表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で『魔法幼女』になりました  作者: 藤咲ユージ
第6章 開拓する幼女
103/122

開拓してます 2

「クローディアは頭脳明晰にして容姿端麗そのうえ魔力量も豊富でシオリス最初期の時代から領主一族を支える名門オクスフォード家の子女でありながら驕る事無く努力を重ね魔法学院で何度も『優秀者』として表彰され今ではその仕事振りが上司からも高く評価されて城内でも将来を嘱望されている素晴らしい人で……」


唐突に始まったアシュリーによるクローディア褒めまくり話。もこもこな羊さんの横で目をキラキラと輝かせながら熱く語ってらっしゃる。


「今回もこの重要な開拓事業の責任者として領主様から直々に選ばれるという栄誉を……」


演説をするかのように腕を大きく広げて語り続けるアシュリー。息継ぎはいつするんだ? 肺活量が大きいのかな。


「アシュリー、もうその辺でやめてください。セシリア様が困惑されていますわ」


クローディアが止めに入った。困っているのはクローディアじゃないの? というか、これは照れているのか? 顔が少し赤くなっている。


「そうですね。常に気配りを忘れない、さすがクローディアです。クローディアはいつもお手本を見せてくれますね! わたくしも見習わなければなりません」


更にクローディアを褒めるアシュリー。何というか、アシュリーが最初のクールな雰囲気とは違い過ぎるんだけど。まるで大好きなアイドルの良い所を一生懸命語るファンのような姿。


「失礼いたしました。セシリア様」


「いえ。2人は同じ部署で働いていて仲が良いとか、そういう感じですか?」 


「普段は別の部署で働いていますわ」

「今回の事業が終わるまでの臨時の編成です」


同じ職場だから距離感が近いのか、と思ったら違うらしい。関係無いのか。


「そうなんですか。先輩後輩みたいなのかな? と思ったので」


「合っていますわ」

「わたくし達は同じ時期に魔法学院で学んだのです。クローディアは大変面倒見の良い先輩で大勢の学院生に慕われていてわたくしも在学中はお世話に……」


またクローディア褒め話が始まるのか? だがちょっと待って欲しい!


「え? クローディアが先輩なの!?」


「そうですわ」

「勿論です!」


わりと衝撃の事実! クローディアの方が年上だった! とてもそうは見えないんですけど。


可愛らしい縦ロールのお嬢様と大人っぽい有能秘書、みたいな2人なのに、年齢を聞いてみたらクローディアが22(!)、アシュリーは21(!!)だった。


「若いですね……」


見た目と全然違う……外見で女性の年齢を判断するのはやめよう。かすりもしていないわー。


でも冷静になって考えてみるとこれ、おかしいような。2人とも若過ぎない?

重要な事業という認識なのに22と21の女の子を派遣するのか? その年齢だと実務経験豊富とは言えないような。


「わたくしは今年で7年目、アシュリーは6年目になります。実務経験は十分ありますわ。お任せください」


俺の懸念が伝わったのだろうか、クローディアが実績? をアピールしてくる。

魔法学院を卒業するのは……14歳だったっけ? それなりに働いてはいる、と。

しかし……そういえばさっき何か言っていたな。


「えっと、クローディアが『トップ』だったんですね」


その年齢で責任者とは、よほど優秀な人材なのか。


「いいえ? 『トップ』はセシリア様ですわ。わたくし達はこの開拓事業においてセシリア様の意向を最大限尊重致します」


キリッ、とした顔でそんな事を言ってくるけど、意向? 俺の意向って何だろう? 本人がわかってないんですけど。もう少し領主と話を詰めておくべきだったか。


2人の態度が最初から丁寧過ぎると思っていたが、それは単に礼儀正しい、というだけではなく(期間限定とはいえ)俺が2人の上役になるから、らしい。

クローディアの立ち位置は? と聞くと監督役、という答えが返ってきた。監督?


「私の?」


「アシュリーの仕事を監督するのですわ」


アシュリーは「下級貴族」で責任者的ポジションを与える事ができないので、身分が足りているクローディア(中級貴族)が来ている、と説明された。身分的な制約があるのか。おや?


「私が『平民』だとか、『幼女』というのは問題無いの?」


「関係ありませんわ! 強い力をお持ちなのですから」


大丈夫ですわ! と、両手の拳を握り締めて頑張れ! のポーズで励まして(?)くれるクローディア。


「まだそんなに力は見せていないような」


力を見せつけているのはエクレールとかシュバルツ、ノワールだよね?


「多数のゴーレムを使役されていますし、それに、大型の魔石獣で複数のお仲間や従魔を乗せて上級貴族のように速く、長距離を飛べるというのは強い力があるからだとわかりますから」


「まるで飛空船のようですわ」


魔石獣じゃないんだけど、そういうのも判断材料になるのか……飛空船?


