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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
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幼女の休日の過ごし方

開拓初日の作業は概ね順調に進んだ。そして切りの良い所で終わらせたら「帰っていい」と言われたので家に帰る事にした。


帰りは皆が「操縦しますよ?」という雰囲気だったので、MK-Ⅲを作成してお願いしたら何やら不満げな様子。え? 大きいのがいい?

だが町へ帰る用としてAn-225は大き過ぎて論外だし、C-2輸送機でも着陸予定地のハンターギルド裏には降りられない。ギルドの裏に降りられるサイズで大きいのとなると……V-22「オスプレイ」か。


オスプレイを参考にして飛行型ゴーレムを作成。これでどや? 要望を満たしていると思うが、皆はこちらを見もしないで何か話し合いをしている。何の相談?


幼女形態のエクレールができたばかりの機体の上にふわっ、と飛び乗ってちょこんと座り込み、シュバルツとノワールは機体後部の貨物扉から中へと入っていく……どうやら話し合いは操縦する順番についてだった模様。

そして、もうローターが回り始めている! おい待て、せっかち過ぎるだろ!




「お気を付けてお帰りくださいませ」

「またのお越しを心よりお待ちしております」


「では、4日後にまた来ます」


笑顔で手を振る美女と美少女に見送られながらV-22に乗り込む。

外からは割と大きく見えた機体だが、貨物室は意外な程狭かった。

特に幅は1.8mぐらいしかなくて、体の大きなノワールは中でいっぱいいっぱいだ。やはり大型機の方が……いやいや。でもしかし、うーむ。

町の外に離着陸用の場所を作るか、あるいは他の、何かアイデアがあるかな?



離陸した機体は街道の方へ向かって……ないな。おいエクレール、こっちは逆じゃないか? 方角が違うんじゃね?


(町の位置はわかっている)


そうなの?


「コンパス」を取り出して方向を確認すると……機首の向きと針の指している方向は一致していた。もしかして、最短距離で飛ぶのか?


(そう)


そうなのか。シオリスの町まで街道の上ではなく直線で飛べば早く着くけど、途中礫砂漠地帯の上を通過する事になる……下に降りなければ問題無いか。



「凄く速いですね!」


「そう?」


窓から外を見ているビアンカが嬉しそう。機首のゴーレムの視覚を使って外を見てみると……確かに速い。景色が後方に流れていく勢いが全然違う。

V-22はローターが直径11m以上あるし、しかも二重反転式にしたから1基当たりの推力は1番ある筈だ。


これ、時速何㎞ぐらいだろう? コンパスにはギルドに置いてある子機までの距離が表示されているから、時間を測れば速度を割り出せる。今の距離は……255㎞?

最初の距離は263㎞だった筈。もう8㎞も進んだのか。時計と見比べてみると、1分で距離を表す数字が9減った。減りが速い! という事は、時速540㎞!? 今までとは比べ物にならない速さ! 本物と大して変わらないじゃん。エクレールは魔力を大量にぶち込んでいるな。



飛行開始から10分程経過したところで貨物室後部の扉が開いた。途端に巻き込んでくる風の奔流の先、開いた扉の向こうに広がる空と森が凄い勢いで後方へすっ飛んで行く。雄大な眺めだなー……何で開けた?


(交代)


もう? てっきり行程の3分の1ずつ担当するのかと思っていたけど。 


(もうすぐ3分の1)


そうなのか? えーと、263÷3=87.6。飛行速度が時速540㎞なら10分で90㎞。大体合ってるな。


貨物室の中で体をうつ伏せの水平状態にしたノワールが、外を見ていた俺の頭の上を越えて脚から滑るように外へ飛び出ていく。空挺隊員か。


替わりにエクレールが入ってきて扉が閉まる……今、簡単に入ってきたけど、時速540㎞で飛んでいる機体の中に入る、というのは簡単にできる事じゃない筈だが、それを当たり前のようにやってのけるとはさすがドラゴン! というべきか。

お疲れエクレール。魔力は大丈夫なのか?


(たっぷりあるから大丈夫)


余裕ありげな表情。たっぷりあるのか、羨ましい。俺ももっと魔力の最大値を上げたいわー。

レベルを上げれば最大値も上がるけど、なかなか上がらないんだよな。何か、他の方法はないだろうか? 


