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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
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幼女の休日の過ごし方 3

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


「フィットネスゴーレム」に乗ってがっつりトレーニングしたらかなりきつかった。いきなり5分もやるのはちょっと飛ばし過ぎだったかな? ヒール!


ぽやん。


ふー、やれやれ。これも3セットやらないと。


「これなにー?」「うごいてるー」「リズがのってるよ?」「ぼくものりたい!」


小さな子達が遊具ゴーレムの存在に気付いた模様。1体では足りないな。もう少し追加しとくか。何か他の動物で……イルカ、ウサギ、馬、羊……これぐらいでいいかな?


もこもこもこもこ。


「わぁー!」「ふえたよ!」「のっていいの?」


「いいとも」


さっそくそれぞれの動物に跨った子供達を優しく揺らしてやる。


「うわぁ!」「ゆれてる!」「あるくの?」「あるいてー」「あるいてー」


歩かせた方がいいのか? 遊具ゴーレム達をゆっくり歩かせてみたら、


「きゃー!」「きゃー!」「あるいたー!」「きゃははは!」


子供達から一段と大きな歓声が! 当初のコンセプトからは外れているけど、まぁいいか。


「これ、全部ゴーレム? こんなにたくさんのゴーレムを動かせるの?」


大きな子も来た。リーダーっぽい男の子。


「ごーれむ?」「ぼくしってるー! つよいんだよ!」「つよいのー?」「まものたおせるんだよ!」「すごーい」「すごいね!」


「よく知っているねー」


小さい子達が大はしゃぎだ。


「まものたおして!」「たおしてー」


うん、倒すのは無理かな。ここに魔物いないし。


「これで魔物を倒せるの?」


大きい男の子は疑わし気に見ている。たぶん可愛らしいウサギやイルカな部分を。誤解されている!


「これは遊具ゴーレムだから。魔物討伐に使うゴーレムはこんな感じ。クリエイトゴーレム!」


もこもこ。


チェーンソーゴーレムを作成。どや?


「ゴーレムだ!」「凄い! たくさんいる!」


他の子達もやって来た。特に男の子達がチェーンソーゴーレムを見てキラキラした目をしながら……あっ!? 刃の部分に触ろうとしている!


「チェーンソーに触らないで! 危ないから!」


「ちぇーそー?」「ちぇーそーって何?」「危ないの?」


あああ、「チェーンソー」が何かわからないから、通じてない。これはいけない!

右腕のチェーンソーを高く上げて触れないようにする。


「わー!」「たかーい」「たかいたかいしてー」


なぜかチェーンソーゴーレムによじ登ろうとする子供達。やめてー!

ゴーレムの体に取り付いている子供を左手で掴んで降ろすと喜ばれた。


「もっとしてー」「ぼくもー」


チェーンソーゴーレムは片手しか使えないので2号機で捕まえて持ち上げてやる。高い高ーい!


「もっとしてー」「ぼくも!」「わたしもー!」


「順番だよー」


更に2号機を追加して子供の体を持ち上げてやる……前にもやったな、こういうの。



「これが武器なの?」


大きな男の子達はチェーンソーゴーレムに興味津々だが、チェーンソーの有用性に疑問があるらしい。見ただけではわかり難いかもしれないが、実演する訳にもいかないし……そうだ!


「この武器で倒した獣を見せてあげよう」


今日は背中側に括り付けている魔法袋から昨日森でチェーンソーゴーレムが狩ったファングボアを取り出す。どーん!


「わぁああ!?」「まものだ!」「違うよ、ボアだ!」「すげー!」「大きい!」


全長4mのファングボアに皆が大騒ぎだ!


このファングボアは首の辺りをばっくり斬られているので、その斬り口にチェーンソーを当てて見せる。どや? これならわかり易いだろう?


「わぁあああん!」「こわいよー!」


あっ!? 大きなファングボアを見て、驚いて泣き出した子がいる! 小さい子には刺激が強過ぎたか?


「ごめん、すぐしまうわ」


「待って! もっとよく見たい!」「それで斬って倒したんだ」「斬れるの?」「うぁー、おにくだー」「おにくなの?」「おにく!」「たべられるの?」「おにくたべたい!」


斬り口を熱心に見ている子達と、単に食べたがっている子達に反応は分かれている。泣いている子は……大きな女の子達があやしてくれていた。すまない。


「おっきいおにく!」「たべていいの?」「おなかすいた」「おにくたべたい!」


だんだん食べたいという声が増えてきた。


「君達、朝ごはん食べてからそんなに時間たってないんじゃない?」


「たべてないよ?」「いまあさごはんないの」「よさんさくげんなの」


「予算……?」


「皆、セシリアを困らせちゃダメだよ」


リーダーっぽい男の子が諫めている。


「えっと、皆は近所の子かな? この辺の人は朝食べないの?」


「僕達は施設にいるんだ。前は朝食があったけど、今は運営費が足りないからって、無くなっちゃった」


「何だとぅ……」


皆同じような服を着ているのは施設の子だからか。しかし、運営費が足りない? 前に聞いたな、その話。領主は結構金を稼いだ筈だけど、まだ町までお金が回ってこないのか。


子供達が小さな手でぺたぺたとファングボアの体を触りながら目を爛々とさせている……そんなに食べたいの?


