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借金を完済しました

思っている事が全部伝わってしまうというのは問題がある……別に無いか?

エクレールに知られて困る訳ではないな。

迂闊な事を考えなければいいだけか。

「なぎはらえー」とか冗談でも考えない、というだけでいいだろう。



次は? ハンターランクについて考える必要がある。


俺はまだダンジョンに入る事自体は諦めていない。ソードのダンジョンはダメかもしれないが。

土魔法がメインの俺にとってダンジョンこそが最適のフィールドの筈だ。

レベルアップの為には効率という面でもぜひともダンジョンに入りたい。


だが、いまだにハンターランク自体がステータスに現れないというのはどういう事なのか。

ヒュドラもヴァイパーも倒したのに!


「ビアンカ、ハンターランクはいくつになった?」


「え? えっと、Eランクになりました!」


「そう」


FからEか。

ヒュドラやヴァイパーを倒すのにビアンカも大いに貢献した筈だが、それでも1つしか上がらないのか。

ランクが無い俺よりはいいけど。


「クリス、教えて欲しい事がある」


「何かな?」


「ハンターランクが無い人間でも入る事ができるダンジョンはあるかな?」


「うーん、この国にはないかなー。ダンジョンに入りたいの?」


「そう」


「ハンターランクが無くてもダンジョンに入る方法はあるよ?」


「えっ!?」


そんな方法があるのか!? 教えてクリスさん!


「どうやって?」


「『荷物運び』として入るの。魔法袋を持っていないパーティーだと持ち帰る事ができる素材の量に限りがあるから人を雇って運ばせるの。そういう場合はハンターランクが無くてもいいという事になっているわ」


「よく考えるとおかしな話なんだけどね。でも荷物運びにもハンターランクが必要という事にすると、いろいろと問題が生じるのよ。主な理由はなり手の数が減って困るというものだけど」


ハンターなら荷物運びより自分で狩った方が実入りがいいだろうからな。

稼げないやつならアルバイトとしてありかもしれないが。


しかし荷物運びとは。ぐぬぬ、プライドが……ここは実質を優先させようじゃないか。

入ってしまえばこっちのものだ。いい話を聞いた。


「その代わりランク無しを連れて行く場合、パーティーメンバーに1つ上のランクが1人いる事が条件になるけどね」


「1つ上?」


「ダンジョンによって違うけど、例えば最低ランクがEのダンジョンでランク無しを連れて行く場合はDランクが1人いないとダメ、という感じよ」


それならビアンカにレベルを上げてもらえばいい。


「ありがとう、クリス。参考になったよ」


「ハンターランクが無い人にダンジョンに入る事を勧めたくはないけど、セシリアなら問題無いよね」


そうだよねー。

よし、どこかのダンジョンに入ってレベルを上げるぞ。

ダンジョンなら地上よりずっと戦いやすいに違いない。

その前に、まずは借金返済だな。



ギルドに着いた。

もう昼食の時間だからリクエスト通り唐揚げを作るか。


「昼食の準備をするけどクリス、一緒にどう? ゼルも食べる?」


「ありがとう、お願いするわ。私はサブマスに報告してくるね」


「それならジュディもよかったらどう? って誘ってみて」


前にリザード肉を食べさせる約束をしているからな。


「分かったわー」


中に入っていくクリス。


「お前は料理ができるのか? まだ子供なのに?」


「子供でも料理はできるよ」


そういえば、ハンターギルド職員の制服を着るようになってから子供扱いされる事はなかった。

あるいは魔法使いだからか?

久しぶりに俺を子供扱いする人間が同じ制服を着たギルド職員とはな。



今日の昼食は大量に用意しなければならない。

たくさん食べるビアンカに加えて、(おそらく)ジュディも食べに来るだろうし、クリスがどの程度食べるかは分からないが、ゼルは体が大きくていかにも食べそうな雰囲気だ。


俺だけでは手が足りない。土ゴーレム起動!

並列思考で同時に3体の土ゴーレムで唐揚げ作りをする。


揚げる、揚げる。ひたすら揚げる。もちろん二度揚げだ。妥協はしない。

揚げる、揚げる。文字通り山ほど揚げる。

「タルタルソース」に「レモンだれ」(実際は別の名前だがほぼレモンなのでレモンと呼ぶ)も作る。

俺は何もつけないで食べるのが好きだけど。


(お粥は?)


