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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第3章 旅する幼女
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帰還

ハンソン達の作業が終わったようだ。

戻ってきた村人達に残党狩りについて話をする。


「ハンソンさん、出入りしていたゴブリンの数はどれくらいですか?」


「おそらくですが15~18といったところだと思います」


「それぐらいの数がまだ森にいる、という事ですね?」


「はい」


少数に分かれて狩りか、採集をしているのだろう。

その数なら討伐は容易いが、時間をかけたくないからこちらも戦力を分けよう。


「ゴーレムを使って森の中の探索をして、残りのゴブリンを討伐します」


「私達も同行してお手伝いします」


別にいらないんだが。討伐したところを見て安心したいのかな?



村に連絡に行っていた2人が他の村人を連れて戻ってきた。

随分早いなー、と思ったら6本足の馬みたいなのに乗っていた。街道で見たやつだ。


「この生き物、何て言うんですか?」


「馬ですよ?」


「えー……」



4体の土ゴーレムにそれぞれ1人の村人がついてゴブリン狩りをした。


様子を見にきた村人達はエイラさんに任せて探索をしたところ、幸いゴブリン達はすぐに見つかって、当然土ゴーレムの敵ではなく簡単に討伐は終わった。


こいつらあの雷撃に気付かなかったのか? それとも気付いて戻ってきたところなのか?

答えは知りようも無いけど。


ついてきた村人は手際良く魔石を取り出している。小遣い稼ぎが目的だったのか? 別にいいけど。


「ゴブリンはこれで全部なんでしょうか?」


「たぶんそうだと思います。まだ残っていたとしても、それは村の人間だけで対処できます」


「では私達はこれで失礼しますね」


「本当にありがとうございます」


「ぜひ村へ寄ってください。村を上げて歓迎いたします」


エイラさん達が誘ってくれるが、そろそろシオリスへ戻りたい。


「せっかくですが、先を急ぎますので」


「そうですか、残念です」


「討伐の依頼料ですが……」


「お金の話は直接ギルドとしてください。私では分からないので」


「そうですか、分かりました」



村人達と別れて街道に戻る。


「ビアンカさんはどうする? 私達はシオリスへ行くけど」


「私もシオリスへ行きたいです」


「じゃあ、一緒に行く?」


「はい!」


ビアンカは3号機に乗ってもらう。ようやくシオリスへ行けるな。


「ごめんね、しーちゃん。待たせちゃって」


「へいき。おしごと?」


おお、仕事だと分かるのか! 教えてなかったのに? 偉いぞ、シルヴィア!


「そうだよ、お仕事だったんだ。待っていてくれてありがとう」


そっとシルヴィアの頭を撫でる。

偉いなー、シルヴィアは……小さな子がこんなに聞き分けがいいものなんだろうか?



野営した所まで戻ってきた。


さて、シオリスへ向けて出発……どの程度まで近付こうか?

ある程度近付いた所で皆に待機してもらってジュディを呼びに行くべきなんだが、距離はどうしようかな?

あまり近付き過ぎるとマズいだろう。


ドラゴンならすぐに飛んでいける距離、となると既に近付き過ぎているか?

エクレールの力を見た今、十分な余裕を持つべきと考えるならば、ここで待機してもらった方がいいかな?


「うーん……」


「どうしたんですか?」


ビアンカが不思議そうな顔で聞いてくる。


「えーと、実は私だけ先にシオリスへ行って人を呼び出す必要があって……」


「呼び出すというのは誰の事かしら?」


「えっ?」


どこかで聞いた事のある声。

これは、


「ジュディ!」


「久しぶりね、セシリア」


ジュディだった! いつの間に!?


「どうしてここに!?」


「あなたと『ドラゴン』に会いに来たのよ」


「どうしてそれを!?」


何で知っているんだよ!?


「報告を受けているからよ」


「報告って誰が?」


「もちろん隠密よ」


隠密! そういえばそんなやつがいたな。ん? 待てよ?


「隠密っていつからいたの?」


「最初からよ」


「最初から?」


「あなたがプラス村へ遊びに行くと言ってシオリスの町を出てからよ」


「え? それからずっと?」


「そうよ」


嘘だろ? ずっと一緒にいたというのか!