「えっと、セシリアは魔法使いなんだよね? もうハンターの仕事をしているの?」


「え? えぇ、まぁ……」


お仕事は何をされているのですか? と聞かれたら「ハンターギルドのパート職員です」と答えるべきなんだろうけど、狩りもしているのだからハンターといっても間違いではない。うむ、合ってるな。


「施設出身でハンターになった人や魔法使いになった人もいるんだよ。そういう人達が時々狩った獲物を寄付してくれるから、小さい子はまたもらえると思ったみたい。ごめんね? 気を悪くしないで」


「え? あぁ、大丈夫。えーと、君は……」


「僕はルイス。今日の皆のまとめ役なんだ」


「そう」


リーダーっぽいと思ったらやはりリーダーだった。それはともかく、


「私もこのファングボアを寄付するよ」


「えっ、いいの!?」


「たくさんあるから」


昨日1日だけで6体も狩ったし。しばらくは開拓の仕事だから、やつらを狩る機会はこれからいくらでもあるだろう。ゴブリンとファングボアは本当にたくさんいるからな……。


「皆! セシリアがこのボアを寄付してくれるって! 皆でお礼を言おう!」


「「「「セシリアちゃん、ありがとう! ありがとう!」」」」


20人ぐらいいる子供達が一斉にお礼を言ってくれる。


「お、おう。どういたしまして」


「すぐたべられるの?」「かいたいするんだよ」「かいたいするの?」「かいたい?」「かいたいってなに?」「だれがするの?」


「あー、解体ね。解体……」


最近はシュバルツに任せてばかりでやってなかったな、解体作業。

大きなファングボアの解体はキツいが、やらねば……シュバルツを呼ぼうかな? いや、これもトレーニングだと思えば……。


「解体なら施設の先生達ができるよ」


「そう? じゃあお願いしようかな」


大人達で解体した方が早いからな。その方がいい。決して疲れるのがイヤだから、ではない。


(食べるですか? 今ですか?)


ファングボアの上に乗っかって、たしたしと前足で叩いているアルジェンティーナ。いつの間に……お前は朝ごはん食べたでしょー?


(おやつですか?)


まだお昼ごはん食べてないでしょ……おやつはお昼ごはんの後だから!


たしたしたしと前足の動きを早くするアルジェンティーナ。食べたいアピールか。わかったよ、後で心臓と肝臓をあげるから。


(楽しみです!)


ぶんぶんと振り回される尻尾の動きが激しい! 内臓好きだねー。あ、それしまうから降りて?

ファングボアとチェーンソーゴーレムを魔法袋にしまう。俺も肝臓食べようかな? 新鮮なやつはマジ美味いから。


「後で持っていくよ」


「セシリアは施設の場所を知っているの?」


「……知らない」


「案内するよ。ロニー! 後は頼む」


「任せて」


ルイスと同じぐらいの年恰好の子が返事をする。この子と、さっき泣いている子をあやしていた女の子2人の計4人で子供達をみているらしい。4人とも10歳ぐらいだと思うんだけど、しっかりしてるなー。



頼もしいルイス君に案内されて施設へ行く事に。早く内臓を食べたいアルジェンティーナは行く気満々で待ち構えているが、


「しーちゃんはどうする? まだ遊ぶ?」


「つかれた」


シルヴィアはぐたっ、とアルジェンティーナに寄りかかっている。疲れるの早くない? やはり運動不足なのでは……すかさず姿勢を低くしたアルジェンティーナによじ登っているのを見るとシルヴィアはもっと歩くべきだと思うのだが、大きな狼の背に乗っている幼女の姿は可愛らしいのでまぁいいか、という気になってしまう……はっ!? これが「可愛いは正義」ってやつか!



