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VS Viper!

クリスに「説明の続き」をしてもらう。


「ヴァイパーに襲われたという報告は誰がしたの? その人はなぜヴァイパーだと分かった?」


「ギルドに討伐を依頼しに来たのは村長の息子よ。村人が飼っている牛の世話をしている時に、その牛が突然何かに捕らわれて空中に浮かび上がって消えてしまって、その時に生き物の口のような物が見えたそうよ」


「口?」


「たぶん牛を襲う時に開いた口の周辺か内側の一部が見えたんじゃない? 魔物に襲われたと思ってすぐに逃げ出して村長の所へ報告して、状況からヴァイパーだと判断したみたい」


「それで村長の息子が助けを呼びに行く為に村を出る時に、ヴァイパーの気を引く為に馬を3頭囮に使ったら2頭同時に襲われたそうよ」


「なるほど」


それで最低でも2体いると。


「ヴァイパーは夜行性じゃなかった? それは夜の話?」


「いいえ、昼頃よ。このヴァイパーは昼間に活動するのかもね」


「そういうのもあるのか」


それ以外には特に役に立つ話は無かった。



村の手前で一旦停止する。

この村も高さ2mぐらいの木で出来た柵で囲まれている。

この柵ではヴァイパーを防ぐには不十分だったみたいだな。


昨日考えた作戦について説明する。


「最初は土ゴーレムを囮にしてヴァイパーを誘い出せるか試してみたい。村の外、周辺から試すか村の中から先に試すか意見を聞きたいのだけど」


「中だな。村の中を確認する方が優先だ」


「私も中から試した方がいいと思う」


「では先に村の中で試すよ」



10体の土ゴーレムに昨晩のうちに作成しておいたタワーシールドを持たせて開いている門から村の中へ歩かせる。


「同時に10体も動かせるのか!?」


実際はもっと動かせるが、今は説明しなくていいだろう。

土ゴーレムの視覚で村の中を観察する。


村の中は広くて畑がたくさんあるが、当然誰もいない。

土ゴーレム達をバラバラに展開させて様子を窺う。


この村は裕福なのか? 家が大きくて立派な感じがするし、畑の面積も今まで見た中で一番広い。

壁の内側なのに大きな池や林のような所まである。魔物が身を隠す場所はたくさんありそうだ。


2体をそれぞれ時計回り、反時計回りで柵に沿って歩かせる。柵が壊れている所は今のところ見当たらない。

ヴァイパーはこの柵を乗り越えたのか? ヴァイパーの大きさなら柵を飛び越える事ができるのかもしれないな。


「それで、次はどうするんだ?」


「ヴァイパーが土ゴーレムを襲ったら、その地点を中心に周りを土壁で囲みます」


「土壁だと!? そんな悠長な事をしていたら逃げられてしまうだろう?」


「悠長? 逃がしはしないよ」


「何?」


実際に見れば分かるだろう。壁は高い物にする必要があるな。


「クリス、ビアンカさん。何か感じる?」


「……少なくともこの近くにはいない筈よ」


「ここからは何も」


「そう」


周囲を警戒している2人が何も感じないのなら、門の周辺にはいない、という事でいいかな。

今のうちに試作ベータに乗り換えよう。


「それは何だ?」


ベータを見たゼルが怪訝そうな顔をする。


「より安全性を高めた試作機」


「見た目が美しくないぞ?」


「ぐっ、ま、まだ試作段階だから!」


やはり見た目は悪いか。だが命の方が大事だから!

少なくとも暗くはないからシルヴィアも特に何も言わないけど、退屈だろうな。


「今日はお仕事が終わるまでこの中にいて。退屈だろうけど我慢してね」


「だいじょうぶ。おしごとがんばってね」


おお、何という優しさ! この子の年齢でこんな気遣いをしてくれるなんて!


「ありがとう、しーちゃん。私は頑張るよ!」



クリスが大型のウォーハンマーの用意をしているビアンカに話しかけていた。


「ビアンカ、そのハンマーはどこで手に入れたの?」


「これはセシリアさんが作ってくれたんです」


「え? どうやって?」


「魔法で作ってもらいました」


「セシリア、ビアンカが魔法でハンマーを作ってもらったって言っているけど」


「そうだけど」


「どうやって作るの?」


「こうやって」


小型のハンマーを作ってみせる。ホーンラビット戦の後に作ったやつ。


「……これ、ちょっと持たせてもらっていい?」


「いいよ」


ハンマーを振り回すクリス。なかなか様になっているね!


