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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
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ミラといっしょ

お久しぶりです。

エクレールの角カバーの件はお金が掛からずに済んだ。


ついさっき1億の収入を得たばかりだというのに、またすぐに1億の出費がー! ……などという、いつものパターンにはならなかったのだ!

そう毎度毎度、同じパターンでやられはせんよ! 別に俺が何かした訳ではないが。


それにしても、いやに簡単に斬れたな? 角カバー。オリハルコン製なのに。

オリハルコンって、もっと強度があった筈なんだけど。


(私の角をもってすれば容易い事)


エクレールがどやぁ……みたいな顔してるけど、角カバー作った時と違ってないか?


(斬れ易くした)


何だとぅ……「斬れ具合」って、可変なの? という事はもしかして「斬れ難く」する事も可能?


(そんな事はありえない)


何でだよぅ……「斬る」事にこだわりがあるのか、それともドラゴンのプライド、的な話?



工房に行く必要が無くなったので時間ができた。次は何をしようかな……他に何かあったような?


……そういえば、どうも最近俺は忘れっぽいというか、「記憶力」に問題があるような気がしてならない。さっきも角カバーの事を忘れていたし。ちょっとこの件についてじっくり考えてみようか。たまには書斎を使ってみよう。書斎といっても本は一冊も無いけど、椅子と机はある。


よっこらせ。書斎の椅子によじ登って座る。このよじ登るって感じ! 背も少しは伸びてはいるのだが、早くもっと大きくならないかなー?


さてと、俺は元々自分の事を凄く頭が良いだとか、いわゆる「出来る」人間だと思った事は一度も無い。


だがしかし、記憶力に限っていえば、少なくとも大学入試に必要なだけの記憶力はあったし、そんなに悪くは無かった。(合格したし!)

それにこの世界に来る前に得た知識に関してはそこそこ覚えている。興味があってネットで調べた飛行機に関する知識だとか、料理の事とか。(でも自分の名前は思い出せないんだけど)


なのにこの世界に来てからの事はわりとすぐに忘れてしまうような……いや、この世界で得た知識や経験も完全に忘れる訳ではない。すぐ忘れても思い出せてはいるのだから、異常では無い……かもしれない……うーん。


何でだ? 「前」と一体何が違うというのか……何がって、「体」が違ってたわ。むしろ同じところなど1つもない。


え、もしかして、体が「幼女」だから覚える力が低下している? そういう事なのか? 何それ、怖い!

記憶力が下がるなんて、恐怖しかないんですけど! マジか。体が震えてきた……おおお、落ち着け、俺!


震えが止まらない体を両腕で抱き締める。この小さな子供の体!

……そう、子供だ。つまり、これから成長するんだよな? ならば今はまだ成長の途中だから、記憶力もこれから向上していく、でいいんだよな?


体の問題だというのなら、成長すれば自然に解消すると考えられる。何だ、驚かせやがって! 別に怖がる必要は無かった。うむ、気持ちが落ち着いたわ。


よし、忘れっぽかった原因についてはそれでいいとして、今の状態については勿論そのまま、という訳にはいかない。対応策を考えないと!

何かいいアイデアは……手帳を携帯して、まめにメモすればいいか。簡単だな。

早速買いに行こう。



紙や鉛筆(のような物)は表通りの雑貨屋で買える。手帳も売っていた。

一番小さいのは10㎝×7㎝の大きさで値段は銅貨4枚。これを3冊購入。鉛筆3本と、ついでに皆のお絵描き用の紙も買っておくか。鉛筆は1本銅貨1枚、紙は5枚で銅貨1枚だから……175枚買うと支払いが銀貨1枚ちょうどになるな。


店を出た後、手帳に試し書きをしてみる。


[公園の遊具を撤収すべき?]


ふむ、いい感じじゃね? こんな感じで使っていけば「忘れっぽい」俺ともお別れできるだろう。さようなら、昨日までの俺!



家に帰る途中、いや買い物をしている間も、待機中の遊具ゴーレムの視覚で見える公園内にずっと不審者が映っている。まぁ、ミラなんだけど。


遊んでいた子供達は昼頃には帰っていて、公園内はしばらくの間誰もいなかったのだが、その後ミラが1人でやってきて遊具で遊び始めた。迷いの無い動き……子供達に遊び方を聞いたのか?


それ自体は別にいいのだが、そのうち遊具をあちこち調べだして、今は「困ったー、わからん!」みたいな動きをしている。というか、うーんうーんって、唸っている声が聞こえてくるぞ? 何やってるんだ、あいつ? おや、こちら(遊具ゴーレム)に向かってきたぞ?


(ねーっ! せっしー、聞こえる?)


うぉっ!? びっくりしたー! まさか話し掛けてくるとは! 俺が見ているのがわかったのか? ゴーレムの視覚や聴覚を使用できる事を知っているとは。侮れんやつ。


(何?)


(うわっ!? びっくりしたー!)