公園を出ようとするとリズもついてきた。


「もう遊ばなくていいの?」


こっくりと頷くリズ。またじっとワンピースの花柄を見つめている。花好きなんだねー。


「他の花柄の服もあるよ。見る?」


「みたい!」


「施設に着いたら見せてあげるよ」


「うん!」


目をきらきらと輝かせるリズと手を繋いで歩く。繋いだ手をゆらゆらと揺らすしぐさが可愛いなー。何でもしてあげたくなっちゃうぞ。これも正義か。




「施設」は外壁のすぐ傍、西門からもほど近い場所にあった。確かハンターギルドの支所もこの辺にあった筈。周囲と同じ5階建ての建物だ。


中に入ると、10畳程度のさして広くはないロビーのような所にソファーとテーブルが置いてある。装飾の類は何も無い。殺風景だな。


「ここで待っていて。すぐに先生を呼んでくるから」


さほど待たされる事も無く、40代ぐらいの背の高い男がルイスを伴ってやってきた。


「こんにちは。私は施設長のクレイグ。寄付の品を持ってきてくれたそうだが……君で合っているのかな?」


疑わしげな目でこちらを見ている。幼女が寄付をするというのが不審なのだろうか? でも前に行ったマーヴィンの施設長はもう少し丁寧な態度だったような……あぁ、あの時はギルドの制服を着ていたな。今のワンピース姿だと、ただの幼女にしか見えないか。


「初めまして。セシリアといいます。ここの子供達と知り合いになりました。昨日森でファングボアを仕留めたので、こちらへ1体寄付しようと思いまして」


「……見せてもらっても?」


信じてない顔だ! 幼女がファングボアを狩ったと言っても、すぐには信じられないだろうけど!

ここで出して、ロビーを大きなファングボアで埋め尽くしてやろうかな? ちょっと面白いかもしれない。


「大きさが4mぐらいあるんですが」


「……では、こちらへ」


施設長に先導されてロビーの奥の通路を進むと突き当りにドアがある。そのドアの向こうは……外!? お帰りはこちらです、みたいな?


ドアの外は周囲を建物で囲まれた中庭のような所で、その真ん中に大きな屋根付きの井戸と洗い場がある。今は誰もいないが、それぞれの建物に出入口がついているからここは中庭に面した建物の住人達と共同で利用している場所なんだろう。

アルジェンティーナが(シルヴィアを乗せたまま)中庭を歩き始める。


「ここで出してくれるかな?」


「はい」


どーん!


「おおっ、これは!?」


魔法袋から出した全長4mのファングボアに驚愕する施設長。ふふふ、ざまぁ……別に「ざまぁ」じゃないか。


「こんなに大きなファングボアを一体どうやって?」


「それはですね」


チェーンソーゴーレムも取り出して首の斬り口に刃を当てて見せる。


「こんな感じで斬りました」


さっきもやったな、これ。


「クレイグ先生、セシリアは魔法使いなんだよ! 公園で凄い魔法を見せてくれたんだ!」


ルイス君、説明ありがとう。


「これほど深く鋭い斬撃の跡……魔法使い? 公園で?」


「ええ、まぁ」


施設長が厳しい表情をしている。もしかして、子供の前で魔法を使った事を怒っているのかな?


「使ったのは安全な魔法だけですし、今も魔法で監視、じゃなくて見守っているので大丈夫ですよ?」


遊具ゴーレム達の視覚を使って公園の他の遊具や子供達の様子を見ているのだ。


「セシリアさん」


「あ、はい」


「先程失礼な態度を取った事を心から謝罪する。誠に申し訳ない」


そう言って頭を下げる施設長。


「気にしてないので大丈夫です」


わかってくれればいいのさー。


「ここは成長期の子供がたくさんいるので肉を寄付してもらえるのは嬉しい。本当にありがとう」


「公園で子供達と仲良くなったので、皆に喜んでもらえると私も嬉しいです」


「ルイス、ニールとシーラに解体作業を手伝ってもらいたいから呼びに行ってくれないか? 家の場所は知っているだろう?」


「はい、わかりました!」


建物の中へ元気良く走って行くルイス。


「私も手伝いましょうか?」


3人ではちょっと手が足りないかも。


「大丈夫。他の職員は子供達に勉強を教えている時間なんだが、もうすぐ終わるし、応援も呼んだから」


「近所の人ですか?」


「自宅待機中の職員だ。ちょっと事情があってね」


「そうですか……」


それってもしかして、人件費を減らす為? 「予算削減」って言ってたけど運営費はどうなっているんだろう?



「クレイグ先生ー、中庭で何してるのー?」


施設の建物の方から女の子が2人やって来た。

片方は赤い髪のストレートロング。もう片方は青い髪のショートヘア。

2人とも生成りっぽい、明るい色のローブを纏っていて腰のベルトには短杖らしきものを差している……魔法使いか!?




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