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昇希龍ライズグレード

目が覚めるとライン通知が着いていた。

ミエ「10時からドラハン入ります。」

ケントは了解。と書き込み、恭哉達に伝えた。

10時になりオンラインに入ると皆来ていた。といっても一人足りなかった。

「あれマックスは?」

「塾があるから無理らしいよ。」

ケントの疑問に千幸が答えてくれた。

「そう言えば受験勉強せんといけんって前にいってたな。」

「大変だね。三年生って。」

「来年は俺達なんだけどね。」

「ところで今からどうする?ダンジョン攻略でもする?」

千幸が聞いてきた。

「じゃあ<昇竜洞>でもいくか?あそこのボス、<昇希龍ライズグレード>のレベルは15だけど、今のパーティーなら行けるだろ。」

「良いですね。賛成です。まあ私達は一回攻略しているんですけど。」

ケントの意見に恭哉が賛成してくれた。この世界のダンジョンは一日に一回攻略出来るようになっている。因みに裏ボスも常時挑戦出来るが強さがチートレベルなのでまだ攻略されていない。MMO最強プレイヤーのKさんなら倒せるかもしれないが、ゲーム開始から半年しか経ってない今はまだあり得ないだろう。

「アイテムの補充しに行くんだけど、誰か要るものある?」

「そうですね。<昇竜洞>は最深部まで長いし、回復アイテムは取り敢えず必要ですね。後は洞窟内は迷路みたいになっているので<ポイントマーカー>があると良いですね。」

恭哉が応えてくれた。<ポイントマーカー>とは迷宮などの攻略時によく使われるもので目印のために使われる。

「どうせなら皆で行こうよ。」

ミエが提案してきた。ケントが別に俺は良いよと言うと皆も賛成した。ギルドを出てアイテムショップに向かった。

「そう言えば俺残金少ないんだった。」

「私もそんなに残ってないよ。」

ケントの言葉にミエも同意した。すると恭哉がケント達に言った。

「じゃあ今回の回復以外の必需アイテムは私が払いましょう。ボスをかなり倒しているから残金には余裕があるので。」

「じゃあ私も払う。」

恭哉とレナが払ってくれることになった。

「悪いな。今度別の形で返すから。」

ケントがそう言うと恭哉達は、

「それならギルドに入れて貰えた分ってことで」

と笑って返してきた。

「いやさすがに何かするから。」

ケントがそう言い、ケント達一行は<昇竜洞>に向かった。<昇竜洞>に着いたケント達は先ほど購入した、<ライトリング>を起動した。<ライトリング>とは腕に装着する型のライトのことである。

<昇竜洞>を進んでいると、物陰に潜んでいた六つの光が突然襲ってきた。透かさずケントが叫ぶ。

「<ダークウルフ>だ。しかも三匹いるぞ。」

千幸と恭哉が先制を狙って飛び出す。襲って来る<ダークウルフ>の攻撃を躱した千幸は<ダークウルフ>の横から鋭い攻撃を数発与える。その間に恭哉は二匹の<ダークウルフ>に強力な攻撃を一撃ずつ喰らわす。すると三匹のダークウルフのHPがほぼ同時に0となり消滅した。

「何か私達の出番なかったね。」

「全くだ。」

「まあ、進めば出番も出るよ。<ダークウルフ>は雑魚モンスターだしね。」

出番がなかったミエ、ケント、レナが順番に思ったことを口にした。

<昇竜洞>の中間辺りにに来た時だった。警告サインが視界に表示された。慌てて辺りを見渡したケントだったが、何も見当たらず焦りが顔に表れていた。

「ケントさんどうしたんですか?」

ケントの行動に気付いたレナが尋ねた。

「いや、大型モンスターが見当たらないなと思って。」

「そう言えばそうで...ってきぁぁぁぁぁ!?」

「どうしたレナ?」

「う、うえに。何か蜘蛛みたいなのが...」 そう言ったレナが指を差した方に顔を向けたケントも少なからず驚いた。

「っ!!マジかよ。」

すると今度は恭哉一人が飛び出した。それを変だと思ったケントが後ろを振り向くと千幸、ミエ、レナは尻餅をつき怯えた顔をして蜘蛛型モンスター、<ビッグスパイダー>の方を見ていた。無理もない、女子高生三人にとって巨大な虫ほど恐ろしいものはないだろう。現にケントも気持ち悪くて吐き気がしていた。

「取り敢えず女子三人が標的にならないようにしないとな。」

そう小さく呟いたケントは『ルック・ロック』を発動する。すると恭哉が、

「ケントさん引き付けお願いします。」

と言って「<ドロップブレード>」と叫んだ。恭哉が振り落とした一撃は<ビッグスパイダー>を命中し、消滅させた。恭哉の扱う大剣は動きが鈍くなるが一撃の威力が相当高い。その上レベル10の<ビッグスパイダー>より15もレベルが高い恭哉の攻撃だ。たった一撃で倒しても不思議ではなかった。なかったのだが思わずケントは見とれてしまった。