(私隠密、今あなたの後ろにいるの)ってやつ?


怖っ! 隠密怖っ!!


「えっと、ずっと一緒にいたの? 砂漠地帯を移動している時も?」

「そうよ」


「ヒュドラと戦っている時も?」

「そうよ」


「フォルタナ村やナディナ村へ行った時も?」

「そうよ」


「シュバルツとノワールが戦っている時も?」

「そうよ」


「シュバルツとノワールがエクレールと戦っている時も?」

「そうよ」


「私達が道に迷っていた時も?」

「もちろんそうよ」


もちろん、じゃねーよ!


「それなら道案内してくれてもよかったんじゃないの?」


「一度しているわよ」


「えっ? いつ?」


「あなたがノワールと呼んでいるゴーレムと一緒に森から出ようとした時よ」


あの時か。あの時は確か、


「アルジェンティーナが案内してくれた筈だけど」


自信無さげではあったけど、謎レーダーのおかげじゃなかったのか?


「ウルフもゴーレムも自分達の位置が分からなくなっていたから、隠密が誘導したのよ」


「そうなの?」


辺りを見回している、というのはあったな。


「隠密の誘導に従っていいのか迷っていたようだけど、あなたが町へ行きたいと言ったから従ったのだと思うわ」


そうだったのか。


「毎回すぐに道を教えてくれるから、謎レーダーがあるものだとばかり……」


「なぞれーだーって何かしら?」


「何でもない、こっちの話」


「そう」


「隠密がいたのなら、その事を私に教えてくれてもいいんじゃないかな?」


「隠密は対象を監視する為にいるのよ? 監視対象に話しかけたりはしないわ」


「でも隠密は自分の存在をアルジェンティーナに教えたんでしょう?」


「教えたのではなく、気付かれたのよ。あなた以外は皆気付いていたそうよ」


「えー」


俺だけ気付いていなかったとか!


「何で教えてくれなかったのかな?」


「あなたが聞かなかったからでしょう?」


「えー……」


気付いていなかった事をどうやって聞けというんだ?


「それに前に話した筈よ。あなたには監視がつけられていると」


そうだった。だけどそれが続いているとは思わなかった。


「隠密が見ていたとして、どうやって見ていた事を報告しているんだ?」


「遠距離でも話ができる魔道具があるの。詳しい事は話せないけど」


携帯電話みたいなものか?


「それで、既にエクレールの事も分かっていると?」


「ええ、従魔の契約をする前にこれ以上町に接近して欲しくないから出向いて来たの」


働き者だな。つまり、


「テイムのスクロールを持ってきた?」


「ええ」


どこからか魔法のスクロールを取り出したジュディ。

たくさんある。用意のいい事だな……シュバルツの時の余りか?


「それを頼むつもりではあったけど、ドラゴンと契約を結ぶ、なんてできるのかな?」


「ドラゴンには仲間になる気があるようだし、スクロールはたくさん持ってきたから試してみればいいんじゃないかしら」


何でも知っているなぁ。それも報告済みか。隠密は全てを見ているんだな。



5号機から降りてエクレールに話しかける。


「エクレール、今の話は聞いていた?」


パチパチ。


「私達の仲間になってくれるのなら、人の町に入る為に従魔の契約を結んで欲しいのだけど、従魔の契約って分かる?」


パチパチ。


「契約を結んでくれる?」


パチパチ。


話が早い!


「ありがとう、エクレール!」


パチパチ。


「はい」


ジュディがスクロールを渡してくる。


「これ、いくらするの?」


「金貨200枚よ」


2000万。高額な筈なのに安く感じてしまう。不思議だねー。


スクロールを広げて早速使う。

少し光って文字が消える。よし。

ステータスを確認すると、


従魔 シュバルツ

従魔 ノワール


いつの間にか名前が変わっている。

いや、今はそんな事より、


「エクレールの名前が無い」


どうしてだ? 失敗したのか?


