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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
119/122

出かける前に

ざーざーざーざー……。


朝から土砂降りの雨。

今日はプラス村へ行くつもりだったのに、こんな天気じゃ行く気無くすわー。


昨日発案した「遊具」を村でも披露してリナに遊んでもらおうと思っていたけど、雨では外で遊べないし……大きな屋根でも設置して屋内施設にすればいけるか? そこまでしなくてもいいか。明日にしよう。


そうすると……今日は何をしようかな? 

西と東の公園に設置した遊具の作り直しやゴーレムの回収は昨日済ませたし、遊具の耐久性に関する局長代理への報告はミラが買い物ついでにやってくれるというので任せてある。


ミラの「お礼」についてクローディアへ連絡するのは……昼休みの時間帯でいいか。

他に何かする事あったっけ? こういう時こそ手帳を見返して確認だ!


えーと、「ゴーグル」は急ぎの話ではないな。あ、そうか、照明の魔道具。飛行型ゴーレムの機内で使いたいから買いに行かないと……この雨の中? 出かけたくないわー。


この世界には天気予報なんて無いのでこの雨がいつまで降り続けるのかわからない。止むまで待つか? とりあえず昼過ぎぐらいまでは様子を見よう。


では、他にやる事も無いのでリビングでゴロゴロして……はっ!? いかーん! そんなんだからお腹ポッコリになるのだ。ここはトレーニングでしょう!



リビングにフィットネスゴーレムを出して早速始める。まずは鞍型の椅子に跨って左右に揺らす動きから。


ゆーら、ゆーら、ゆーら。


このお腹にぐっと効いている感じが実にいい! エクササイズやってます! っていう手応えがあるわ。

次は前後にV字の動き。


ぐいーんぐいんぐいんぐいん!


「なにしてるの?」


トテトテとシルヴィアが近付いてきた。不思議そうな顔をしている。


「こっ、れっ、はっ、エッ、クサッ、サイ、ズ!」


「……くさ?」


割とガチな動きなんでしゃべり難いんだよね。


ぐいんぐいんぐいん!


「やってみたい」


言うと思ったよ。でもしゃべり難いんでちょっと待ってもらおうか。


「ちょっ、まっ、てね?」


(クリエイトゴーレム!)


庭でフィットネスゴーレムを作成するイメージをして、出来上がったゴーレムを家の中に入れる。おっといけない、ゴーレムがびしょ濡れだ。床も濡れてしまっている。乾かさないとリディアに怒られてしまう!



フィットネスゴーレムの姿勢を低くして乗り易くしてやる。よじよじと椅子によじ登るシルヴィア。期待感に目を輝かせているが、同じ動きはしないよ? 初心者にはハードルが高いから。


ぐいん、ぐいん、ぐいん。


ゆっくりとスクワットをするように縦に揺らす。


「わぁー!」


シルヴィアはしっかりとバランスをとっている。体幹が強いのか? もう少し複雑な動きをしてもいいかも。


(なにしてますか?)


アルジェンティーナが真っすぐな目でこちらを見ている。しっぽの動きが早い! お前も遊びたいの?


(シルヴィアは遊んでいるけど、俺はトレーニング)


(やります!)


(遊ぶ方だよね?)


(トレーニングです!)


意味わかっているのか? たぶん狼には必要無いと思うぞ。


すぐに幼女に変身するアルジェンティーナ。いや、そういう意味じゃない。

裸の状態でやる気を見せているアル。とりあえず服を着ろ。



アルジェンティーナが服を着ている間にシルヴィアが乗っているゴーレムの動きを「ゆっくりV字」に変える。


ぐいーん、ぐいーん。


「きゃー!」


喜んでくれているようで何より。


服を着たアルジェンティーナを俺の後ろ(ゴーレムの背中側)の椅子に座らせる。こっちは強めの動きだ。


ぐいんぐいんぐいん!


(どう?)


(平気です!)


ふさふさのしっぽは激しく揺れているのに体は全く揺れないな、こいつ。どうなっているのか。

では更に高度な動きにチャレンジ! 足を延ばして左右と前後の動きをミックス!


ぎゅいん! ぎゅいん! ぎゅいん!