「しばらく貸してもらってもいいかな?」


「いいけど、クリスは戦闘には参加しないんじゃなかったの?」


戦力としては当てにするなってジュディが言っていたぞ?


「武器はあるんだけど、ちょっと頼りないから護身用としてもこのハンマーの方がいいな、と思ったの」


クリスが見せてくれた武器は長さが50~60cmぐらいのメイスだった。


「これも一応魔法具なんだけど、ヴァイパー相手には役に立ちそうにないわ。でも他にまともな武器はもう残っていなくて」


ギルドの備品らしい。討伐に出た職員達が有力な武器を持っていってしまったそうな。


「ギルド職員も大変だね」


「そうねー。ヴァイパー討伐に同行しろって言われた時は、私に死ねというの? と思ったけど、しかもろくな武器も残ってなかったけど、セシリアのパーティーなら生きて帰れそうだからよかった」


にっこりと笑うクリス。今日も笑顔が可愛いよ! でも言っている事が何か怖い。


「そ、そうなんだ、大変だねー」


「本当よねー」


にっこり。実は怒っているんじゃないの? クリス?



「もう少し詳しく説明してもらいたいのだが」


ゼルが不満そうな顔をしている。


「作戦の事? 土壁で囲う事さえできれば後は何とかなるんじゃないかな? 一応ヴァイパーの位置がより分かり易いように魔法を使う考えはあるけど」


「それを説明しろ」


「つまり……」


! 土ゴーレムが何かに襲われたぞ!?


「きた! 今ゴーレムが襲われた!」


「何!?」


もう反応があった。早いな!

1体の土ゴーレムが何かに捕まっている!


「場所はどこだ!」


「ついてきて!」


俺を先頭に一斉に村の中に突入する。

襲われたのは村の中央辺り、大きな畑のすぐ脇の農道らしき所だ。



そこには空中に吊り上げられたかのように浮かんでいる土ゴーレムの姿が!

しかも下半分しか見えていない! 上半身が消えていて見えないわ。

タワーシールドごと飲み込まれている。どれだけ大きな口をしているんだ!?


「ヴァイパー!?」


「そのようだな」


捕まった土ゴーレムの視覚は凄く揺れていて、これが口の中なのか? 暗くてよく見えないわ。

視覚の共有をカットする。

さぁ始めようか、ここなら広さは十分だ。

いくぞ!


「アースウォール!」


高さ7mの土壁を一気に作り上げる。


「何だと!?」


幅は25m、更に同じ壁を残りの3方向にも作り上げる!

これでヴァイパーを囲い込んだ筈だ。


「上手く囲めましたか?」


「たぶん。確認しよう。ステアーズ!」


するするー、と階段が壁の上端まで伸びていく。


「これは一体何だ!?」


「階段だけど」


「そういう事を聞いているんじゃない」


じゃあ何だよ? いや、今は相手している場合じゃないわ。

階段を駆け上がる。ビアンカとクリスもすぐに上がってきた。



壁の上から見た内側にはヴァイパーの姿は無い。捕まっていた土ゴーレムはさっき吐き出されて転がっている。


「ビアンカさん?」


「分かります! 中にいますよ!」


「では、ティル・ア・フィールド!」


ふわっ。


壁の内側の地面を魔法で耕して柔らかくする。農道も畑も側溝も全てだ。

全てを耕して均してしまうと、土の上に何かが這っている跡がくっきりと現れている。

そこか! さらに、


「「「ウォーターボール!」」」


這っている跡目がけて水球を撃ち込む!


ばしゃっばしゃっばしゃっ!


連続して大量の水を浴びせて周辺を泥に変える。

泥が付着して少しづつヴァイパーの体が見えてきた!


「見えたぞ!」


ウォーターボールを撃ち込み続ける。


泥が空中に浮いて移動しているようにも見えるな。奇妙な光景だ。

まだ全体像は見えない。特に頭の位置が分からないが、今掴めるサイズだけでも10m以上あるぞ!?