何でお前が驚いているんだよ? そっちから話し掛けてきたんだろーが。

のけぞるような動きで驚きを表現して、一旦離れていったミラがまたこちらを覗き込むような姿勢で近付いてきた。何がしたいんだこいつは。


(ちゃんと通じるんだー。凄いね、せっしー!)


そうだねー。凄いのは魔法であって俺ではないが。


(さっきから何をしているの?)


(そうだ! 聞いてよ、せっしー! 皆が公園の遊び道具の事を教えてくれたから見に来たんだけど、凄いね、これ! 楽しいよー!)


(それはよかった)


(それでね、東の公園にもこの遊び道具を作って欲しいの! ここは子供達が来るにはちょっと遠いし、私にはこういうのは作れないから)


あぁ、子供達が遊んでいる公園は2つあるのか。1つに作ったのならもう1つにも作るべきだな。むしろ何で気が付かなかったんだっていう……東の施設には行かなかったからだな。これはうっかり。


(いいよ。今から行こう)


(ありがとう! 皆きっと喜ぶよ!)


笑顔全開のミラ。こちらこそ、教えてくれてありがとう。


「東の公園」の場所がわからないのでミラに聞いたら案内してくれるそうなので、ハンターギルドの前で待ち合わせして一緒に向かう。勿論ゴーレムに乗っている。幼女の歩きでは時間が掛かり過ぎるから仕方ないのだ。


公園に着くと、ここでも20人くらいの子供達が遊んでいる。ここも何も無いので、走って追い掛けっこ、みたいな感じだ。


「皆集まってー!」


ミラの呼び声で子供達が集まってくる。


「ミラだー!」「ミラ、一緒に遊ぼう」「だれかいるよ?」「ちゃいろいよ?」「みたことない」「そのこはだれー?」「ちっちゃいねー?」「それなにー?」


子供達は賑やかだなー……ちっちゃい言うな。


「今日はねー、このせっしーが魔法で素敵な遊び道具を作ってくれます!」


「このせっしー?」「このせっしーちゃん?」「このちゃん?」「まほうだって!」「ほんとうー?」


こいつ、まともな紹介をしやがらねぇ! 子供達が間違えてるだろ!


「はじめまして。『セシリア』です。皆よろしくね?」


にっこり笑顔でご挨拶。


「わかった、せしーだ!」「ちがうよ? せっしーだよ」「せっしーちゃん!」


セシリアって、そんなに言い難いかな?


「それにせっしーはファングボアを倒したんだよ! 今日持っていったお肉はせっしーからのプレゼントなのー。凄く大きいから皆たくさん食べられるよ!」


「すごーい!」「おにく!」「おにくー!」「たくさん?」「せっしーつおいの?」「せっしーちゃんありがと」「ありがとう!」


「どういたしまして」


うん、もうせっしーでいいよ。


土ゴーレムに乗って移動しながら遊具を作っていく。ブランコ、シーソー、ワイド滑り台。

遊具ができる度に子供達の歓声が上がる。


「すごい! まほうだ!」「はじめてみたー!」「おおきい!」「これはなにー?」「あそぶの?」「みらがあそぶっていってたよ?」「どうやってあそぶのー?」


「まかせて! 私が教えてあげるよ!」


ミラが張り切って遊び方を見せている。子供達はすぐに理解して、はしゃぎながら遊び始めた。凄い嬉しそう。そしてミラも動きまくっている。ミラが一番楽しんでいるんじゃないか?


「きゃー!」「おもしろーい!」「きゃははっ!」「たのしいー!」


気に入ってくれたようで何よりである。


回転式ジャングルジムは少し小さくして、子供の力でも回し易いように軽くしてみた。ゴーレムから降りて手で回してみる……回せるな。滑らかでいい感じ。近寄ってきた子供に遊び方を教えようとしたら、


「私がやる! あはははは!」


ミラがすっ飛んできて、回しながら高笑いですよ。はしゃいじゃってますねー。


後は遊具ゴーレム、なんだけど……俺がいないと遊べないタイプのはやめて、別のがいい気がしてきた。

「スプリング」じゃなくても動かせる、ロッキングチェアみたいなやつあったよな? さっきは思い付かなかったけど。試しに作ってみよう。


まずはデフォルメしたライオンをイメージ。そして脚の下に曲線状の板を付けて、座って体重移動で前後にゆらゆら揺らせるような形にする。横転防止にアウトリガーも必要だな。


もこもこ。


イメージ通りにできた。実際に乗って確かめてみる。ゆらっ、ゆらっ。ちょっと重く感じるけど、まぁいいだろう。


「それなにー?」


目ざとく見つけた子が駆け寄って来る。この遊具の名前は……何だっけ? 思い出せないわ。


「こうやって揺らして遊ぶんだよ」


遊び方の説明だけしておく。別に名前は無くてもいいだろう。

他にも何人か興味を示した子がいたので、更にウサギ、キリン、イルカ、ラクダを追加。こんなところかな。


「いっしょにあそぼう?」


子供達の遊んでいる姿を眺めていたら小さな男の子に誘われた。手を繋いで一緒に滑り台を滑り降りる。


「わー!」「ははは」


「こっちにきてー」「こんどはわたしとー」「わたしもー!」


女の子達も誘ってくれる。幼女がモテモテだ!



