に掃除をするから俺達は掃除をしなくていいそうだ。すごいなー。


「何かありましたらいつでもお気軽にご連絡ください。本日はご利用誠にありがとうございます」


深々と頭を下げてアーネストは帰っていった。仕事のできる男だったな。



「部屋割りを決めよう」


1階の台所近くの部屋が便利だからという理由でリディア親子の部屋になった。

シュバルツとノワールは部屋は必要ないという意思を示したので無し。

まぁ寝ないからベッドもいらないよね。


そしてビアンカとエクレールは俺と一緒の部屋がいいと言うので、2階の一番広い部屋を使う事になった。

せっかく広い部屋が複数あるのに……

アルジェンティーナは……俺と一緒でいいよね。


「俺の部屋」を見回す。広くて格好良い内装で居心地が良さそうだ。

スタート時の「土の穴の中」からずいぶんグレードアップしたな! 感慨深いぜ。



リディアはギルドへ仕事の話を聞きに行った。

俺は物件巡りで結構、いやかなり疲れたわ。4~5人一緒に寝れそうな大きなベッドに横になる。

おかしい。元々大して体力は無かったけど、それにしてもこんなに疲れやすかったか?


……そうじゃない。

疲れた時はすぐにヒールをかけていたけど、今は魔法が使えないから疲労から回復できないんだ。

ただのお疲れ幼女になってしまっている。


「疲れましたか?」


同じベッドに腰掛けている全く疲れていないであろうビアンカが聞いてきた。


「魔法が使えないと、本当に何もできない……」


何だこの無力感。魔法の存在が大き過ぎる。今更だが。


「遊んでいたらいいんじゃないですか? 子供は本来そういうものでしょう?」


ここが平和で安全な世界なら、それでも一向に構わないのだが。

ほとんど何もできない幼女の時間をどう過ごせばいいのか。


ギルドで資料を読んで勉強するか、それとも裁縫スキルでまた服を作ろうかな? ……両方とも魔法のスクロールで得た力だ。

魔法が無かったら、と思うと怖くなってくるな。


そして今まさに「魔法が無い」状態だ……当分の間「蘇生魔法」は封印しよう。

俺にリスクが大き過ぎるわ、本当に。




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