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VS Viper! 2

2体目のヴァイパーが現れた。


それはいいのだが、現れた場所が問題だ。

池のすぐ傍に現れたのだが、この場所はかなり狭い。



林が池の近くまで迫っていて、その間の幅が4~5m程度しかない。

ヴァイパーの体が全部この狭い場所にあるのだろうか?

体が林の中にあるようだとマズい。壁で囲えないぞ?


こんな所では襲って欲しくないなー、と思った場所で襲い掛かってきた。

なかなか都合良くはいかないな。


2体目のヴァイパーは土ゴーレムを後ろから襲ったみたいだ。土ゴーレムの視界が明るい。

激しく揺れているが景色が見えている。

ひとまず土ゴーレムが襲われた位置のすぐ手前に土壁を作ろう。


(アースウォール!)


今度は高さ10mの壁を作る。だが……

池の中には作れないし、林の中もダメだ。木が邪魔で作れない。

幅が4mぐらいになってしまった。これはマズい!


急いで後方に壁を作る。距離は25mでいいか。こちらも幅が4mぐらいだ。

側面は……どうしよう?


「おい、どうした?」


「今、考え中!」


池の方へ走りながら迷ってしまう。

ここで壁を作ったのは判断ミスかもしれない。ヴァイパーの体が林の中にあったら失敗してしまう!


(どぷん)


「あっ!」


「どうした!?」


「土ゴーレムが池の中に……」


土ゴーレムの視覚で見た光景はたぶん、池に引きずり込まれたものだ。

ヴァイパーは池の中で待ち伏せしていたのか!?


壁を作り直さないと! だが土ゴーレムが池に引き込まれてしまったので土魔法が使えない。

俺自身が早く池まで行かないと!



土ゴーレムが襲われた池に到着した。池は直径40~50mぐらいの円形をしている。

まだ中にいるが、この池から追い出せるだろうか?

それともこの池に閉じ込めてしまう、というのは……やり難いものになってしまうな。

どうしよう?


「この池の中にいるのか?」


「今のところは」


「どうする? 池から追い出すか?」


「うーん。池から出た後、見失わなければいいんだけど」


ずっと土ゴーレムを捕らえていてくれる訳ではないからな。

さっきのヴァイパーも途中で吐き出していたし。


「むぅ……」


「このまま池ごと壁で囲ってしまえばいいんじゃないの?」


クリス、簡単に言ってくれるけど、


「その場合、水の中のヴァイパーと戦う事になるのだけど」


格段に難しくなるんじゃないかな。


(べっ!)


「あっ!」


「どうした!?」


「囮の土ゴーレムが吐き出された!」


マズいな、土ゴーレムが生き物ではないと気付かれたかもしれない。

もう囮作戦は通用しないか?

それに、これで池から出る所を把握できなくなる可能性が高くなった。


「やむを得ない、ひとまず池を囲ってしまおう。アースウォール!」


高さ10mの土壁を更に重ね掛けで池の周囲を全て囲う。


「お前の土魔法は発動が早過ぎるぞ! なぜそんなに早い?」


「え? さぁ?」


「さぁ、じゃないだろう?」


「そんな事言われましても」


今はそんな事どうでもいいだろう?



壁の上端まで階段を伸ばして上まで上がる。

10mだと結構怖いな。

上から見ると池がほぼ真円に近い形をしているのが分かる。


この池は人工的に作られた物か? 農業用のため池だろうか?

水面は静かで鏡のようだ。この中にヴァイパーがいるのだが。


「ビアンカさん、クリス、分かる?」


「……分からないです」


「ごめん、私も分からないわ」


水の中だからか?

水中にいる土ゴーレムの視覚を使ってみる。水深はたぶん2~3m程度だろう。

十分な視界があるのだが、何も分からない。

水の中を歩かせてみるが……反応がないな。獲物ではないと判断されたか。


「それでどうする?」


「これはたぶん農業用のため池だろうから、どこかに池の水を抜く仕組みがある筈なんだけど」


上から見回してみると左下にそれらしき構造が見えた。


「でも水を抜いてしまってもいいのかな?」


ほとんどの水を抜いてしまわないと戦い難いのだが、それをやると用水路から畑に池の水が入ってしまわないか? 畑の方はどうなっているのだろう?

よく分からないのだが、確認しないとマズいんじゃないのかな?


「構わん、やれ」


「えー?」


なぜゼルが指図をしているんだ?


「ヴァイパー討伐の方が優先だろう? 水を抜いた事による被害等は後で補償すれば良い」


「それってギルドが負担するって事?」


「……そうだ」


こいつの言う事を当てにしていいのだろうか? クリスの顔を見る。

クリスは迷っているような? 顔をしていたが、結局頷いた。


ギルドが弁償するのなら構わない。

だがあの装置を動かすには土ゴーレムを使わなければ。人が下に降りるのは危険過ぎる。


水中の土ゴーレムを動かしつつ、ベータから降りて魔法袋から試作アルファを取り出す。


「それは?」


「水中用ゴーレム」


「おお! それがそうなのか! よく見せてみろ」


「後でね」



アルファを壁の上から池に飛び込ませる。


どっぱーん!


大きな水柱が立って水面に波紋が広がる。

アルファ起動!