子供達は全員よく動いている。元気のない子や気後れしているような子はいない。皆アクティブだ。良さそうだな。


西の公園に置いてある遊具ゴーレムの視界にも変化が。また子供達が遊びに来ている。さっきの子達とは違うが、たぶん施設の子だな。似たような服を着ているし、交代というか、入れ替わり?


遊具を撤収するタイミングは夕方か? ……そうだ、許可の話を誰かに聞かないと。ミラに聞いてわかるかな? 一応聞いてみよう。



「あははははっ、面白ーい!」


ワイド滑り台で頭を下にして滑るという、小さい子供が真似をしてはいけない遊びをしているミラに声を掛ける。


「ミラ、その滑り方はダメでしょう?」


「大丈夫だよ! 飛び出す前に止まるから。これ、よく考えられているね!」


子供達の安全の為に減速部分を長めにしてあるのだが、その滑り方は想定していない。


「他の子には真似しないように言ってよ? ところでミラに聞きたい事があるんだけど」


「何なにー?」


「ここって公園みたいに使っているけど、実際は公園じゃなくて空き地なのでは? 誰か、管理している人がいるなら許可がいるんじゃないの?」


「ここは災害で家が壊れた時に一時的に避難する場所で、町が管理しているんだけど、普段は好きに使っていいんだよー」


え? 町の施設だったの? だとすると、


「遊具の設置には許可がいるでしょう?」


「えー? いらないんじゃないかなー?」


そうは思えないわ。それに、避難場所だったらこれはマズいんじゃないか……。


「遊び終わったら遊具は撤収しよう」


「え? 撤収?」


「『避難場所』に場所を取る遊具を設置するのはダメなんじゃないかな? これは片付けないと」 


ワイド滑り台とか、すごい場所取ってるわ。作った俺が言うのもなんだけど。でも知らなかったし!


「片付けちゃうの!? どうして? 残しておいて欲しいんだけど!」


両手を広げて、上下にわちゃわちゃと動かしてアピールするミラ。どうしてって、明らかにダメだろう? 「好きに使っていい」というのは占有してもいい、という意味ではない筈だ。まして「避難場所」なら、なおさらだ。


「どうしたのー?」「かたづけるっていってた」「かたづけちゃうの?」「もっとあそびたい」「あそびたーい!」「ほかのこはまだだよ?」「あしたのこもいるよ?」「まだあそんでないこもいるの」「のこしておいてほしい」「のこしてー」「のこちてー!」「のこちてぇー?」


ミラが大声を出したので皆に聞こえたらしく、子供達が集まってきた。口々に残して欲しいと言っているけど、


「遊具があったら避難場所として使えないでしょう?」


「魔法で作ったんだから、すぐに『解除』できるじゃーん」


「そういう事ではないから」


俺はいつも町にいる訳ではない。むしろいない方が多い。開拓の仕事もあるし。

町にいればすぐに解除できるが、いない場合はたぶん「すぐには」解除できない。


その「災害」がいつ起こるかわからないのに、災害が起きて人が避難してきた時に、すぐに遊具を解除できないというのはどう考えてもマズいよな。


「むーん。じゃあ、許可があればいいんだね?」


「え? まぁ……でも、許可が出るとは思えないんだけど」


「わかった! なら許可を取ってくる!」


「え? ちょっ、待っ……はやっ!?」


ミラが凄い勢いで走って公園を出ていった。あいつ、めっちゃ脚速いな。あ、魔力強化か。


ミラの走り去った方を見ていたら子供達の視線を感じた。不安そうな表情でこちらを見ている。


「ミラが戻ってくるまで遊んでていいよ」


そう声を掛けたが、子供達の表情は晴れない。むぅ……「子供の遊び」で何か遊具以外のアイデアを出した方がいいかな。何がいいだろう?



しばらくすると子供達はまた遊び始めたので、俺はブランコに腰掛けて揺らしながら「別のアイデア」を考えてみる。そんな幼女に子供達は近付いてこない。遠巻きにされてしまっている……。


おや? ミラがもう戻ってきた。早いな、まだ15分ぐらいしかたってないのに……ん? ミラの後ろに人が……背中に「誰か」を乗せている!?

おい、それは誰なんだよ?




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― 新着の感想 ―
[一言] 連れてきたのは、役人又は偉い人その人かな。 現実でも災害時にかまどとなるベンチがあるみたいだし、避難所としての機能を維持・補助できる遊具・設備にしちゃえばOKが出るかも?
[一言] 更新ありがとうございます。 遊具のある公園、子供が避難する場所に慣れておくにはちょうど良いですね。 次回も楽しみに待ってます。
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