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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第3章 旅する幼女
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寄り道

(アースランス!)


土槍に貫かれるファングボア。これで4頭目。狩りは順調である。



シオリスの町に戻るべく街道を走り始めて約1時間後、最初の休憩を取った際、狼が街道沿いの森の中へ入ろうとする仕草を見せる。

こちらを見ながら入っていい? とお伺いするかのよう。

いいとも、俺も狩りをしたいし。ただし俺は中には入らない。

子供連れで森の中に入って狩りとかおかしいからな。

土ゴーレム2体で狩りをするのだ。


「ゴーレムだけを森の中に入れるよ」


狼に声をかけると彼女はゆっくりと森の中へ入っていく。

2号機と隊長機で後に続く。狩りをしながら休憩だな。


狼は森に入るとすぐに加速して奥へと消えていった。たぶん獲物をこちらへ追い込んでくれる筈。

ゴーレム達をゆっくり歩かせていく。


来た!


ファングボアだ。

ゴーレムの視覚で捉えたファングボアは狼に追われてまっすぐにこちらへ向かってくる。

ん? この状態で土魔法が使えるような……ゴーレム越しに土壁や土槍を出せる気がする。

試してみよう。


(アースウォール!)


土壁が出た! まずは土壁でファングボアの突進を止める。


(アースランス!)


土壁に激突して動きが止まったファングボアに土槍を刺して終了。

上手くいったな。

音が聞こえないから変な感じがする。

水魔法も使えるのだろうか? ……使えない。これがレベルの差なのか?


ゴーレムに持たせた魔法袋にそのまま入れる。血抜きは後でいいだろう。

いい感じだ。これなら今までより安全に狩りができるな。

狼は戻るつもりらしい。戻ってきたらわしわししてやろう。


こんな感じで休憩を取る度に森に入っていく狼と狩りをする。

俺はその間シルヴィアと遊んでいたりする。


「今度は水の球を作るよ。ウォーターボール!」


ふよん。


直径50cmぐらいの水球を作ってシルヴィアの前に浮かべる。


「さわってみて? 冷たいよ!」


まずは俺が触ってみせる。うむ、水そのもの。

おそるおそる手を伸ばすシルヴィア。

水球の表面を指先で触れて、そのままゆっくりと中へ手を入れる。


「うわ」


ちょっと驚いた後、水球の中で両手を小さく動かす。面白い?

にっこり笑うシルヴィア。可愛いね! スマホが欲しい!

今の笑顔を撮影したいわー。


しゃばしゃばしゃば。


2人で水遊びをする。楽しいねー。

黒のゴーレムがゆっくりと近付いてきて興味深そうにこちらをみている。


「遊んでみる? さわっていいよ」


声をかけると黒のゴーレムも指を水球の中に入れてきた。

もちろん魔法無効は使わない。こいつはちゃんと分かっている。

足長は……参加しない。

マーヴィンの町を出て以来、足長が移動の最中に何かを探しているかのような仕草をしているのが気になる。

今も周囲を見回しているような。

何を探しているのかな?


戻ってきた狼を労いながら背中やお腹をわしわしする。ご苦労様ー。

シルヴィアもわしわししてくれる。


「『お疲れー』って言ってあげて?」

「おつかれー」


狼も満足げ。

そして水球から直接水を飲もうとする狼。飲めるのか?


がふがふがふ。


飲めるんだな。器用だねー……シルヴィア、真似しちゃダメだよ? それは高度なテクニックがいるんだ。(たぶん)

コップに水を注いで飲んでもらう。


もう1つ水球を出してふよふよ浮かべて遊びの続きをする。

たーのしーいなー。


マーヴィンとシオリスの間には宿場町が二つある。

今日は手前の町で一泊するつもり、だったんだけど……


昼食と三回目の休憩の後、今度は足長が森の中へ入っていこうとする。

こいつが狩りをしようとする、という事は何か大物がいるのだろうか?

一応土ゴーレムでついて行くが、まさかヒュドラ級ではないだろうな?

街道沿いなんだが、こんなところに大物がいるのか?


足長は何度も土ゴーレムの方を見る。何だろう? この動き。

森の中で何度も立ち止まってこちらを見る。

今までに無い動き。気になるな。

足長はどんどん奥へ進んでいく。おい、何処まで行く気だ?


