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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第3章 旅する幼女
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やるべき事は

俺が描いた絵を黒のゴーレムに見せる。


我ながら躍動感溢れる傑作に仕上がったと思うんだけど、どう?

黒のゴーレムはじっくりと見ている。感想は……聞かせてくれそうにないな。

こういう時こそコミュニケーションツールの出番なのだが。

コミュさんはお絵描きさんに改名されてしまったのだ……


黒のゴーレムは手に持っていた絵をスッ、と消してしまった。

ん? ああ、収納したのか。

つまり、気に入ったという事か? 気に入ってくれたのなら俺も嬉しいよ。

俺もゴーレム達が描いてくれた絵を魔法袋にしまっておかないと。

足長にも見せる。どうだろう?

……なぜか曖昧な雰囲気を感じる。なぜだ?

出来栄えは黒のゴーレムの絵と遜色ない筈なんだが。


足長は机の上の紙を1枚取ってお絵描きさんにセットすると、また何か描き始めた。

すぐに描き終わる。何を描いた?

……ドラゴンの絵だった。割りとシンプルな絵だが間違いなくドラゴン。

どういう意味?

この流れを考えてみよう。


黒のゴーレムにヒュドラを倒している場面の絵を描いて見せる→足長に獣を倒している絵を描いて見せる→曖昧な雰囲気を感じさせた後、ドラゴンの絵を描く。


つまり、自分もヒュドラのような大物を倒している場面を描いて欲しい。

できればドラゴンのような大物を。こういう意味?


足長には黒のゴーレムの時より安い値段だという理由で金貨600枚のスクロールを切られてしまった訳だが、例えそれを許容できたとしても、その要求はとても受け入れられないぞ?

お前がドラゴンを倒せるとして、その場に立ち会えと言うのか? 

絶対にお断りなんですけど! ドラゴンの戦場は危険過ぎる!


「ドラゴンを倒している姿を描いて欲しい、という意味なら、それは無理だから。そもそもドラゴンなんてそう簡単に見つかるものじゃないでしょう?」


絵を描く為にドラゴン戦とか狂気ですわ。

俺はまともな幼女だから。そんなの無理だから。


ん? もしかして、


「フィクションでもいいのかな? つまり、想像で描いてもいいの? という意味だけど」


足長からは明らかに否定的な雰囲気が伝わってくる。

ダメ、じゃねーよ。リアルの方がはるかにダメでしょ!


さーて、黒のゴーレムは2枚目に何を描いたのかな? 見せてもらおう。

皆でボール遊びをしている絵だった。

これも上手いなー。何だか楽しそうな、そんな雰囲気が伝わってくるわ。

もう個展を開いてもいいんじゃないかな?



シルヴィアはお絵描きが気に入ったみたいだ。たくさん描いている。


最初は家族の絵を描いていたが、その内狼やゴーレム達の絵も描き始めた。

いろんな絵を描くのもいいんじゃないかな。

ところで、セシリアの絵が無いのはなぜかな?

難しい? そう? まぁおいおい描けるようになればいいかな。好きに描けばいいと思うよ。


でも、ゴーレムの方がはるかに描くの難しいと思うんだけど。


そろそろ小腹も空いてきた事だし、少し休憩しよう。

ロビーにあったカフェスペースで軽食を取る事ができるかな?

いや、じろじろ見られたら落ち着けないかもしれないし、外へ出るか。

ついでに買い物をしよう。シルヴィアの帽子も買わねば。


外へ出ようとしたらクレアがぐずり始めた。おむつじゃないよね?

確認するとやはり違う。ミルクか。ミルクのタイミングがよく分からないわ……

ミルクを飲ませて背中を叩いてげっぷを出させる。

けぷっ。上手だねー。


今度こそ外へ出る。出ようとしたら職員に呼び止められた。何?


「こちらは従魔の印になります。外へ出るならこちらを付けてください」


そうだった。足長の分を買わなければ。

リザードを売ってお金をつくらないと……えっ? くれるの?

タダでくれるらしい。それも2つも! 何という太っ腹! でも何でくれるの?