「ふぉおおおお!?」


がくんがくんがくん!


幼女の頭が激しく揺さぶられている! これはヤバい、首をヤられてしまう!

やめやめ!


「はぁっ、はぁっ、はぁーっ……ヒール!」


ぽやん。


やはりダメージが入っている。「幼女の体形」をもっと考慮すべきだった。首の力が弱ーい!


(大丈夫ですか?)


平然としているアルジェンティーナに心配されてしまった。なぜこいつは平気なのか。同じような体形なのに!



昼までトレーニングをして、昼過ぎに通話の魔道具を使ってクローディアに連絡を取る。面会の予約はあっさりと3日後に決まった。ミラに伝えないと……あいつどこにいるんだっけ? ギルドに伝言を頼めばいいのか?




昼ご飯を食べた後も雨は止まない。仕方ない。買い物に出掛けるか。

密閉型コックピット付きのゴーレムに乗れば雨には濡れずに行けるだろう。



昼下がりの町中もそこそこ人出がある。半数ぐらいの人は「傘」を差しているけど、傘はこっちの世界でも同じ形をしている。用途が同じだと自然と形も同じ物になるのかな? 残り半数は雨合羽みたいなのを着ている。何の素材で出来ているのか、私、気になります!



すぐにハンターギルドに到着。中に入ると人でいっぱいだ! なぜに? いつもはこの時間帯は閑散としているのに。たぶんハンター達だと思うんだけど装備を身に着けているやつがほとんどいない。休みなのか? なら何でここにいるんだよっていう……邪魔だな。人が多過ぎてゴーレムから降りたら踏みつぶされそう! このまま乗っていようかな? そうしよう。


ゴーレムに乗ったまま人をかき分けて中へ進む。誰も何も言わないな。1人ぐらい「ゴーレムかよ!?」とか言ってもいいのに。


「よー、セシリア。お前もヒマなのか?」


「違うし」


「よー、セシリア。お前も飲んでくか?」


「飲まない」


併設のカフェも満席だ。どうやらこいつらはヒマを持て余してここにきているらしい。どっか遊びに行けばいいのに。



受付の前まで行くとまた新人ちゃんがいた。下を向いて何か書いている。この子、名前何ていうのかな?


「こんにちは」


「はい、こんにち……ゴッ、ゴッ!?」


顔を上げた姿勢で固まる新人ちゃん。惜しい、そこは「ゴーレムかよ!?」って言っていいんだよ?


「セシリア久しぶりぃ」


隣の受付にヘレンがいた。やけに気だるげ。


「久しぶり」


「雨って憂鬱よねぇ。暇だしぃ」


知らんがな。


「あ、セシリアさんだったんですか、よかった……ずいぶん姿が違いますね」


それは素で言っているのか? 新人ちゃんは天然ちゃんなのかもしれない。


「この町周辺の地図を手に入れたいんだけど、どうすればいい?」


プラス村へは飛行型ゴーレムに乗っていく予定なので方角と位置関係を正確に把握したい。マーヴィンのギルドに詳細な地図があったからたぶんここにもある筈だ。買えるかどうかはわからないけど。


「範囲はどれぐらいですか?」


「半径50㎞」


たぶんそれぐらいだと思うんだけど。


「閲覧だけなら銅貨5枚、購入は銀貨5枚です」


高いな。でも買う。


新人ちゃんが奥から持ってきた地図は50㎝ぐらいの大きさでシオリスの町を中心に半径50㎞の範囲が書かれていた。地形や主要街道に町や村の名前も載っている。

プラス村は……あった。端っこの方だな。


ついでに照明の魔道具を売っている店を聞いたらギルドで買えると教えてくれたので見せてもらう。

照明の魔道具はランタンみたいな形で高さは約20㎝。小さいのに値段は金貨3枚もする。高いなー。ハンター向けの頑丈ないわゆるプロ仕様ってやつらしい。


「これは大変良い物なんですよ! 何と、水の中でも光るんです! 今なら予備の魔石もお付けします!」


新人ちゃんが力説している。ノルマでもあるのか?