「2人は飛空船を見た事あるの?」


「ええ」

「魔法学院の授業の一環で飛空船を見学する時間があるのです」


俺も見てみたいわー。


「そうなんですかー。飛空船ってどんな形をしているのですか?」


「ご興味がおありでしたら絵を描きますわ」


「え?」


パワードスーツ(みたいな)魔石獣から降りたクローディアが紙を取り出すと、「空中で」絵を描き始めた。何の支えも無いのにそれ、どうやって描いているの?


「描けましたわ」


早いな! 1秒も掛かってないぞ?


「こちらになります」


にっこりと微笑みながら紙に描いた「飛空船」の絵を見せてくれた。

1本の線で描かれた円。「まる」ですね。……それだけかい。


「これは上から見た飛空船の形ですわ」


嘘でしょ? マジで? いやわかんねぇよ、それじゃ!


「……よくわからないので、できれば『横から』の絵も見たいです」


「そうですか? では」


なぜそれでわかると思ったんだ? 天然か。

また空中で絵を描き始めるが、今度も1秒ぐらいで描き終わる。大丈夫か?


ひらりと紙を翻して見せてくれたその絵は……未確認飛行物体系?


「皿」をひっくり返して、その下に半円形の何かがくっついたような形……この形はもしかして、あれじゃね? ふしぎの海の何とかで、ラスボスのガー何とかさんが乗っていたレッドノ……待て、決めつけるのはまだ早い! 確認しよう!


「これ、実際の色は何色?」


「色ですか? 色は薄いグレーですわ」


何そのチョイス。ロービジビリティー? でもよかった、赤じゃなくて。

色が違うのだからレッド何とかとは違うな!


それによく見たらこの「飛空船」は下についている半円(半球?)が1つだけだ。レッド何とかは確か3つだったから完全にセーフ。何も問題は無いわ。

ついでに大きさも教えてもらう。


「全長は120m、高さは45mですわ」


120m! めっちゃデカい! ジェット旅客機の2倍ぐらい? そんな巨大な物体が空を飛ぶというのか。

飛空船に必要な「飛空石」にそれほどの力があるというのなら、もしかして10億という買取値は安過ぎ? うーむ、でも今更どうしようもない……


「どうかされましたか? どこか、わかりにくい所がありましたか?」


いや、その絵は大変分かり易いですよ。

考え込んでいたらクローディアが心配そうな顔で話し掛けてきた。クローディアに言っても仕方ないし、何か別の話を……


「飛空『船』と聞いていたのに船の要素がどこにも無いなぁ、と思って」


「そうですか?」

「人や物資をたくさん運ぶのだから船と同じです」


「形について」至極真っ当な疑問を呈したつもりだったが2人には理解してもらえなかったようだ。考え方が違うのか……そういえば、


「クローディアの魔石獣も『獣』の要素があまりないような? 頭も腕も無いし」


「空を飛ぶのに頭や腕は不要ですもの。本物の獣ではないのですから頭なんて飾りですわ」


良い表現だ! そう、あんなの飾りで、偉い人にはそれがわからんのですよね!

でもクローディアさん、他にも不要な物ありますよね?


「脚もいらないんじゃ?」


「脚がなければ立つ事ができませんわ」


「ですよね」


どことなく「サモトラケのニケ」を彷彿とさせるその魔石獣は2本の脚でしっかりと大地に立っている。

魔石獣大地に立つ!! みたいな。


「魔石獣というのは使用者のイメージ次第で何でも作れるんですか?」


土ゴーレムより自由度が高いのかな?


「大体そうですが、『飛べないもの』の形だと飛ばない場合もあるので注意が必要ですわ」


「え?」


思わずもこもこな羊さんを見てしまう。あれ、羊ですよね?


「あれは実際に存在する『空飛ぶ羊』の形なので大丈夫ですわ。可愛らしいでしょう? アシュリーは可愛いものが好きなんですの」


俺の視線の意味に気付いたらしいクローディアが「可愛らしい」笑みを浮かべながら説明をしてくれる。なるほど、確かに。

つぶらな瞳の羊さんも「クローディアも」可愛いよね! 「可愛いもの」が大好きなクール系美女。これがギャップ萌えというやつか。意外と濃いキャラなのかもしれない。

そのアシュリーは会話する俺達を、いや、俺を見ている?


「セシリア様もセシリア様のゴーレムも可愛らしいです!」


「そ、そうですか。それはどうも」


褒められました。でも「セシリア」はともかく、ゴーレムって可愛いかな?




ビアンカは貴族とはほとんど話さなかったが、昼食の時の話の内容と2人の貴族の丁寧な態度を見て納得したのか、朝と違って随分落ち着いた様子になっている。


「だいぶ広くなったから、私もゴーレムで警戒に加わるよ」


「はい。本当に、広いですね」


エクレールによる伐採作業が終わって森が10㎞四方に渡って切り開かれた訳だが、その分警戒すべき領域も広がっている。ビアンカ1人では到底無理、という広さだ。


「どれぐらいの範囲なら見られる?」


「魔物が結構いるみたいですし、活発な気もするので……5㎞ぐらいなら見落とさないと思います」


「では5㎞で」


他はチェーンソーゴーレムで、7体あれば足りるかな。

7体のチェーンソーゴーレムを振り分けて「森の外縁を哨戒せよ」と命令してみたが、ピクリとも動かない。何でや?

