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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第3章 旅する幼女
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仕事は?

買い物をしよう。



生活用品ばかり買っていた自分を反省する。

もう少し遊び心というものを考えるべきだった。


それにプラス村に遊びに行くにしても手土産の1つや2つは持っていくべきだろう。

特にリナには。


という訳でお買い物だ。

ちょっとした小物を買いたいという話をしたら、クリスが案内をしてくれるというので2人で買い物をする為に中央通りに来ていた。


今日もクリスはアイドルのような可愛いさ全開のオーラを放っている。

二段のボブカットが似合っているね!

髪の色が「緑色」というのがまた異世界っぽくていい!


そんなクリスと手を繋いで歩いていると、まるでデートのような……いや、これは子守だよね。分かっていましたとも!

いいんだ、楽しいから!



お洒落な小物類が置いてあるという店に入る。


当然のような顔で一緒に入ってくる狼と黒のゴーレム。入っていいのかな? 

店の人も中にいる他の客も何も言わないんだけど。


「クリス、従魔って店の中に入っても大丈夫なのかな?」


「大きいのはダメだけど、ウルフや小さいゴーレムなら大丈夫よ」


それならいいんだけど。


黒のゴーレムは横に大きく張り出した肩の部分を縦に折り曲げている。

店内で邪魔にならないように、という事だろうか?

何という細やかな心配り! そこ曲がるんだね。

そんなところもはいごっぐだね。


「どんなものが欲しいの?」


「小さな女の子に似合う飾りとか、そういったもの」


よく分からないのでクリスに選んでもらう。


値段はそれなりにするが、まぁいいだろう。買えない事はない。

髪飾り等を選んでもらって次は帽子を買う事にする。

幼女は日差しに弱いので1つ買っておきたいのだ。


「これなんてどうかな?」


クリスが可愛らしい帽子を手にとって自分で被って見せてくれる。

おぉ! なんという可愛らしさ!

ギルド職員の制服にはまるで合っていないが、そんな事はものともしないクリスの可愛らしさよ!

まさにトップアイドル様のごとく!


「いいんじゃないかな? クリスに似合っているよ」


「そう? ありがとう。でもセシリアの為に選んだのよ?」


「サイズが合わないし。そうだ! 買い物に付き合ってくれたお礼にその帽子を買ってプレゼントするよ!」


「えっ? でも……」


「そのデザインは好みじゃなかった?」


「可愛らしくて私も好きよ」


「じゃあ、ぜひ受け取って欲しいな」


「そう? ありがとう! 嬉しいな!」


この輝くばかりの笑顔! なんという可愛らしさ! 

ヤバい、もっとたくさん買ってあげたくなってきた! これが可愛い女の子に貢いでしまう気持ち、というやつか?


何という事でしょう! 分かってしまう! 幼女なのに!


もちろん自分用の帽子も選んでもらう。

たぶん良い物なんだろう。クリスが褒めてくれたし!



楽しい買い物の時間はあっという間に過ぎてしまった。

クリスは仕事中の休憩時間を使ってくれたので、仕事に戻るクリスと店の前で別れて狼や黒のゴーレムと町を歩く。

早速買ったばかりの帽子を被ってみる。いいんじゃないでしょうか。


「黒いゴーレム」が町中を歩いているというのに、誰も気にしない。

従魔の印をつけているからか? さすがに金貨1枚するだけの事はあるな!



適当に昼食を済ませた後、町の中を歩きながらゴーレムを使ってできる仕事について考えてみる。


「小さいゴーレム」か……


この町で他のゴーレムを見た事がないのだが、やはり小さいのだろうか? 

