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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第3章 旅する幼女
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幼女達の小旅行

街道を軽快に走る4体のゴーレム。


先頭は赤いゴーレム。

道中で赤っぽい色の土を見かけたので、その土で2号機を作ってみたら赤っぽい色のゴーレムになったので、隊長機と名付けて先頭を走らせている。


2番目は幼女が乗る3号機。

3番目が黒のゴーレムで、最後尾がグレーの2号機である。


まるで戦場に赴く軍の部隊みたいだが、実際は幼女の小旅行だ。


いつものようにギルドの制服を着て帽子を被っている幼女はこの中では浮いているかもしれないな。

まぁ、そんな事は気にしない。しないったらしない。

風を切って走るこの感覚は実にいいね! 楽しい!



街道には他の旅行者や隊商らしき一行も見かけるけど、速度差が大きいからすぐに追い越してしまう。

こちらを見てどういう反応をしているのか分からないな。


おっと、向こうからやって来る行商らしき人達が先頭の隊長機を見て驚いているな。

危険じゃないですよー。

笑顔で手を振ってみる。


俺が先頭の方がいいかな?


狼はこの一行に遅れずについてきている。

最初はゆっくり走り出して、徐々にペースを上げたんだが、平然とした顔でついてくる。

速度を推測するのは難しいが体感としては、おそらく時速50~60kmぐらいは出ていると思うんだが。

彼女はずっと3号機の横を走っている。


1度は通った道、見覚えのある風景だ。ここら辺で4分の1ぐらいの距離の筈。


うむ、楽勝だな。超楽だ。

これならプラス村までたぶん2時間ぐらい? 速いなー。

さすがゴーレム! 何ともないぜ!

そして狼も、タフだなぁ……疲れないのか? そろそろ休憩を入れるか。


小休憩を取った後、再び走り出す。

極めて順調だったにも拘らず、道に迷ってしまった。


まぁ、俺が悪いんだけど。



2度目の小休憩の時、街道沿いに広がる森を見ている内に「森の中で土ゴーレムを複数展開させたらどうなるかな?」と思ってしまった。


「ちょっと寄り道して森の中でゴーレムを動かす練習をするよ。これは狩りをする為に必要なんだ。獣や魔物を狩ってお金を稼がなければならないのさ」


狼と黒のゴーレムにそう言って、森の中で自分の視界を複数に分割して土ゴーレムと視覚を共有して動かす練習を始めた。


距離をとってお互いを見る。

ふむ。少し離れただけで、だいぶ見難くなるな。

この状態でお互いに走らせてみる。

うーむ、難しい。

平地で動かすより難易度が上がっている気がする。


土ゴーレムの視点を入れ替えながら複雑な動きをさせてみる。

これって「並列思考」というやつだろうか?

上手く使えれば、色々役に立つだろうな。



最初は森のごく浅い位置で練習していたんだが、視点を何度も変更したり、距離をとって様々な動きをしながらあちこち動いている内に、結構深い所まで来てしまったらしい。


それでもそんなに長時間移動した訳ではないので、すぐに戻る事ができると思ったんだが戻れない。

仕方ないので狼に道案内を頼むと彼女は先導して歩き始めてくれたのだが、


「おかしい……」


来た時よりも時間がかかっている上に、どう見ても見覚えの無い風景に変わっている。


「なぁ、もしかして、お前も迷っているのか?」


だが狼は振り向きすらせず、断固たる態度で歩き続けている。

どうなっているのか……


「ちょっと止まろう」


狼に声をかけて、もはや森ですらないどこかで停止する。


「お前はどこへ行く気なのか?」


聞いても返事はしないんだけど、聞かずにはいられない。


しばらく俺を見ていた狼は、また明確に目的地を定めているかのような態度で歩き始めた。

本当にどうなっているの……


森が無くなって、「礫砂漠」のような景色になっている。

ドラゴンを迎え撃った戦場に似ているが礫の色が違う。もうここがどこなのか完全に分からない。

狼はどこへ行きたいのだろう?

戻っても道は分からないし、狼の後をついて行くしかない。


まぁ、この景色も悪くは無いな。

ダイナミックな自然の姿を眺めて歩くのも一興だ。(歩いてないけど)



とうとう日が暮れ始めた。この辺で野営するか。

夕飯の支度をする。今日はベーコンをたくさん出そう。

狼は街道でいっぱい走ったからご褒美だ!


塩を入手してから、ファングボアの肉を使ってベーコンを手作りしていたのだ。

我ながら素晴らしい出来! これを市場で売るという手もあるかもしれない。

何しろ肉は大量にあるからな。ベーコンも大量に作った。


がふがふがふがふ。


狼はベーコン好きだねー。俺も好きだよ。もりもり食べる。

野菜も食べろよ、狼。


食後のお茶を飲みながらゆったりと寛ぐ。

別に先を急ぐという訳ではない。こういうのもたまにはいいだろう。


星空を眺めながら、何となく歌を歌う。


「らーら、ららーら、ららっららあー、ららららー」


何か、ちょっと楽しくなってきた!


「らーら、らっららーらららー」


狼は眠そうだ。黒のゴーレムは星空を眺めている。


悪くない。これも旅だな。



荒涼たる地平を眺めながらゴーレム隊は歩き続ける。

時々走らせて最高速にも挑戦してみた。

かなり速いと思うんだけど、時速でいうと何kmぐらいになるのか全く分からない……

そして狼は当たり前の顔でついてくる。お前は一体何科の生き物なんだ……


殺伐とした景色。人の気配は全くしない。

遠く、人の世界から隔絶されたかのような風景。



再び森の姿が見えてきた。

今日で3日目、そろそろ人の領域に戻りたいんだけど。


高い木々が生い茂った森の中に入っていく狼。ゴーレム隊も続く。


しばらく歩いていると少し開けた場所に出た。

そこには青黒くて丸まった、小山のように大きな何かがあった。


「何あれ?」


まるで俺の声に反応したかのように、その何かが静かに蠢き始める。


鎌首をもたげる長い3本の首。凶悪そのものと言った顔。

まるで小さなドラゴンのようなその姿。

いや、小さくはない、見上げるほど大きい!

6~7mぐらいか? そしてもっと長い尻尾がある!


どうみても「ヒュドラ」だろう……これ。


「グルゥオアアアアアア!」

「ギャオォオオオオオオ!」

「グゥオアアアアアアア!」


3つの顔が全てこちらを見ている! 完全にロックオンされてるよ、これ!!


「「「ガァアアアアアアアア!!!」」」


ヤバい、逃げられるか!? だが距離が近過ぎる!!


どうする? こいつの強さはどれくらいなんだ?

戦うか? 逃げるか?


本当にどうする!?




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