スクリューを回して水中を泳ぐように移動させる。このアルファに反応するだろうか?


がばっ!


すぐに反応があった! アルファがヴァイパーに捕まっている。今度のゴーレムは一味違うぜ!

スクリュー全開!


ぎゅおぉおお!


(ガコバゥァア!?)


池の中央辺りで水面に気泡が大量に上がっているのが見えた。


「あれか!」


「そう」


ヴァイパーの口の中でスクリュープロペラを全開で回してやったので、たまらずに吐き出したようだ。

アルファがすぐに自由を取り戻している。


「戦わせているのか?」


「いや、ヴァイパーを引き付けているだけ」


戦い方自体はさっきと同じだ。だからまずは水を抜かないと。


土ゴーレムを上陸させて、取水施設のゲートを開ける為と思われる円形のハンドルを回してみる。

壁の外に用水路があって、見ていると水が流れ出しているのが分かった。


後は水が抜けるのを待つ訳だが、今更だが土壁の下ってどうなっているんだ?

土壁は池を囲っているのだが、池の水が抜ける、という事は底樋の部分までは壁の構造は到達していないという事だよな?


「池の水が全部抜けるまで、どれ位かかるんでしょう?」


「えっ? さぁ……」


時間かかるかな?

水魔法で掬い出して、少しでも時間を短縮した方がいいか。


「ウォーターボール!」


ふよん。


池の水で直径5mの水球を作って壁の外の用水路まで運んで捨てる。

これ、何回やればいいんだろう? MPを使い過ぎないように注意しないと。


「凄い魔法ね」


「そうかな?」


凄い「地味な」魔法というべきじゃないかな? 水を掬い上げているだけだ。

せっせと水を抜く為に魔法を駆使するとか、魔法による戦い! という感じがしないわ。


その間もアルファは何度もヴァイパーに捕まるが、その度に全力で抜け出してまた逃げる→ヴァイパーが追いかける→また捕まる、を繰り返した。


すぐに抜け出しているからか? まだアルファが同じ土ゴーレムだと気付いていないみたいだな。


上手くヴァイパーの注意を引いてくれているおかげで壁の上にいる俺達は襲われずにいるが、水深が浅くなるに連れて水中機動が難しくなってくる。

水が抜けるまで頑張れアルファ!


水球作成を繰り返して水深が1mぐらいになったので、アルファの動きもそれを追いかけているヴァイパーの動きもはっきり見えるようになってきた。

見える事は見えるんだけど……


「ビアンカさん、あのヴァイパーに槍を投げて当てられるかな?」


「ちょっと自信ないです」


「だよね」


動きが速い!

アルファをわざとゆっくり動かして捕まえさせてみたが、ヴァイパーの動きまでゆっくりになる訳ではなかった。

捕まえた後も動きが止まらない。スクリューで少しは口の中が傷ついていてもよさそうなものなんだが。


やはりもっと水が抜けたところで土槍を大量に撃ち込んで動きを止めるしかない。

穴だらけになるのはしょうがないよね。



だいぶ水が抜けたので土槍を出せるか試してみる。


「アースランス!」


ドスッ!


まだ少し水は残っているが、土槍を出す事ができた。

今回は泥水球を作る必要はない。

池の底にたまっている泥の中にいるヴァイパーの姿がはっきり見えているぞ!

鬼ごっこは終わりだ!


「「「アースランス!」」」


ドスッ! ドスッ! ドスッ!


「キシャァアアアアアア!!」


ヴァイパーの体に土槍が突き刺さる!

1、2、3、……10本以上刺さっているな。

前から後ろまで満遍なく刺さっているが頭には刺さっていないみたいだ。頭の位置が見えなかったからな。

……やっぱり泥水球はいるか。


「マッディウォーターボール!」


ふよん。


たぶん頭がありそうな所へ泥水球をぶつける。


ばしゃっ! ばしゃっ!


頭が見えた! 更に土槍を追加!


「アースランス!」


ドスッ!


「ビアンカさん!」


「はいっ!」


ビアンカが槍を投げ始める。槍が頭に命中した!


「ギャァアアアアアア!」


頭を激しく動かして逃れようとするヴァイパー。だが当然逃げる事などできない。

その体はすでに土槍によって串刺し状態なのだから!


ガスッ! ガスッ!


「ガァアッ!? カシャァアアアアアア!!」


更に槍が刺さって動きが鈍くなり、当たり易くなった頭に次々と槍が刺さる!


「キシャァアアア!!」


びたん! びたん!


尻尾を泥面に打ち付けて、多数の土槍に貫かれた体を蠢かせながら苦しみ悶えるヴァイパー!


「あぁ……穴だらけにぃ……」


頭からそれて胴体に当たる槍もあるけど、それは仕方ないよ、クリス。


「どうやら勝負あったようだな」


そうだけど、今回ゼルは何もしていないんじゃないか?

なぜこんなに偉そうなんだろう?


「えいっ!」


ビアンカの投げた槍がヴァイパーの目を貫いて深々と突き刺さる。


「ガァアアアアァアァァ!!!」


一際大きな悲鳴を上げた後、急激に弛緩していくヴァイパー。


これで決まりだ!




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