ヒュドラを売ったからサービスしてくれるらしい。マジか。金貨2枚をタダにするとは。

スクロールも半額にしてくれるし、ヒュドラは余程の儲けが出るのだろうな。

これも黒のゴーレムのおかげだ。これからは黒のゴーレム様と呼ぼうかな?


足長に従魔の印を付けよう。

こいつは形が少し変わっていて、肩らしきものはあるのだが腕が無いので「たすき掛け」ができない。

いや、できなくはないんだけどすぐに落ちそう。

頭の部分に角みたいなものがあるからその根元にくくりつけるか。

先端の方は尖っていて危ないけど、根元の方なら大丈夫だろう。


足長にしゃがんでもらって、角の根元に紐の長さを調節して取り付ける。



買い物でどれだけお金を使うか分からないから先にリザードを売ってお金を増やそう。

買い取りカウンターへ行く。


「リザードを買い取って欲しいんですけど」


「見せてください」


とりあえず5体ぐらいでいいか。いくらになるのかな?


「全部で金貨10枚になります」


おお! 結構いい値だ! 1体あたり20万か、5体で100万! 十分な額だ。


金貨を受け取ってようやく外に出る。

中央通り辺りでうろついていれば迷子になる事も無いだろう。

まずは軽い食事だな。何を食べようかな?


そこそこ客が入っているカフェらしき所に決める。

オープンテラスがあるので狼やゴーレム達がいても大丈夫みたいだ。

ホットケーキみたいなものを注文する。

シルヴィアの様子は……だいぶ元気になっているように見えるけど、どうかな?

ホットケーキと飲み物が3つ並べられた。狼の分は空いている椅子の上に置く。

ここから食べてね。


「しーちゃん、自分で食べられる?」


頷くシルヴィア。ホットケーキを食べようとするが……ええと、難しいかな?

手伝いが必要なようだ。小さく切ってやる。


シルヴィアは食べようとするが……何か危なっかしいな。ちゃんと飲み込めるのかな?

あああ、何か詰まらせてないか? 飲み物を飲んで!

このチョイスは失敗だったか? もっと小さく切ればいいのか?

もっと小さく切る。今度は大丈夫そうだ。

くっ、シルヴィアの事が気になって自分が食べられない。子供連れって大変だな。


結局シルヴィアが食べ終わるまで待ってから自分の分を手早く食べる。

味わう余裕は無かった……


次は買い物だ!

まずは帽子を買おう。道行く人に教えてもらって帽子を売っている店に行く。


店の中に入る際、足長がどうするつもりなのか気になって見ていると、低い姿勢で長い脚を前後に開いて折り曲げて、まるで四足の蜘蛛のような格好になった。

正直言って格好悪いと思います。でも気配りができている!

そのまま店に入ったら圧迫感が半端なかったと思うわ。いいやつだな、足長。


「しーちゃん、帽子を買うから好きなデザインを選んでね?」


帽子の見本を見てもらうが、よく分からない様子。まだ自分の好みというのはないのだろうか?

まさか遠慮している訳ではないよな? 俺が決めていいのか?

シルヴィアに似合いそうなデザインを選ぶ。これでいいかな?


「ありがとうございました」


店を後にする。可愛い帽子を2つ、銀貨5枚で購入。

1つに絞り込めなかったので2つ買った。まぁいいよね!


次は靴を買いたいのだが、子供用の靴ってサンダルみたいなやつしかないのかな?

今シルヴィアが履いているのもサンダルみたいな簡素な物なんだが、もう少ししっかりした靴がいいと思うんだが、売っていないかな?


売っていませんでした。無いらしい。自作する……靴の製作もスクロールで何とかならないか?

服も子供用は売っていないし、裁縫スキルも欲しいな。

とりあえず、布と針と糸は買っておくか。


後は日用品とか、食べ物類だな。市場を歩き回って買っていく。


最初は珍しそうに周囲を見ていたシルヴィアもだんだん元気がなくなってきた。

疲れたのかな? 人が多いからかな?

あるいはまだ買い物に連れて来るには早過ぎたか。

そうかもしれない。買い物を切り上げて帰ろう。


ギルドに戻ると滞在用の部屋に案内してくれた。

広くて内装が豪華だ。この部屋でいいのか? 宿泊費はおいくら?