うーん……「魔力が上がるアイテム」はどうだろう? 魔法に魔道具、ステータスまであるゲームのような世界なんだからそういうアイテムもあってもよさそうなんだけど。エクレール、そういうのってある?


(貴族に聞けばいい)


そうか、この世界でそういう事に一番詳しいのは貴族だろうからな。なぜ気が付かなかったのか。さっきまで一緒にいたのにぃ! 今度会ったら聞いてみよう。そうしよう。



更に10分後、また後部の扉が開く。今度はシュバルツか……ノワールやエクレールと違って自力で飛べないのに、どうやって機体の上に乗るつもりなんだ?


シュバルツは開いた後部扉から外へ左腕を突き出すと、左手を「ロケットパンチ」のように撃ち出した! ワイヤー(のようなもの)で繋がってるその左手は、空中でぎゅいん! と方向転換してV-22の水平尾翼をがっちりと掴む。何それ!?


そして無造作に機外へ飛び出したシュバルツは、体に当たる風の力を利用して機体より高い位置へ移動していく……その動き、空中スキーか! するするとワイヤー(のようなもの)を巻き戻しながら機体に接近すると、あっさりと水平尾翼に取り付いた。何て華麗な動き! さすがシュバルツ、さすしゅば。(言いにくい)


シュバルツと入れ替わるように今度はノワールが機体後方に姿を現す。体を水平にして貨物室に進入しようとするその姿が格好良い! まるでホワイトベースに着艦するモビルスーツのよう……貨物室が狭いから、どちらかというとタイガーモス号に格納されるフラップターか。手旗信号で誘導したいわー。


ノワールはスムーズな動きで貨物室にぴたりと収まる。ギリギリいっぱいのサイズなのに、さすがだ。さすのわ。(言いやすい)


「皆さん何をしているのですか?」


「あれ? 言ってなかったっけ? 交代でこの機体を動かしているんだよ」


説明すると、なぜかショックを受けたような顔になるビアンカ。どうした?


「私も動かしてみたいです!」


「それは無理じゃないかな。従魔だから動かせるみたいだし」


「では……私も従魔契約を!」


「落ち着け」


ビアンカは魔物じゃないし、契約してもそれはただの奴隷でしょ?


私もー私もーとうるさいビアンカを宥めているうちに町に着いてしまった。早いなー。




ギルドの裏に着陸して建物の中に入る。

まだハンター達が帰ってくるには早い時間帯だから、ロビーには誰もいない。職員も少ないな。受付に1人、奥にもう1人。2人だけか。書類仕事でもしているのかな? 2人とも下を向いていて、裏から入ってきたこちらに気付いていない。


「こんにちは」


「えっ、はい! こんにち……帽子が喋った!?」


「そんな訳あるか! 下! その下にいるから!」


顔を上げた受付嬢が驚愕している。カウンターの高さは1mぐらいなので座っている受付嬢からは俺が被っている帽子しか見えないんだろうけど、帽子が喋る訳ないだろ? 天然か。いや、もしかしたら喋る帽子があるかも……この世界ならあってもおかしくはないぞ? うむ、決め付けはよくないな。


一緒にいたシュバルツが後ろからすっ、と両脇の下に手を差し込んで体を持ち上げてくれた。気が利くねー。受付嬢と目の高さが合う。見覚えのない顔。新人ちゃんかな?


「あ、どうも。えっと、セシリアさん?」


「ええ。前に依頼した品が届いているか聞きに来たんですけど……」


「あ、はい。今日届いてます! 持ってきますね」


「え? あ、はい」


奥へ荷物を取りに行く新人ちゃん。彼女も奥にいる職員も旧制服を着ているんだけど、いつになったら新制服に変更されるんだろうな?


新人ちゃんはすぐに戻ってきた。直径1m、長さが2mぐらいある筒状の袋を両脇に抱えている。大きいな?


「依頼品です。間違いがないか確認してください」


袋を開けて中を見せてくれるが、筒状の芯に網らしき物が巻かれている、という事以外は広げてみないとわからない。


「ここで広げていい?」


「他の人の迷惑になるので、外でお願いします」


他の人って、誰もいないじゃん!