そうだった。お粥も作らねば。鳥粥でいいかな?


(いい)


さらに土ゴーレムを追加。4体目で鳥粥を作る。

後は野菜スープとパンでいいだろう。絶対に余るぜ! というぐらい作っておけば大丈夫な筈だ。


料理が完成した。

クリスとジュディもやってきたので食事を始めよう。



「美味いな、これ。肉を油で揚げた料理は前に食べた事があるが、この料理の方がずっと美味いな。何が違うんだ?」


「え? さぁ」


その料理を食べた事がない俺には分からんよ。


「本当に美味しいねー。ソースも素敵! レシピを教えてもらってもいい?」


「いいよ、と言っても大して書く事ないけど」


「レシピは売り物にしてお金をとる事ができるわよ」


「サブマス! 余計な事言わないで!?」


「いいよ、お金はとらないよ。クリス」


「ありがとう、セシリア!」


実際お金を取るほどの内容ではない。


「俺にも教えてもらえるだろうか?」


「え? ゼルも? もちろんいいけど。料理できるの?」


「いや、できない。だが美味いから家族にも食べさせてやりたい」


「家族?」


「あぁ。妻と子供がいる」


「何だとう!?」


「どうした?」


「い、いや」


妻と子供だと!? こんなに若そうな兄ちゃんが妻子持ちだと!?

二十歳ぐらいにしか見えないのに!!


「ゼルって何歳なの?」


「23だ」


「そ、そう。子供がいるんだ」


「あぁ、3人いる」


3人! 何だろう、この敗北感!


「これはリザードの肉か?」


「そ、そうだけど」


「この辺りではリザードはあまり見かけないし、肉が出回る事も少ないから手に入れるのは難しいな。この料理は他の肉でもいいのだろうか?」


「うーん、どうだろう? 鶏の肉ならいいかもしれないけど、確信は持てないな」


リザードの肉を先に手に入れたから、まだ鶏肉を買っていなかった。

この世界の鶏の味が俺の知っている味と同じか分からない。一度買って味の確認をしないと。


「そうなのか」


難しい顔をするゼル。


「リザードならまだたくさんあるから1体分譲ろう。持って行くといいよ」


「何? いいのか?」


「あぁ、一緒に戦った仲だからな」


厳密に言えば戦ってないが、まぁいいだろう。


「ご家族と一緒に食べるといい」


「感謝する。もちろん金は払う」


「どういたしまして」


うむ、代金はいただこう。


「私も欲しいけど、いいかな?」


可愛くお願いしてくるクリス。


「もちろんいいとも!」



皆もりもり食べる。食べ尽くす勢いだ。まさか? 山のように作ったのに?

まだ見込みが甘かったというのか!? こいつらの胃袋は底なしなのか!?


各自の皿だけでなく大皿にもたくさん盛っておいたのだが、どうみても足りない感じ。

何という事だ。くっ、負けない! 追加を作ってやるわ!

追加でさらに唐揚げを作る。揚げる、揚げる、揚げる。


エクレールはタルタルソースには目もくれずにレモンだればかり使っている。

レモンだれが気に入ったのだろうか。


(主、このレモンだれがもっと欲しい)


(え? 足りているでしょう?)


まだたっぷりあるぞ。


(飲むには足りない)


(飲み物じゃないから)


さすがドラゴン。関係ないか。


ゼルは最初に各自の皿に盛った分を食べ終えた後は唐揚げを食べていない。

テーブルの中央の大皿にたくさん追加を盛ってやったのだが、気に入ったんじゃなかったのか?


「ゼルは唐揚げはもういいの?」


「いや? 給仕されるのを待っているのだが」


「自分でやれ」


「自分で?」


他の皆は自分で取っているだろう? トングが置いてあるのに。お坊ちゃまかよ。

戸惑ったような顔をしつつ自分で唐揚げを取り始めるゼル。

まさか本当にお坊ちゃんなんだろうか?