どうも「哨戒」が通じてないっぽい。じゃあ「魔物を発見したら倒せ」は? これもダメ。うーん。


「セシリア様、次の作業に移行してもよろしいですか?」


「あ、はい」


アシュリーもクローディアも自分の魔石獣に乗り込んでいる。


「移動するんですか?」


「はい、次は主水路を作っていただきます」


「適切な」命令の言葉を考える時間も無さそう。自分で動かす方が早くて簡単だな。7体ぐらいどうという事もないし。


7体のゴーレムを開拓地の外周へと向かわせる。

俺もMK-Ⅲに乗って移動しよう。出しっぱなしのMK-Ⅲの方を見ると、あれ? 水平尾翼の上でエクレールが横になってお昼寝をしている! なぜそこなのか。

そんなに気に入ったの? その場所。


仕方ない。起こすのも可哀そうだし、エクレールさんは頑張ってくれたからな! もう1機MK-Ⅲを作って乗り込む。よっこらせっと。


「出発します」


丸々とした羊(の形をした魔石獣)が飛ぶ姿は実にシュール。アシュリーが先頭で、その後に続いて飛んでいるのだが、ユーモラスで可愛いらしいけど大人っぽい雰囲気のアシュリーにはあまり似合っていないような。

羊型魔石獣には鞍も手綱も付いていない。今、時速100㎞ぐらいで飛んでいるのに、アシュリーは怖くないのかな? 


パワードスーツ(飛行型)みたいな魔石獣で後方を飛ぶクローディア。縦ロールが全く揺れていないのは風除けの魔法を使っているからだろう。

飛行している姿も格好良いけど、クローディアと魔石獣もあまり雰囲気が合ってないよな? アシュリーと魔石獣を入れ替えればいのに。余計なお世話か。



木も切り株も回収が終わって完全に更地となっている開拓予定図の左下部分、その上を飛んでいるのだが、上から見ると大地の表面はボッコボコ、もし絨毯爆撃をしたら、こんな感じになるかもしれない。


この区域の端(下辺)に沿って1分程飛行した後、「目的地」に到着した。


「ここは?」


「ここから湖までの水路を作っていただきたいのです。これが起点となります」


アシュリーが示した先には白くて細長い板が2本地面にぶっ刺してあった。高さは約2m、間隔は約4m。


「見本を作ります」


そう言って短杖(最初にベルトに刺してたやつ)を取り出して構えると小さな声で何か詠唱らしきものを唱える。

すぐにすっ、と地面が沈み込むように削れて、スキーの板みたいに見える白い板の間に「水路」が出来た。長さ4mぐらい、幅は上が4m、下は3mぐらいの台形で、深さは約1.5m。


「同じ物を作ればいいんですね。これを延長させていけばいい?」


「はい」


なら簡単だな。早速作る……だがその前に、


「ちょっと確認しますね」


再びMK-Ⅲをドローンのように上昇させて「先」の状況を確認する。シュバルツとノワールによる回収作業はどこまで進んでいるのかな?


……開拓地の「上半分」(5㎞×10㎞)の6割ぐらいまで進んでいる。え、ちょっと早過ぎない? 昼前より更に作業速度が加速しているっ!

見ていると木々の回収速度が速過ぎてビデオの早送りみたいにな動きになっているぞ。これもう何かのチートスキルじゃね? 地味だけど凄い力だ。今日中に終わってしまいそう。俺も頑張らねば。


「この水路、湖に直接繋げちゃうんですか?」


「湖の10m手前で一旦止めてください」


「了解です」


同じ形状をイメージして土魔法を発動。重ね掛けして延ばしていく。8m、16m、32m……MP13を消費して湖の手前まで水路を作る。

うーん。何と言うか、超一直線! 地上からだと果てが霞んで見えません!

すげー長いわ。


「まだ作業は続けられますか?」


MP 67/280


「ええ、大丈夫ですよ」


「……そうですか、では次は横の水路をお願いします。しばらくお待ちください」


アシュリーが何か取り出した。ごつい双眼鏡みたいな形で下に三脚が付いている。

それを地面に設置すると、


「クローディア、お願いします」

「ええ」


魔石獣に乗ったクローディアが出来たばかりの水路の上をすっ飛んでいった。

しばらくすると、アシュリーはその双眼鏡らしき物を覗き込みながら通話の魔道具を使って何か話している。


「何をしているんですか?」


「距離を測る魔道具を使って次の水路の位置を決めています」


え、測量? 急に普通の土木作業っぽくなっている!?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