進化
いやなんかスライム相手に調子乗ってたら蛇頭の蜥蜴がこっちガン見してました…
動く気配を感じないので今のうちに『鑑定解析』だ!!
《確認しました。情報を表示します。
種族名:合成獣S・リザード
属性:魔
所持スキル:「劣化竜」「猛毒」「咆哮」「威圧✩」「脱皮再生」
説明:人工魔獣。研究所から逃げ出してきたそこそこ危険な魔物。》
そこそこなの?こんないかにも「ゴゴゴゴゴ・・・」って雰囲気だしてるのに??
いや、俺も結構強くなってるから基準があがってそこそこってレベルになったのか…??
逆にレベルがあがってそこそこ強いってことは元々はめちゃくちゃ強いのでは…?
《SDOの魔物情報と比較すると、レベル50の竜人と同等です。》
あ、弱いですね。よかったです…って俺今25レベルの龍じゃん!結構やばくねぇ??
恐ろしや廃人思考…
そのとき物凄いスピードで蛇蜥蜴が俺に噛みついてくる映像が見えた。咄嗟に後ろへバックステップすると、さっきまで俺がいた場所に奴の頭が突っ込んでいた。
未来予知さすが!あっぶねー!!助かった…
あれから逃げるのはさすがに無理だよなあ…仕方がない、腹を決めよう。
まず神速思考と高速演算を試みた。が、神速思考を行った瞬間自分の周りの時間が10000分の1?くらいまで引き伸ばされた感覚がした。そして、高速演算は発動しなかった。
《神速思考中に発動出来る演算スキルは神速演算です。》
という全智の教えが無かったら呆然としてトカゲの攻撃を喰らっていただろう。
すぐさま神速思考を思考加速に切り替えて高速演算と龍眼を発動させた。
トカゲの体内を駆け巡る膨大な量のライフ…生命力。体力は高いと思って良さそうだ。しばらく観察していると、生命力が尻尾に集中し始めた。その直後、トカゲが俺に尻尾を叩きつけてきた。自分の耐久力も知りたかったので腕を頭上で交差させて尻尾を受け止める。ぐぅ…中々重い攻撃だが、俺へのダメージは皆無だった。思ってたよりも強い種族なようだ。
自慢の攻撃をあっさりと受け止められ、戸惑っているトカゲに光之槍を構えて突撃ィ!
攻撃は当たったがこちらも威力が足りないようで、槍が砕けてしまった。それに気を良くしたのか、トカゲがぴぎゃあああ、と咆哮し腕で殴りかかってきた。爪が痛そうなので少し潜り込んで腕を殴って弾いた。つもりが腕が歪み、トカゲが苦痛に呻き声をあげてしまった。あれ、これってもしかしなくても…
物 理 種 族 ……ですか??
腕を変形させられた驚きで威嚇はするも下手に襲いかかって来ないトカゲ。こう見えて格闘ゲームに心得のある俺はこのチャンスを逃すはずもなく、魔法を構築しながら、逃げられないように脚を潰しに跳躍する。
それを察してトカゲはデカイ図体でのしかかろうとしてくる。避けようがないのでこのえげつない物理攻撃力でトカゲを押し返そうと拳を握る。
そして眼前に迫ったトカゲの腹に躰をひねり、拳を打ち出す。当たる直前に更に跳躍。これぞ、昇る龍のような拳!アッパーだ!!
思わず技名を声に出してしまっていたのだが、龍なので「グォォォ…」としか言えてなかった。
そして、トカゲの体はへの字へ曲がり、空中へ投げ出された。予想以上に飛んでいる。
《光魔法の構築が完了しました。
光魔法「属性付与・光」を取得しました。》
新しい光魔法を発動させ、自分の物理攻撃に光属性を持たせる。
そして、落ちてきたトカゲに左ストレートをかます。光属性が付与されているので殴られた部分が浄化され、トカゲの体に穴が空いた。そこから漏れだしてくる生命力を見て、悪魔神の生命操作で吸収出来るのではないかと思い、発動させた。
するとトカゲの傷口からとんでもない速度で生命力が右手に吸収されていく。時間と共にトカゲがどんどん衰弱していく。地味に心が痛む。
(ごめんな…辛い思いさせちまって。いい戦いだったよ。どうか俺の中で安らかに眠ってくれ…。)
そして、トカゲの命の灯火が消える。
《生命力が一定に達しました。進化が可能です。
進化先1:星龍「星皇龍の卵:固有」
進化先2:皇龍「龍皇の卵:固有」
進化先3:幻龍「幻龍皇の卵:固有」
この3種から選んでください。》
ん!?感傷に浸らせる時間もくれないのかよ!!
全智にキレても仕方がないのでとりあえず進化を完了させてしまおう。
目的は人になれることだから人に変化とか出来る種族でお願いします。
《確認しました。進化を開始します。進化の後、空腹状態へと陥ります。》
え、なに空腹、それ、は、えっ・・・
今言う事かよ…という思考を最後に俺の意識は闇へ落ちていった。。。