土ゴーレムをどこまで遠隔操作できるのか、まだはっきりとは把握していないのだが、マズい気がする。

このままだと操作できなくなるんじゃないのか?


ダンジョンの時よりもレベルは上がっているが、限界を試していないからどこまでもつのか分からない。

シルヴィアとクレアはお昼寝タイムに入っている。

起こしたくはないのだが、このままだと見失うかもしれない。


仕方ない。森に入るか。

少なくとも足長達が通った所は安全だ。

子供達を連れて行ってもいいだろう。獣や魔物に襲われてもトーチカを作って中に入っていればいい。

その間に土ゴーレムで倒す事ができるだろう。黒のゴーレムもいるし。


眠っているシルヴィアを抱き抱えて5号機に乗せる。うーん、軽いな……

幸いシルヴィアは起きなかった。

クレアを抱っこひもの中に入れて、俺も5号機に乗って足長達の後を追う。


足長達はかなり奥まで進んでいる。これ、確実に獲物を追っているよな。

まぁ、今回は土ゴーレムを先行させている訳だから、仮にヒュドラ級の大物がいたとしても事前にそれを知る事ができる。

逃げる事は難しくないだろう。実際には足長が瞬殺してしまうかもしれないけど。

黒のゴーレムがヒュドラを瞬殺したみたいに。


俺達が森の中に入ってから足長の移動する速度が上がっている。

森の中とは思えないほどに。

どこまで行く気なのか。そりゃ、多少の寄り道をしてもいいとは思っていたけど!


足長に追い付くべく、こちらも速度を上げて森の中を走り続ける。だが進路上にファングボアが!

先を急いでいるのに、なぜ出て来る!?


「ストーンブレッド!」


ビシュッ!


頭部に直撃を受けたファングボアは音も無く崩れ落ちる。

こちらが移動している状態でも撃てるんだな。やってみて初めて気付いたわ。

つい、撃ちたくなったんだよね。急いでいるからさ。


魔法袋に入れようとして……しまった! 魔法袋は先行する土ゴーレムに持たせたままだった。

どうしよう? そうだ、黒のゴーレムに収納してもらおう!


「ファングボアを収納してもらえる?」


すぐにファングボアを収納してくれる黒のゴーレム。いやー、助かるわー。


その後何度か途中でファングボアと遭遇した。

その度に同じ事を繰り返すが、当然、足長には中々追い付けない。

でも勿体無いから捨て置く訳にはいかないんだよね。


夕方近くまで走り続けて、とうとう森を抜けてしまった。

おい、これ前回の礫砂漠じゃないのか? 雰囲気が似ている。

というか同じ所だろ。この間見た地図から考えても間違いないわ。

もっともこの礫砂漠、凄く広いけど。

どの辺りなんだろう? 地図を脳裏に浮かべてみる。

やはりヒュドラなのか? そうなのか?


足長のこの熱意らしきもの、まさか、


「ヒュドラを倒しているところを絵に描いて欲しい」


という事じゃないだろうな……



礫砂漠地帯に入ってもなお走り続ける足長。そろそろ止めよう。シルヴィアが疲れてしまう。

とっくに起きていたシルヴィアは大人しかったが、退屈だったかもしれない。

もうすぐ日が暮れる。もう野営の準備に入らなければ。

5号機を加速させて足長に追い付いて、声をかける。


「今日はこの辺で休みたい。続きは明日にしよう」


足長が止まってくれたので野営の準備をする。

礫砂漠の中、見通しの良過ぎる場所だけど、まぁ問題は無い。


トーチカを作って寝床を整えて、外に竈やテーブル、長椅子を用意する。


途中で狩ったファングボアを出してもらって血抜きをした後、黒のゴーレムに解体してもらう。

久々の新鮮な内臓だ。狼が凄く嬉しそう! しっぽの動きが激しいぞ。

早速内臓を食べ始めた狼をしばらく眺めた後、黒のゴーレムのお手伝い。

解体が済んだら夕食の支度だ。


今夜は肉野菜炒めとスープ、チーズ入りリゾットだ。

お粥が好きなシルヴィアならリゾットも気に入ってくれる筈!


「しーちゃん、リゾットの味はどう?」

「おいしい」


よかった。たくさん食べてね。たくさんあるから!




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