第1話 日常の終わりと非日常の始まり
もしかしたらルビの振り方を間違っているかもしれないので、間違っていたらコメントで指摘お願いします。
俺は、物心つき始めた頃からおかしいと言われてきたし、自分でも気づいていた。
俺のまわりは皆、牙や翼、尾など持っており、自分にはそれがなかった。
そう。俺のまわりは、皆異種人だった。
なぜ、物心つき始めた頃に自分はまわりとおかしいと気付かれたかというと。
異種人は、小さい時はある程度人間にそっくりなのである。異種人の特徴である尾や翼はほとんどの子にはない。
稀に産まれて半年程度で尾などが生えてくる子もいるが、その子は生まれつき異種人としての生命力がかなり強い状態と言われ、親の誇りとなる。
しかし、いつまで経っても何も生えてこない、この俺は皆に不思議がられた。
俺はいつもいじめられていて、殴られたり、蹴られたりは当たり前。家に帰れば痣が顔や腕、脚に沢山あった。
そんな時、自分にある転機が訪れた……
◇
◆
◇
ドアを開けた向こう側には……
「こんにちはー!」
ガチャン!
急いでドアを閉め、飛び出しそうになる心臓を抑えた。
誰なんだ?
俺は全く面識ないし、街なかでも見たことがない。
とっさで分かりにくかったが多分女性だ。
もう少し考えようとするが、時間は待ってくれなくて、
ピンポーン
と聞き慣れた音が耳に流れてきた。
聞き慣れたと言ってもさっきまでの間なのだが。
仕方ないので、もう1度ドアを開けてみると、さっきと同じ人がいた。
しかし様子は、さっきとは違くて少し申し訳なさそうで、両手を体の前で合わせモジモジとしていた。
「驚かしてすみません」
言ってる顔はにこにこしていて、ドアを閉めたいが2度はさすがに可哀想だから許してやる。
「それで俺に何の用ですか?」
「えっ?分からないんですか?」
首を斜めに傾げ、不思議そうに俺を見つめる。その顔は眉を顰めているが、何故か嬉しそうにも見える。
「分からないよ。というか、分かってたら言ってるよ。」
少し意地悪なことを言いながらも、話は進んでいき
「まぁ、とりあえず中に入って落ち着きましょう。」
いや、ここ俺の家だし。と反論しようとするが
ずかずかと、俺のガードは虚しく突破され家の中に入られてしまった。入られてしまったとはいえ、玄関のところで止まっているので多分、俺の案内待ちだろう。
ここまで来れば仕方が無い。俺はドアを閉めて、しぶしぶ彼女を家にいれた。
◇
◆
◇
俺はやる気のない顔にどうにか気合を入れ、彼女を中に入れる。
普通の人だったら、家に入れないと思う。
とりあえず彼女をリビングの椅子に座らせ
「お茶を入れてくるよ。何がいい?」
と、我ながらよく言ったと自分の気遣いを褒めながら応えを待つ。
彼女の顔は少し童顔寄りで口は小さく目はパッチリしていて二重。しかしそれでいて可愛い顔というよりかは綺麗な顔と言ったほうがいい。身長は俺に比べて低く、俺が176cmに対し彼女は150cm程度、といったところか。あくまで目測なのだが。
しかし、その中でも特徴的なものがあり、耳たぶ辺りに切り傷の痕のようなものがあるが、それにしても大きすぎる。自然に治ったというよりかは、手術のような感じだった。包丁を使っても深くは入るが、あそこまで広くはならない。その傷痕はなんなのか聞きたいのはやまやまだが、ここで聞くのは野暮だと思うので聞くのはやめた。
「…………今準備できるのでいいよ。」
と言い、彼女は改めて椅子に深く腰掛けた。
何様のつもりだ、とつい開きそうになる口を閉じキッチンへ向かった。
キッチンとリビングは少し複雑で、リビングに置いてあるテーブル席とは別にキッチンに付くようにあるカウンター席があり、そこには4人座れる。
冷蔵庫から作り置きしてあったウーロン茶を取り出した後、2つコップをとってテーブル席に戻った。
「で、話はなんだ?」
コップにお茶を入れながら、早速話を進めていく。
「まずは自己紹介かな。私は左藤愛実。21歳だよ。左藤の"さ"は左右の"さ"だからね」
少しドヤ顔混じりの自己紹介は鼻につくがここまで言ってくれたんだ。こちらも言わなければ流石に失礼だ。
「俺は真吾・アルマデルだ。お前と同じ21歳で……」
ハーフだ、と言おうとしたところで彼女は
「えっ?もしかしてハーフですか!何と何のハーフなんですか!?」
と、楽しげに話しかけてきた。
何だ、こいつは。お前には落ち着きという言葉はないのか。
何と何のハーフなんてどうでもいいし、それより何の用か知りたい。
聞いてきた事は軽く無視しつつ
「何の用だ。」
と、実に簡単な質問をすると、彼女はさっきまでの表情を少し真剣にして口を開き、
「あなたのお・客・さ・ん」
と一言。
客?こんな奴が?ありえない
少し戸惑いながらも一応いつも通りの顔をして話を進める。
「そうか……それで、依頼内容は?
