いつものように
いつも学校帰りに寄る
ゲームセンター
来るたびに座る
格闘ゲーム
そして来るたびに出会う
彼女
いつものように彼女は僕と挨拶を交わす
「よっ!」
「昨日ぶりです」
いつものように俺の対戦席に座る
彼女
ゲームがスタートすると
僕は人が変わる
いつものように
遊び疲れるまで彼女と遊ぶ
ちなみに
彼女の名前は知らない
いつものように
帰ろうとする
そしていつものように
彼女は僕に付いてくる
いつものように
公園の自販機で飲み物を買う
いつものように
いつものベンチに座る
いつものように
彼女に名前を聞く
「そろそろ名前を教えてくれても.....」
「ダーメ、教えなーい」
いつものように
彼女は一点張り
いつもは聞かないことを
今日は聞いた
「何故いつも、僕を待ってるのですか?」
「そりゃ、決まってんだろ?」
彼女は僕の目を一心に見た
「お前が好きだからだ」
「っ!?」
彼女はそういい僕の唇に唇を重ねた
僕はすぐ彼女を突き放した
「ど、どういうことですか?」
「そのままだよ、そのまんまの意味だ」
僕は彼女にからかわれていると思った
「じ、冗談はやめて下さい!」
「...じ........ねぇよ」
彼女の声が小さくて
僕には聞き取れなかった
僕はなんて言おうとしたか聞こうとすると
彼女は顔を真っ赤にしていた
「冗談じゃねぇって言ったんだよ!」
彼女は僕の目を一心に見た
たまに目を逸らしながら
真剣さは僕には十二分に伝わった
恋愛経験のない僕だから
何をすればいいか分からないけど
僕の心を彼女にぶつけた
「僕も貴方の事が好きです」
どうすればいいか分からないけど
とにかく伝えたかったから
僕は彼女を力の限り抱きしめた
「ちょっ! 苦しい、苦しいってば!」
「す、すみません」
僕は彼女から手を離すと
今度は彼女が僕に抱きついてきた
「お返しだー」
「っ!?」
僕は驚いてその勢いのまま倒れてしまい
頭をベンチの角で強打した
「ご、ごめん! 大丈夫か?」
「え、えぇ.....、大丈夫です」
僕と彼女は目が合うと
同時に目をそらした
「こ、これからもよろしくな」
「え、ええ、こちらこそ宜しくお願いします」
この時、彼女は
僕の彼女になった
そして
あの日からも変わらず
いつものように
ゲーセンであっては
いつものように
遊んで
いつものように
公園へ行って
いつものように
談笑をした
終わり