「はい」


ジュディが当たり前のような顔でスクロールを渡してくる。


「はい、じゃなくて。失敗したみたいなんだけど」


「当然そういう事もあるわ。成功するまでやるのよ」


「このスクロールはいくらするの?」


「金貨300枚よ」


「……なぜ高い方を先に渡さないんだ?」


「ドラゴンが従魔になる気があるのなら安い物でもいいと思ったのだけど、高い物から渡した方がよかったかしら」


「安い物からでお願いします」


安いと言ったって2000万、次は3000万なんだけど。


スクロールを広げて再び使う。少し光って文字が消える。

ステータスを確認すると、


従魔 シュバルツ

従魔 ノワール


「無い」


また失敗だ。何か嫌な予感。


「エクレール。契約を結ぶ気はあるんだよね?」


パチパチ。


「もしかして、金額が不満なの?」


パチパチパチ。


ではなぜ?


「はい」


ジュディがまたスクロールを渡してくる。


「このスクロールはいくらするの?」


「金貨400枚よ」


スクロールを広げて使う。ステータスを確認する。

名前は……無い。


金貨500枚のスクロールでも結果は同じ。おい、どうなっているんだよ!

やはり金額か? シュバルツやノワールより安過ぎるからか?


「はい」


ジュディがまたスクロールを渡してくる。

「わんこそばのお代わり」みたいに気安くぽんぽん渡してくるけど、受け取る俺の手はもう震えているんですけど!


「このスクロールはいくら?」


「金貨600枚よ」


合計2億! もうどうにでもなーれー。


スクロールを広げて使う。ステータスを確認する。


従魔 シュバルツ

従魔 ノワール

従魔 エクレール


やっとか。

金のかかる幼女だぜ。そういう事か? ……きっとドラゴンだから難しかったんだ。

きっとそう。

……かかったお金については半分くらいはエクレールに協力してもらってもいいのではないだろうか。

心を込めてお願いしてみよう。


「エクレール、仲間になってくれてありがとう。これからよろしくね」


パチパチ。


とりあえず、一歩前進した、と言っていいのではないだろうか。

借金返済のゴールが更に遠のいた、などと考えてはいけない。絶対にだ!


「セシリア、私は用事があるから先に戻るわね。戻ったら話があるわ」


話? 説教だろうか? 怒られるのかな? まぁ、仕方ないね。

俺の方にも話はある。


「スクロールの代金については」


「もちろん借金につけておくわ」


「ありがとうございます」


もう借金をしてお礼を言う事に慣れてしまっている……これはいけない。

シオリスに戻ったら本格的に金を稼ぐ事に本腰を入れねば!



ジュディはダチョウみたいな鳥に乗ってさっさと帰っていった。

あんな乗り物あったんだな。ちょっと乗ってみたいわ。


「あの、セシリアさん、先ほど『ドラゴン』という言葉が聞こえたのですがそれは……」


ビアンカが何か言っている。すっかり放置していたな。

さて、ビアンカにはどこまで話せばいいのかな?


「シオリスへ向けて出発するよ! ビアンカさんもゴーレムに乗ってね」


「えっ? あの、はいっ!」


シオリスまではもう少し距離がある。その間に何を話すか決めればいいか。



最初はちょっとプラス村へ遊びに行く、というだけのつもりだったのに、随分長く遠回りしたなぁ。

しかも肝心のプラス村へは行けそうにない。やる事がいっぱいできたし。


エクレールの角の事、シルヴィアとクレアの事、借金返済の具体的な方法も。

それに、聞かなければならない事もたくさんある。



街道を走り始める。

町に近付くにつれて、だんだん行き交う人の数が増えてきた。

この辺りは見覚えがあるな。狼、違った、アルジェンティーナと一緒に歩いた道だ。


あの時は星空の下を裸足で歩いた。アルジェンティーナだけが旅の連れだった。

星空の下を歩くのも結構楽しかったけど、青空の下を進んでいく方がいいかな?


今は青空の下で増えた仲間と一緒に前に進んでいる。

やはり前進していると言えるだろう!

これからも前を向いて、前へ進んでいく。

きっと上手くいく。

自分と仲間を信じて前へ、先へ進んで行こう。




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