というかネットから頼めばよかったんじゃ………」
そこで俺は気付いた。まさか俺のヒラメキがここで発揮されるとは。
「なんですか?」
彼女は訝しげにこちらに目線を向けているがその中に笑っている目がみえた。
それに応えるようにして俺は
「どうして俺の家が分かったんだ?」
そう、それなんだ。何故、俺の家が分かったんだ?彼女の言いぶりだと俺の仕事は知っているし、俺がネットを拠点に活動しているのも知っているはずだ。聞いてしまった以上は応えが返ってくるまで待とう。
数秒後、彼女はようやく口を開くとさっきとは違う顔をして、
「あなたの匂い」
といい、反応をさせる暇を与えず
「あと、あなたの質問に答えなきゃね
私の依頼内容は私と一緒に家に住んで」
――――――――――――――は?
最初の答えに疑問を持ちどんな反応をしようか考えようとした時にとどめの一言でさらに混乱し、今出来ることをやろうとして俺はすぐ質問をし、
「なんでだ。」
「今は言いたくないわ。それよりあなたは何でもやなんでしょう?この仕事を受けるの?受けないの?」
"なんで"と言ったところで食い気味に返された。
どうする?まずこの依頼自体が仕事には思えない。というか思いたくない。女の子で、仲のいい子なんて俺が今のこの状況までに一人もいないので、俺にとっては神の悪戯にしか思えない。
ここで、さっき起動させたパソコンにメールが届くのが見え、そこで俺は気付いた。
そして、メールの内容を確認すると……
やっぱり、仕事のことだった。
「あっ!俺、他にも仕事が入ってるんだった。」
今までのやりとりでかなり時間を使ってしまい、彼女が家を訪問した時から二時間経っていた。
とりあえず彼女は一旦返して、仕事が終わったら喫茶店かなんかで待ち合わせするか。
思っていた頃には行動に移していた。
彼女は半分納得していなかったが、半分はこの意見に賛成しただろう。とりあえず約束の時間までに仕事を終わらせよう。
彼女を玄関まで送り、俺はパソコンの前の椅子に深く腰掛けた。
彼女はいったいなんだったんだ。あの同居発言にはどんな意図があったのか、とかなんで俺が仕事が他にもあることを思い出したら食い気味に言葉を発さなくなったのか。
色々分からないことがあるがとりあえずは今、目の前の仕事を終わらせよう。
俺は改めてパソコンに真っ直ぐに向いた。
◇
◆
◇
仕事は案外早く終わり、午後3時には終わらせることが出来た。
待ち合わせ場所に行くと、彼女はそこにいた。
もう先にいたらしく、喫茶店の外のテラスで座っていた。
彼女の向かいに座り、早速話を始めた。
「なぜ俺と一緒に暮らしたいんだ?ある程度の理由を教えてくれなきゃ俺も、受けようにも受けれない。」
「それよりコーヒーはどう?私が買ってくるからとりあえずブラックでいい?」
「あぁ、頼む。」
彼女は俺に話の主導権を渡してくれなさそうだ。それに、カフェなんだからコーヒーとかは飲もう。
彼女はコーヒーを持ってきて席につきカップを置き、やっとやっと話し始めた。
「そうわねぇ。あなたに憧れて、一緒に仕事をしてみたいと思ったのよ。」
それなりの返しがきて、こちらもしっかり答えなければと思い、少し真剣な顔をして
「しかし、それじゃあ一緒に住みたいという理由にはならないぞ。一緒に仕事したいのは全然オッケーなんだが、別に一緒に住まなくても。」
「私はあなたと同類なのよ。」
「え?」
「あなた、ハーフなんでしょう?何と何のハーフか私は知っているのよ。」
「じゃ、じゃあ何と何のハーフか答えてみろよ。」