……無料でした。VIPか! 待遇良過ぎじゃないか? これもヒュドラ効果か!


キングサイズの素敵なベッドでシルヴィアとクレアにお昼寝をしてもらう。

ちょっと時間的には遅いけど、俺も休憩したいのよ。


ちょっと休憩の筈がいつの間にか寝てしまった。子供達は?

良かった、まだ寝ている。そろそろ夕食の支度をしないと。

この部屋は隣にキッチンまでついている。ここで料理をしよう。


今日はお粥にしよう。市場で米を売っていたからたくさん買ったのだ。

鶏肉に似た味のリザードの肉を使って鶏粥を作る。この場合はリザード粥か。

名前の響きがよろしくないな。「鶏粥」と呼ぶ。異論は認めない。


次は唐揚げだな。大きなサイズと小さなサイズ。両方作る。もちろん二度揚げだ。

味見する。うむ、パーフェクトな出来!

後は野菜サラダと果物を用意しておけばいいだろう。


料理をしているとギルマスがやって来た。


「セシリア様、預かり証をお持ちしました。よろしければ夕食を……あら?」


「何でしょう?」


「夕食をご一緒しませんか? とお誘いしにきたのですが、すでに作られていたのですね」


「ええ」


もうすぐ完成だ。


「せっかくですが」


「美味しそうですね」


食べたそうな雰囲気。誘うべき?


「ギルマスもよかったら一緒にどうですか?」


「ありがとうございます! ぜひ! 後、私の事はエマとお呼びください」


ギルマスの嬉しそうな顔!


「わかりました、エマさん」


たくさん作ったから問題無いぜ。



シルヴィアを起こして皆で食べる。クレアはまだ寝ている。


「これは美味しいですね!」


「気に入っていただけてよかったです」


エマさんは唐揚げが気に入ったご様子。お粥も温かいうちにどうぞ。


シルヴィアもお粥が気に入ったみたいだ。お粥なら喉に詰まらせる事はない。肉も細かく刻んだし。

唐揚げも小さいサイズを更に四分の一にカットする。これなら大丈夫な筈だ。

シルヴィアはちゃんと自分で食べる事ができている。偉いぞ!


狼は唐揚げは食べるがお粥は食べない。食べ難いのかな?

何か工夫が必要なのかもしれない。


「セシリア様は料理もできるなんて素晴らしいです!」


「どうも」


このエマさん、少し大袈裟な気がする。どこかの村長を思い出すな。


「料理ができてお金を稼ぐ事もできるのであれば、子育てもできる、という事でしょうか?」


いや、まだそう決めた訳ではないのだが。


「調査結果次第です」


「そうでしたね、失礼しました」


だが引き取り手がなかった場合、そうしなければいけないのかもしれない。

一応、この町の施設の様子も見に行くか。


「裁縫ができるようになるスクロールってありますか?」


「ありますが、需要が少ないので高価なものになってしまいます」


「需要?」


「大抵の女性は裁縫ができるので、スクロールを買う人は少ないのです。売れない分高くなります」


「具体的には?」


「金貨10枚です」


正直高く感じる。だが必要なのだ。


「リザード5体と引き換えで手に入りませんか?」


「いいですよ」


ちょっと手持ちのお金が増えて嬉しいと思ってもすぐに減っていく。

市場でも買い物でお金を使ったし、リザードも残り少ない。また狩りをしなければ。


エマさんからは他にヒュドラの解体や素材の価値についての話、この町の様子などについて聞く事ができた。有意義な時間だったな。

シルヴィアもたくさん食べた気がする。いいぞ、いい感じだ。



食事の後片付けをして、シルヴィアに洗浄の魔法をかけたらすぐに寝てしまった。やはり疲れていたのか。

明日からはもっと慎重に様子をみなければ。


クレアにミルクを飲ませたら俺も早めに寝ようかな。また夜中に何度も起きないといけないし。

やるべきことはたくさんあるのだけれど、あまり時間がなかった。明日もやる事はたくさんある。


おやすみなさい。




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