皆まだまだ食べ続ける。手が止まる気配もない。


「セシリア、食事が終わったら仕事の話があるわ」


「了解だ」


終わる時がくるのだろうか。



もちろん唐揚げ祭りが永久に続く事はなかった。食事を終えて休憩に入る。


「ヴァイパーを討伐してくれて助かったわ。一番厄介な魔物だったから」


「他の討伐はしばらく受けないよ? 休みたいから」


「ええ、分かっているわ。仕事の話というのはヒュドラとヴァイパーを卸してもらう件よ」


「高価買取を期待しているよ」


どれだけ借金を減らせるだろうか? 楽しみだ!


「では現物を見せてもらえるかしら」


シュバルツとノワール以外のメンバーには休憩していてもらおう。

ミニプールを作っておく。退屈なら水遊びでもしていてね。



解体所に移動してシュバルツとノワールにヴァイパーから出してもらう。

穴だらけだが使えるところもたくさんある筈だ。どうか高値が付きますように!


取り出されたヴァイパーを見て職員達が驚きの声を上げる。


「白いヴァイパーか!」

「初めて見たぞ」

「少し小さいか?」

「大きな穴が開いているな」


職員達がヴァイパーに取り付いて調べ始める。ジュディもチェックしているな。

一通りチェックした後、職員達と話していたジュディが戻ってきた。


「クリスは希少種かもしれないと言っていたけど」


「それはまだ分からないけど白いヴァイパーなんて前例がないし、通常は状態によって白金貨1枚から2枚の間だけど、これはそうね、2体で白金貨5枚でどうかしら?」


5億! 上出来だ。


「それでお願いします」


「次はヒュドラを見せて」


シュバルツに地上型ヒュドラを出してもらうとすぐに職員達が取り付いて調べ始める。

ヴァイパーよりずっと大きいが、ヴァイパーより早く査定が終わった。


「このヒュドラは白金貨25枚よ」


25億か! 高いな! あれ? 確定するの早くない?


「マーヴィンのギルドより高値なのはいいけど、2ヶ月ぐらいかかるんじゃなかったの?」


「高値なのはこちらの方が大きいからで、値を確定させたのは既に買い手が付いているからよ」


「ん? どういう事?」


「そのままの意味よ。このヒュドラは素材にする為の処理をしないでそのまま引き渡されるの。買い手については答えられないわ」


ただの仲介なのか? まぁいい。値段に文句はないからな。



ヒュドラはすぐにギルドの魔法袋に入れられた。

同じ場所に今度は飛行型のヒュドラを出してもらう。念入りに調べられているな。

長めの査定が終わった後、金額が告げられる。


「飛行型は白金貨35枚よ」


さらに高い! 35億!


「金額をこの場で確定させているという事は……」


「ええ、こちらも買い手は既に決まっているの」


ただの仲介でどれだけ儲けるんだろうな?


「クリスとゼルに渡す分配金だけど、等分割でいいかな? つまり八分の一という事だけど」


「職員は仕事で帯同しただけだから不要よ。むしろ渡してはダメ。それは規律違反だから」


「え? そうなの? 危険な討伐に同行して報酬無しなのか?」


「職員はそういうのも含めて高給を受け取っているのよ。危険手当もあるから気にしなくていいわ」


「そうなのか」


ジュディがそう言うのならそうなんだろう。

すると俺達の取り分は一人当たり……飛行型はノワールが倒したから、ノワールが全額……いや待て、確認しなければ。伝わるかな?


(エクレール)


(何?)


離れていてもすぐに伝わるな。


(飛行型のヒュドラを見つけたのはエクレールで合っている?)


(合っている)


(ありがとう)


飛行型の売却益に関してはノワールとエクレールで分けてもらおう。

飛行型以外、(5+25)÷6=5。一人当たり白金貨5枚。5億円相当だ。


俺の借金の合計額は金貨4945枚。つまり……


「借金を全額返済できる!」


「そのようね。今日中に清算して差額を渡せるようにするわ。おめでとう」


「ふは、ふはははははは! は、げほっ」


やったぜ! 必ず返してやるぞとあの空に誓って苦節……1ヶ月ぐらいだったわ。

あれ? 予想以上に早かったな。

でもまぁ……


「そんなあなたに新しい提案があるの」


「え? 何?」


もうちょっと喜びに浸りたいんですけど。


「場所を変えましょう」



やってきたのはいつもの防諜結界のある部屋。


「新しい提案って何?」


「これよ」


ジュディに見せられたのは……服?


「新しい制服よ」


何だとぅ……?




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