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異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
105/122

皆に報酬について聞いてみた

Q. 収穫で得られる金額はどれぐらい? A. 5000万ディールです


マジで? 日本円だと50億円! ありえない……事もないのか。ここ、めっちゃ広いし。空耳じゃないと信じたい!



「その金額は全ての農地に魔力を注いだ場合、の数字です」


アシュリーから注釈が入った。それにしても、


「最初の1年でそれだけの収穫が?」


「いいえ。『1回』の収穫によって、ですわ」


ん? 1回? もしかして、


「二毛作、あるいは二期作が可能なのですか?」


「それはセシリア様の魔力次第ですわ」


「マジで?」


魔力で変わるのか……まずはどれだけの面積を耕せるのか試してみないと。



居住区のすぐ近くの土地でMP1で耕せる広さを確認する。わかり易いように正方形をイメージ。気合を入れるぞ、作物がすくすく育ちますように! そぉい!


「ティル・ア・フィールド!」


ふわっ。


ボコボコだった土地がふんわり平らになった。一辺の長さは……100mぐらい?


「長さを測ってもらっていいですか?」


「勿論です」


すぐにクローディアが魔石獣に乗って端まですっ飛んで行って、白い板を地面にぶっ刺した。


「100mです」


測距儀を覗き込んでいたアシュリーが教えてくれた。やはり。

クローディアは対角線上へと移動してまた板を刺している。


「141.42mです」


正方形なら√2×100だから合ってるな……㎝まで計測できるのか。1MPで100m×100m=1ヘクタール。わかり易くていいな。


アシュリーが測距儀を片付けて何か別の物を取り出している。形は体温計みたいだけど大きさは10倍ぐらいで棒の部分が長い。何ぞそれ?


「これは魔力を計測する魔道具です」


測るのはお熱ではなく魔力だった。棒の部分を今耕したばかりの地面にぶっ刺す。ずぶり。


ピッ!


電子音みたいなのが聞こえたぞ? 表示部に体温、じゃなくて魔力が示されているらしいけど、いかほど?


「……8.5です」

「まぁっ! 素晴らしい魔力ですわ!」

「えぇ、ですが……」


戻ってきたクローディアは満面の笑みで褒めてくれるが、アシュリーは何だか渋い表情。2人の反応が対照的でよくわからないな。君達、その数字の意味を教えてくれないか?


「それは良い数値なんですか?」


「えっと……まずは基準値というものがあって、それは『2』なのですが」


「ちょっと待って? 2って」


基準が「2」って何だよ? 普通「0」じゃないの?


「2というのは」


王が礎の力で国全体に注いでいる魔力と領主が領地に注いでいる魔力をそれぞれ「1」で表し、足して「2」になる魔力を「基準」としている。ただし場所によって王や領主が意図的に魔力を濃くしたり薄くしたりしているので、国のどこでも「2」になる訳ではない、と。前にギルマスに聞いた話にそういうのがあったな。


「そして守護、もしくは太守が農地に1~2に相当する魔力を注いで作物を育てます」


つまり、3~4というのが「普通」らしい。


「それより多いとどうなるの?」


「収穫量も増えますが、それ以上に作物の成長速度が早まります」


「いい事のように聞こえるけど」


「ですが魔力が大きくなると、その魔力や魔力によって育った作物に惹かれて魔物が多数寄ってきます」


「あぁ……」


そういえばそうだった。多ければいい、というものでもないんだな。

凄い数値です! さすがセシリア様! とはならない。クローディアも素晴らしい「魔力」とは言ったが素晴らしい「数値」とは言ってなかった。

「さすおに」ならぬ「さすせし」への道は遠いな……「さすせし」ってサ行の言い間違いみたいだな。


「魔力が大きいのはいい事ですわ! 今のはちょっと加減が違っていただけ、ですもの。気にされる事はありません。それに、この魔力量なら年7回の収穫も夢ではありませんわ!」


アシュリーが渋い顔をしていた理由はわかったが、クローディアはあくまでポジティブシンキングだな、って今何かおかしな事言ってないか? 7回?


「クローディア、さすがに7回は初年度は厳しいのでは? 集められた農民も最初は不慣れな者が多い筈です」

「そうかしら? でも、6回は可能でしょう?」

「そうですね。やりようによっては可能かもしれません」


何か勝手に話を進めている! 俺を置いていかないで!


「あの、この辺りの農繫期ってどれぐらいなんですか?」


「およそ10か月半です」


長いな。12か月のうち10か月半が農繁期? 10.5÷7で1.5か月……収穫に必要な時間も考えればもっと短い期間で成長するというのか? ありえないだろ。


そういえば1年は12か月でいいのか? 1か月が30日というのは知っているが、1年が12か月なのかは確認していなかった。1日が26時間の世界だから1年が長くてもおかしくはないが、でも冬はあるよな? ある筈だ。


「冬はどうなっているんですか? 雪とか」


「え?」


2人とも怪訝そうな表情。

しまった、この聞き方では「知らない」と言っているのと同じだ。だが、知らないのはおかしいよな。俺はまだこの世界の冬を経験していないから仕方ないんだけど、そんな事は言えない。


