第5話 忙しさと暇つぶし3
さて、どうしたものか。
適当に過ごすとは言ったものの、実は予定が無かったりする。
別に家にいてもいいのだが、現状テレビしか使えるものがない。
それは、決して部屋にテレビ以外無いっていう訳ではなくて。どちらかというと私から見たらたくさんある方だと思う。
それに私はゲームは好きなほうだからあったらやってしまう。
しかし、あの真吾だ。勝手にゲームをやったら何かしら言われるに違いない。
だから、テレビしか選択肢が無いんだ。
今の時間は8時半。さっき真吾を起こしてから約2時間が経とうとしていた。
やはり、あれを使うしかないのか……
実は真吾を見送る時、
『何もなしで家にいるのはあれだろ?ちょっと待て………はいよ。』
『これは・・・お金?いいの?』
『いいよ。取り敢えず今日の分な。全部使ってくれてオッケーだ。』
私の今日の軍資金として、4万円をくれた。
あんな気軽にあげられるものなのか?どれだけ儲かっているんだ。子供にお小遣いを渡す感覚だったぞあれは。
ん?じゃあ私は子供扱いされているのか?まったく、それはムカつくぞ。
身なりはこんなんだが、れっきとした大人だぞ!
そう思うとむしゃくしゃしてきて、余計に何もしていないこの状況から抜け出そうとしたくなる。
よし、外で遊ぼう。
そう決めた時には体は動き始めていて………
もう街に繰り出していた。
しかし特に予定もなくただ、家を出ただけなので取り敢えず近くのカフェ、『ブランク』に向かった。
窓際の席に座ってブラックコーヒーを頼んで、今日の予定を考えることにした。
洋服屋などの若い女達が行く場所には全く興味を持たない。どちらかというと、男どもが着る体が動かしやすい服の方が良かったりする。
それ以外の行くあては………
ゲームセンターかな〜
実は洋服屋よりもゲームセンターや娯楽施設のほうがたくさん行ってたりする。
間にコーヒーを挟んで考えた結果はゲームセンターだった。
やっぱりここはいつも通りを攻めた方が良かったりするはず!なので早速行動に移した。
私は残ったコーヒーを一気飲みして、一息ついた。
この店に入った時といい、コーヒーを頼んだ時といいあの女店員に散々舐められた気がする。
だって、店に入った時は
『お母さんとかお父さんは一緒に居るかな?』
って言ってきたし、コーヒーを頼んだ時は
『ブラックコーヒー飲める?カフェオレにする?』
なんて聞いてきた。
1回店長を呼ぼうかと考えたが流石にそれは馬鹿馬鹿しい。そこは見逃してあげる。
まっ、これが大人の余裕ってやつよ。
そんなふうに誇りながら席を立ち、レジへと向かった。
レジは私をちびっ子扱いしていた店員で、何か先が読めた気がする。
「えーっと、お会計300円になりま〜ス。」
「はい。」
「1万円ですね〜。お母さんにお小遣い貰ったのかな?お釣りは9700円です。」
やっぱり。私を子供扱いした。私はもう自分で働けるっての。
けど、お小遣いって意味じゃあってるかもな〜なんて思う自分が虚しくなってくる。
「・・・」
私は無言でお釣りを財布に入れ、そそくさと店を出た。