俺の作るゴーレムは形の自由度は高いのに、大きくする事ができない。

大体1.4mぐらいで、黒のゴーレムより少し大きいだけだ。(黒のゴーレムは1.3mぐらい)


例えば、地面に開ける穴だとMPを1消費して「重ね掛け」をすればその穴を大きくしたり深くする事ができる。

でもゴーレムに「重ね掛け」をしても大きくする事ができない。

最初から大きく作る事もできないし、一体何が違うのか。


他の土魔法使いを探して土魔法について教えてもらった方がいいのかな? 時間もあるし。



考え事をしながら歩いていると、どことなく前に見た事があるような所に来ていた。


「ここ、前に迷い始めた所だよな?」


危ない、また迷う所だった。考え事をしながら歩くのは危険だな。

どこかで休憩しながら考えるか。


来た道を戻ろうとすると俺を呼ぶ声がした。


「魔法使い様!」


振り返ってみると、どこかで見たことのある顔。

あぁ、セディスだったな。


「こんにちは。お元気そうでなにより」


「あぁ! 俺は元気だぜ! 姉ちゃんもな!」


「それは良かった」


「2人とも働けるようになったから金ができたんだ。今、ハンターギルドへ金を持っていくところだったんだぜ!」


そう言って銀貨を取り出すセディス。

おぉ、こいつは立派だな。ちゃんと借金を返す事ができている。

セディスから銀貨を受け取る。


「セディスは何の仕事をしているんだ?」


「俺は商会で荷物を運んだり、倉庫の管理をする仕事をしているんだ」


「ほぅ」


こいつに話を聞かせてもらおう。


「この辺でお茶を飲んで休憩できる所はないか? 少し話を聞かせて欲しい」


「あ? いいぜ! こっちだ」


セディスに案内してもらい、喫茶店みたいな所でお茶を飲む事にする。

もちろん狼と黒のゴーレムも中に入る。


「私の奢りだ。話を聞かせてもらうお礼だから遠慮は要らない」


「それならありがたく頂くぜ! 話って何だ?」


「荷運びについての話だ。見ての通り私はゴーレムを従魔にしている。また土魔法でゴーレムを複数作成して動かす事も可能だ。どうだろう? 荷運びの仕事をさせてもらう事は可能だろうか?」


(たぶん)力持ちのゴーレムだから(きっと)歓迎してもらえると思ったのだが、セディスは困惑顔。なぜ?


「えーと、何で荷運びの仕事を? ギルドの仕事は?」


「今、休職中なんだ。それで何か他の仕事をできないかと思って探している」


「ゴーレムなら凄い力だから仕事はできると思うけど、そうすると今荷運びの仕事をしている人があぶれちまう」


「……人は足りているのか?」


「余っているぐらいだぜ。俺は運よく仕事にありつけたけど、奴隷もいるし、人手が足りないという事はないと思うぜ」


「……奴隷がいるのか?」


「そりゃいるぜ」


奴隷なんていたのか、気が付かなかったな。どこにいるんだ?

いや、今はそれよりも仕事の件だ。

うーむ、そうか。

今いる人の仕事を奪ってしまうというのはマズいな。


「ゴーレムじゃないと運べない重い荷物、というのは? 無いのか?」


「そういうのを運ぶ専用の魔法の道具があるぜ」


「そうなのか」


ぐぬぬ。

魔法がある世界なんだ。そういう魔法の道具があるのも当然か。


「このゴーレムは戦闘用じゃないのか? 強そうに見えるけど」


「まぁ、たぶん」


たぶん強い筈だが、戦っているとこ見た事ないし。


「それなら獣や魔物を狩ればいいんじゃないか? 金になるんだろう?」


「うーん、たぶん」


「魔法使い様はハンターギルドの職員だろう? ギルドで聞けばいいんじゃないか?」


「まぁ、そうだな」


ジュディに相談……いや、ジュディは「遊べば?」と言っていたな。


プラス村まで遊びに行った後、ちょっと遠出をして害獣駆除みたいな狩りをするか? ファングボアみたいなやつ。


近場だと若いハンター達と仕事を取り合う事になるかもしれないので、ゴーレムで少し遠くへ行けばいい。それなら誰かの仕事を奪うという事にはならないだろう。

……一応、ジュディに確認しておくか。


「ありがとう。参考になったよ」


「魔法使い様の役に立てたのなら俺も嬉しいぜ」


「あぁ、大いに役に立ったよ。姉ちゃんによろしくねー」


「おう!」


セディスと別れて俺はお出かけの準備をする。

目指すはプラス村。



ゴーレムならあっという間に着くぜ!




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