同じ形でオイルを使う普通のやつは銀貨5枚。これは予備にするか。両方買っておこう。


「ねぇ、一緒にお茶しなぁい?」


「しない」


ヘレンは金色の髪をかきあげる仕草で無駄に色気を振りまいている。お前も働けよ。


ミラに連絡を入れるように頼んでギルドでの用事は済んだ。帰るか。


「よー、セシリア。メシ食ったか? まだなら奢ってやるぞ?」


「もう食べた」


なぜ構いたがるのか。



結局雨は止まなかった。明日だな。




あーさー。今日は朝から快晴です。絶好のお出かけ日和!

朝ごはんを食べた後、皆で出掛けるべく玄関ホールに集まっているとシルヴィアがトテトテと近寄ってきた。


「どこいくの?」


「ちょっと遠くへお出かけするんだよ」


「あそびにいくの?」


「そうだねー」


「いっしょにいく」


エクレールとアルジェンティーナがいるから自分もっていう顔してるけど、どうしたものかな?


「リーディアー!」


母親を召喚。地図を見せてプラス村の位置を伝える。


「シルヴィアが一緒に行きたいって言ってるんだけど」


「うーん……」


リディアが思案顔。距離的にはちょっと遠いんだよな、プラス村。

直線なら30㎞未満だが、街道を歩くと約35㎞。来る時はこの距離を3日かけて来たんだよなー。


「飛んでいくからたぶん5分以内だよ」


距離ではなく時間でみるとプラス村はもはやご近所。歩いて公園へ行くより早い。魔法の力は凄いなー。


「うーん……」


心配そうな表情は変わらない。何度も参加メンバーを見渡している。ふむ。

ビアンカは朝ごはんを食べてすぐに出かけているし、シュバルツとノワールは行く気が無いようで、庭で寝転がっている。日光浴?


つまり、玄関ホールにいるのは俺(幼女)、エクレール(幼女形態)、アルジェンティーナ(幼女形態)、そしてシルヴィア(幼女)。

うむ、(見た目は)ロリしかいない。リディアが不安になるのもわかる。


「リディアも一緒に行く?」


「ええ」


当然クレアも一緒だ。ロリが増えるね!




庭に大型機は出せないので皆でギルドまで歩く。

ギルドの裏でV-22型ゴーレムを作成して、機内で昨日買ったランタンを付けて光らせるとまるで山小屋の夜みたいな雰囲気!


「皆乗った? じゃあ出発するよー」


特に村に興味は無いけどV-22型の操縦がしたいだけのエクレールが飛行を担当してくれる。


ブォオオオオ!


「わぁー!」


2つの巨大なローターが回転して機体を力強く浮かび上がらせると、窓にかじりついたシルヴィアから歓声が上がった。


「本当に空を飛んでいる……何て凄い魔法……」


「だぁー!」


リディアも(きっとクレアも)感銘を受けている様子。でもすぐに飛行は終わるんだけどね。



5分後。プラス村に到着。あっけないなー。


空から見るプラス村はもう収穫が終わっているらしく閑散としていた。作業をしている人の姿も無い。落ち着いた雰囲気と言えなくもない。


村の手前は傾斜地になっていて着陸可能な場所は狭いのだが、エクレールの華麗な操縦テクニックで難なく着陸に成功。



「お、お貴族様か!?」「た、大変だ!」


機外へ出ると見覚えのあるじーさん達がV-22型ゴーレムを見て目を大きく見開いて驚いている。


「こんにちはー。お久しぶりです」


「お、お前、いや、セシリア様か!?」「ちびっこか!」


ちびっこって、ちょっとは大きくなっているんだけど、まぁいい。


プラス村よ、私は帰ってきた!




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― 新着の感想 ―
[一言] ああ……ようやく。 あの廃村へ戻る時に、また寄ると言ってからどれだけ経った事か。 またボアを狩って、焼肉パーティーで夜まで~な流れですかね?
[一言] 裸足で辿り着いた最初の村、異世界で最初に出会った人達、本人だけには懐かしくて、感慨もひとしおでしょう。 (故郷は廃村だけど)これぞ凱旋!故郷に錦を飾る!そんな絵面がまぶたの裏に見えます。
[一言] 更新ありがとー。がんばれー\(^-^)/
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