「えーと、この辺りはシオリスの町よりだいぶ南の方では? 気候区分は同じなんですか?」


「そうですね、特に違いはないです。雪に関しても降雪は10日もないぐらいです。積雪は稀ですね。年に2回あるかどうか」


上手く誤魔化せたようだ。季節についてもう少し詳しく知りたいけど、この2人に聞くのはまずいかも。後でビアンカに教えてもらおう。


1回の収穫で50億、年6~7回収穫ができるのなら1年で300億~350億になるけど、本当かなぁ? 収穫の回数も金額も、現実味を感じられない数字だけど。でもこの世界の農業の常識をまだよく知らないし、どうせお任せだからな。実際に始まればいやでもわかるだろう。



今度は気合を入れずに「普通に」耕してみる。


「ティル・ア・フィールド!」


ふわっ。


「4.1です」


さっきより小さい数値だがアシュリーは満足げ。「ちょうどいい」からか。だが、俺の方は不満というか、解せぬ。面積がさっきと変わらないような?


また大きさを測ってもらったが、やはり100m×100mだ。どういう事?

消費MPが同じ1で注がれた魔力が「6.5」→「2.1」になったのに面積が広くならないのはなぜだ? 「4.4」分の魔力はどこへいった? 意味がわからねー。


もしかして「気合を入れる」の方が重ね掛けのような増幅効果だったのか?

あぁ、耕地魔法が重ね掛けできるか、それも確認しないと。その前に、


MP 16/280


そろそろ魔力を譲ってもらわないと。



「仲間の様子を見に行きたいので少し休憩してもいいですか?」


「勿論ですわ」


2人(というか貴族)に「魔力の譲渡」について知られていいのか、わからない。もしかしたら貴族でもできる当たり前の事、なのかもしれないが、ここは慎重になってもいいだろう。


幸い2人はついてくる気は無いようなので、シュバルツやノワールから魔力を譲ってもらうところを見られずにすむ。

シュバルツの方が近かったのでMK-Ⅲでひとっ飛びしてMPを分けてもらう。


MP 280/280


ありがとう、シュバルツ。


シュバルツの回収作業はもう残り4分の1を切っている。ノワールの方もシュバルツに追い付きそうな勢いだし、マジで今日中に終わるな。

ビアンカは……どこにいるのかわからない。無事におつかいを果たしたホバー型に探させよう。

「ビアンカを探せ」と命令。見つけられるかな? 頑張れ、ホバー型!



まるで魚の群れを丸ごと飲み込む鯨のように、一面の木々を一気に収納する作業を再開したシュバルツを見て、報酬について話す必要があるな、と気付いた。


シュバルツ。今回の仕事で大金が入るみたいなんだけど、また等分割でいいかな? 開発の貢献度は俺よりシュバルツ達の方が大きいとは思うんだけど、割合がどの程度がいいかわからないんだよね。適当に決めると今後その都度分配について考えるのが難しくなるし、正直面倒なのでここはいつものように等分割で……ん?


シュバルツから不要、という返事が。どうして?

お金を使わないから、というイメージが伝わってきた。うーん……聞きたいんだけど、シュバルツって何か欲しいものはないの?


すると、網はまだ? という問い掛けが。網? 網って……あぁ、ゴール用ネットの事ね……シュバルツから何やら非難がましい雰囲気が。え? べ、別に忘れていた訳ではないよ? あれはクリスに依頼したけど、その後何の連絡もないじゃん。まだ届いていないんじゃない? というか網はこの仕事の報酬ではないんだけど。


しかし、他には欲しい物はないらしい。でも網が今回の仕事の報酬では安過ぎるし、他に何か考えないと。新しい遊びを提案するとか? 何がいいかな。


ノワールにも聞いてみよう。等分割のお金でいい?

だが話を聞いていたらしいノワールからも網に関連した質問? のようなものが。何? 「湖」のイメージ?


「湖」は前にエクレールの背中に乗って越えたあの巨大な湖の事だろうけど、直接行って網を調達しろって? 確かにあそこで漁をしていたから網はあるだろうけど、入手できるかどうかは別問題じゃ?

シュバルツからもノワールからも「網」「網」というイメージが! どうあっても網がいいらしい。わかったよ、とりあえず後でギルドに問い合わせてみよう。



居住区(予定)に戻るとエクレールがお昼寝から起きていたので同じく報酬について聞いてみるが、


(いらない)


という答えが。何でだよー……エクレールの今までの分配金は全て俺が預かっているのだが、一度もくれと言われた事がないんだよな。キラキラ光る金貨がいっぱいなんだけど。ドラゴンというと洞窟の奥に金銀財宝を貯め込んで悦に入る、というイメージだけど、


(何それ?)


違うらしい。間違ったイメージなのか、単にエクレールが興味無いだけか。

エクレールが欲しい物って何?


(唐揚げが食べたい)


「今日の夜何食べたい?」って聞いているんじゃないんだけど。報酬の話だよ?


(唐揚げがいい)


大事な事だから2回言ったんですね、わかります。

唐揚げぐらいいくらでも揚げてやるけど、というかいつも食べてるでしょー。


(楽しみ)


安上がりだな、お前達。





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