少し早口になり、早く鼓動する心臓の音が自分でも分かるぐらい緊張して、それでも理解できるくらいの声で言った。
「人間と吸血鬼のハーフでしょう?」
「……んなっ!」
なんでわかったんだ!、と言いたいが驚き過ぎて言葉が出なくて、口をぱくぱくしていると、気になることがうまれた。
彼女はなんのハーフだ?彼女の言い方だと俺と同類らしいから、彼女も何かのハーフのはず。
彼女はコーヒーを飲んだので飲み終わった頃を見計らって、
「お前は何のハーフなんだ?」
と、簡単に質問すると
「私は人間と淫魔だよ。」
と、少し寂しそうに言っているのは何故だろう。
なるほど、そういう事か。ならば、俺はどうしよう。今回の話のミソは、一緒に住むか、住まないかで、何のハーフかの話では無い。
コーヒーをぐびぐび飲んで、俺は腹を決めた。
一緒に住もう。
俺は、彼女に惹かれた。
一緒に住めば彼女の色々が分かるかもしれない。
そんな好奇心で一緒に住んでいいのかは微妙だが、それでも好奇心には勝つことは出来なくて。
「いいよ。俺と一緒に住もう。金はいらねぇ。一緒に住むんだ、家賃や水道代なんかを割り勘して払ってもらう。空き部屋は何も無いから、今すぐでもいいぞ。」
「いいわよ、お金は払うわ。あと、私は今すぐ行けるわよ。」
それでも日用品を揃えた方が良いと言ったら、賛成したので、一旦帰ることにした。
こうして、少し順調すぎる話の進み方に戸惑いながらも、一緒に住むことが決まった俺は少し期待して、それと同時にたくさんの不安をかかえながら、俺は喫茶店をあとにした。
◇
◆
◇
あの時からだ。
彼は私を庇ってくれた。どんな暴力もどんな罵声からも私を守ってくれて、いつも私を慰めてくれた。
私は、親の事情で遠いところに引っ越してしまったので寂しかったけど、彼のほうが寂しがってると思う。それにもっときつい仕打ちを受けているはずだ。
彼はとってもかっこよく見えた。少し鋭い目で、だけど私に向けてくれる目はとても柔らかい感じで、私の唯一の救いであり、癒しであり、友達だった。
彼も私と一緒でいじめられていたのに、私を庇う余裕なんて無かったはずなのに。
あそこはおかしかった。私たちと同年代の子供たちだけでなくその親や、大人まで私たち二人をいじめた。
私の親はほかの親とは違くて、私にとってはまともだったので嬉しかった。
彼には親がいなかったので、私の親が引越しの話をした時、彼に話を持ち掛けてくれたのだが彼は、
「やらなきゃいけない事があるんだ。」
といい、引越しはしなかった。
引越し当日、私は彼に別れの言葉を言いに行った。向かった時、彼はいつも通りいじめられていた。
私はいつも助けられてばかりで助けてあげたくなって、勇気を振り絞って飛び出ようとした―――――
「来るなぁー!」
と、突然叫んだ。私はびっくりして、そして怖くなってしまってずっと陰で震えていた。
鈍器を使っているのか低重音が数回響き、殴られている音も聞こえた。
ほとぼりが冷めた頃を見計らって彼に這い寄ると、彼は少し嬉しそうだった。傷だらけの顔で一生懸命の笑みを浮かべ、
「出てこなくてよかったろ?」
と呟いた。
私は泣きながら彼に、抱きついた。彼も私を抱きしめてくれて、ずっとこの状態でいたかった。
しかし、もう少しで行かなければ行けない時間で、私は、彼の傷を包帯で巻き、彼に傷の施し方を教えてから、
「バイバイ。また会えたらあなたと一緒にいたいわ。」
「僕も望むよ。」
これが、私の最後の彼との会話だと思っていた。
けど………違った