新人ちゃんが袋を2つともギルド裏まで運んでくれた。親切なのはいいんだけど、受付を空にしていいのか? と思ったら奥にいた男の職員が代わりに受付に入っていった。華やかさが全く無い。やっぱり受付は可愛い女の子の方がいいね!


袋の中身を広げて確認する。

網は白い糸で作られていて、注文通りの形と大きさだ。うむ。


「間違いないです」


「では、代金は金貨4枚と銀貨4枚になります」


44万。高い……かな? この世界の糸の(お高い)値段を考えれば妥当なのかもしれない。


建物内に戻って支払いの手続きをしているとシュバルツとノワールから早く帰ろうという雰囲気がぐいぐい伝わってくる。

すぐに取り付けて遊びたいんですね、わかります。




翌朝。爽やかな朝、ではなかった。

ベッドの中で目覚めた時、お腹の辺りが重く感じたので寝巻のワンピースをめくってみると、


ぽよん。


そんな擬音が聞こえてきそうなぐらい膨らんだお腹が目に入る。


ゆうべはエクレールのリクエストに応えるべくリディアと2人で唐揚げを揚げまくって、たっぷり山盛りにしてやったのだが、俺もちょっと食べ過ぎたのかもしれないな……ダメだ、自分に嘘は付けない。そう、これは「肥満」。このお腹の膨らみは昨日今日の話ではないのだ。


前から気にはなっていた。でもこの幼女、最初はガリガリに痩せていたし、成長期にはたくさん食べないといけないし、だから多少はね? そう思って、大目に見ていた。いや、目を逸らしていたのだ。ちょっとばかり太っても子供の新陳代謝ならすぐにへこむだろうと高をくくっていた面もある。


だが、もうこの腹、危険な領域に差し掛かっているのではないだろうか? 取り返しのつかなくなる前にダイエットをしなければ!!


「……うーん」


たゆん。


横で寝ているビアンカが寝返りを打って、その際に魅惑の膨らみが揺れるのが見えた。何という重量感。こういう膨らみなら、いくらでもあっていいのだけど。



朝食の席で、運動不足なので今日から運動をするという話をする。


「どんな事をするんですか?」


「まずは散歩をします」


ビアンカが生暖かい目で見てくるが、気にしない。腹が出た原因を考えると妥当な判断だと思う。つまり、「ゴーレム」が問題なのだ。


この幼女、背が低いので当然脚も短い。その短い脚だと歩いても歩いても前に進んでいないような錯覚を覚えるのだ。そして背が低いゆえに町中だと周囲の大人達に視界を遮られて、見通しが悪くてイラッとする。


1人で街道を歩いていた時は視界を遮るものもなかったし、アルジェンティーナは俺の歩く速さに合わせてくれていた。だが、町に来てからは自分でも気が付かないうちに結構ストレスが溜まっていたのかもしれない。


それがゴーレムに乗れば、視点が高くなって視界も広がるし歩きも速い。大変快適なので、ゴーレムを使えるようになってからはほとんど歩かなくなっていた。その結果がこれである。ならば最初にやる事は「歩く」でいい筈だ。


(リーダー、散歩ですか? 狩りですか?)


散歩だよアルジェンティーナ。町中で狩りはしないわ。


(一緒に行きます!)


そう? でも狩りはしないよ?


(大丈夫です!)


何が大丈夫なのかわからないけど、きりっ、とした目のアルジェンティーナはやる気に満ちている。マジでしないから! で、他のメンバーは?


エクレールは朝ご飯を食べた後、リビングのソファーに寝っ転がっていた。行く気なしですね。


シュバルツとノワールは当然のように庭に出て、網の取り付けられたゴールの前で何か練習をしている。好きだねー。


「ビアンカは?」


「買い物に行きます。昨日使った矢の補充をしたいので」


俺とアルジェンティーナだけか。では早速しゅっぱーつ……。


「どこいくの?」


「お散歩だよ、しーちゃん」


「どこ?」


「特に決めてないけど」


「いっしょにいく」


出掛けようとするアルジェンティーナを見てシルヴィアも出掛ける気になっているけど、いいのかな? 母親の許可が……リディアを見ると頷いている。いいのか。では改めて、出発だ!





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