作戦としては全体が見えるようになってから、土槍とビアンカの槍攻撃で仕留める手筈だったけど、現状でも土槍を30本も撃ち込んでやれば……


「やぁあっ!」


「はっ!」


ドガッ! ガシッ!


「キシァアアアア!?」


突然ビアンカとクリスが目の前の空中にハンマーを打ちつけた! 何!?


「今の何!? どうしたの!? クリス! ビアンカさん!」


「今ヴァイパーが襲って来たんです」


「大丈夫、ハンマーで打ち返してやったから」


「えっ、マジで!?」


全く何も見えなかったぞ!?

怖っ! ヴァイパー怖いわ!

見えない敵に襲われるってこういう事なのか? 対応できないぞ!?


「2人には見えたの?」


「見えたというより、感じたというか、すぐ近くまで来ればさすがに分かるかな」


「この距離なら分かります。安心してください、必ず守りますから!」


2人が頼もしい!

しかし、この高さでも届くのか。何という跳躍力!

移動速度も速いな。もっと壁を高く……いや、さっさと決めてしまおう。


「土槍で攻撃するよ。大体の位置は分かるから」


泥の付着した場所や這っている跡を目安にすればいいだろう。


「「「アースランス!」」」


ドスドスドスッ!


「キシャァアアアアアアアア!?」


バシャッ! バシャッ! ビタン! ビタン!


泥の跳ねる音や胴体を打ちつけているような音が聞こえてくる。

結構動いているな。あまり当たっていないのか?


「もっと撃った方がいいかな?」


「ちょっと待って」


「え?」


クリスに止められる。


「どうかした?」


「今の攻撃で土槍が何本か刺さったからもう移動できないわ。後は頭を狙って欲しいの」


「分かるの? それに頭って? 頭はまだ見えないし、位置も分からないんだけど」


「更に土槍を撃ったら穴だらけになるでしょ? そうなると、素材としての価値が下がっちゃう」


「えー……」


確かヴァイパーの皮が高く売れるんだっけ。高性能な防具になるんだよな。

しかし、


「まだ1体どこかにいる筈なんだし、あまり時間をかけない方がいいんじゃないかな?」


「そこを何とか! お願い!」


可愛らしくお願いをしてくるクリス。ううむ、何とか、と言われても。

頭の位置を見つけるには……泥水を直接ぶつける事はできるかな?

やってみよう。


「「「ウォーターボール!」」」


まずは大量の泥水が必要だ。泥水から泥水球を作る事ができればいいのだが。

泥水ができたので、そこから泥水球作りに挑戦する。


「マッディウォーターボール!」


ふよん。


泥混じりの水球ができた。成功だ!

後はこいつをぶつけまくってやれば……


「せいっ!」


ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃっ!


泥水球をヴァイパーがいると思われる辺りに撃ち込んでやる。


ばしゃっ!


泥水球がいくつか当たってヴァイパーの姿がよりはっきりと見えてきた!

たぶん頭はあの辺り……


ばしゃっ!


見えた!

今のは開いた口の形じゃないか!? あれが頭か!


「ビアンカさん! 頭の位置は見える? 攻撃できるかな?」


「見えます! やってみます!」


ビアンカが槍を投げつける! だが当たらない。頭の動きが大きいな!

さらに泥水球をぶつけて姿をはっきりとさせる。


土槍が刺さっているのは体の後半分に集中していて、前の方の自由度が高くなっている。


びたんっ! ばしゃんっ!


動きが激しい! これでは頭に槍を当てるのは難しいかな。

体の前半分も土槍で攻撃して動きを抑え込めばいいんだけど、そうすると穴だらけになる……

これ以上時間をかけたくないし、仕方ない。


「ノワール、頭の部分を攻撃してとどめを刺して!」


ヴァイパーの頭の方に向かってノワールが飛んでいった。

後はお任せでいいだろう。

これで後は……


! またゴーレムが襲われた! 2体目か!


「2体目が現れた!」


「どこだ!?」


「ここは……池の傍だ!」


ここは狭くてやりにくいぞ!? 面倒そうな予感……




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