「ごめん。それとありがとう。」

千幸が謝ってきた。それに続けてミエとレナもありがとう。と言ってきた。

「別にいいよ。それにあんな気色悪いもんが出現したら仕様が無いよ。」

頭を掻きながらケントは応えた。その後狩りを続けながらケント達はボスの前まで来た。すると再び警告サインが画面に表示される。

「やっぱりそうですか。」

そう小さく呟いたのは恭哉だった。恭哉曰くボス部屋の前には必ず大型モンスターが出現するらしい。

「まあ、俺はボスに挑戦したこと無いし。まずボスを倒せるようなレベルじゃないしな。」

そうケントが言った。ボスの強さは本来、ボスと同レベルが10人以上の集団で倒せるように設定されている。ボスの中で一番レベルが低い、<ライズグレード>のレベルにも劣っているケントじゃ普通に考えて攻略は不可能だからだ。普通ならば。しかし異名持ちが三人も居れば別の話である。

姿を見せたのはトカゲ型モンスター<コモドドラゴン>だった。ケントは現実に居んじゃんか。と心の中で突っ込みを入れるが、現実のコモドドラゴンより遥かに大きかった。全長五メートルぐらいあるだろう。

「じゃあ取り敢えず千幸と恭哉さんは先制を狙って下さい。ケントは成るべく引き付けて。現実と同じ設定なら毒もあるから気をつけてね。レナちゃんは攻撃の援護をお願いっ。」

ミエは皆に指示を出した後、<コモドドラゴン>の足を狙って一撃与える。すると足にダメージが入り<コモドドラゴン>が少し怯んだ。千幸はその隙に、<シャープフラッシュ>を標的コモドドラゴンに喰らわす。すると<コモドドラゴン>のHPが四割削られた。

「<フィニッシュブロウ>」

「<ドロップブレード>」

ケントと恭哉の必殺技がほぼ同時に<コモドドラゴン>に当たった。そして<コモドドラゴン>のHPが0になり消滅した。

「よし!ラストボスのみ。」

ケントが小さくガッツポーズをした。その後回復アイテムで全員のHPを回復した。といっても皆ほとんどダメージを受けてなかった。

「じゃあ扉を開けますよ。」

恭哉は皆にそう言って扉を開けた。すると部屋の中央に居た<ライズグレード>が入り口にいるケント達に向かって突っ込んできた。透かさずケントは、

「皆下がって。」

と言って前に出てガーディアンシールドを構えた。そして構えた盾と<ライズグレード>が接触する手前でケントは盾を前に押し出した。すると攻撃をした側のはずの<ライズグレード>のHPが一割削れる。

「カウンターですか。」

そう尋ねた恭哉の方を向いてケントは黙って頷いた。カウンターは攻撃を受ける際にタイミングよく押し返すと発動でき、ノーダメージで相手に相手の攻撃力分ダメージを与えることができる。が、普通狙っても出来ないのでやろうとするやつはまずいない。

「ミエ指示を頼む。」

ケントがそう伝えるとミエは小さく頷き、

「ケントは『ルック・ロック』を発動して引き付けて。レナちゃんは主にケントの回復をしながら様子を見て攻撃にも参加して。千幸と恭哉さんは隙を見てゲージが溜まり次第必殺技を当てて。ボスモンスターのHPはかなり高めだから躊躇無く必殺技を撃ってって。」

と皆に伝えた。

ケントが『ルック・ロック』を発動し、千幸が<シャープフラッシュ>を<ライズグレード>に命中させた。しばらくは隙を見て皆が各自必殺技を撃ち込み、ケントのHPがかなり減ったらレナが回復するの繰り返しが続いた。

ボス部屋に入って三十分くらい経った時だった。

「後一割だよ。皆、必殺技撃てる?」

ミエがケント達に尋ねた。するとケント達は全員頷いた。そして全員がほぼ一斉に必殺技を発動させた。

「<ドロップブレード>」と恭哉が、

「<シャープフラッシュ>」と千幸が、

「<フラワーニードル>」とミエが、

「<フェアリーフラッシュ>」とレナが、

「<フィニッシュブロウ>」とケントが、ほぼ同時に叫んだ。

すると残り一割だった<ライズグレード>のHPは0となり消滅した。

「最大ダメージボーナスは<プラチナ>ですか。」

最大ダメージボーナスを手にしたのは恭哉のようだ。まあ、当たり前に考えるとそうなるだろう。

「よし。ボスも倒した事だし、そろそろ戻ろうか。金も貯まったし。」

「そうだね。」

ケントの言葉に反応してくれたのは千幸だった。そのまま<帰還結晶>を使って<始まりの地>に戻った。その後、<始まり門>を潜り、<ネニール>という街に着いた。着いたとたんにちょっと買い物してくると言って女子達は武器屋に向かって行った。話がガラリと変わるが、それぞれの街にある門は全て繋がっている。しかし、<始まりの地>を離れていくにつれて、出現するモンスターのレベルが上がっていくのであまり使われていない。

<ネニール>は<ドラゴン・ハント>で最強ギルドと言われている<サラマンダー>の拠点があるところである。

「まあ、レベルが高いのは認めますけど実際、Kさんのお陰らしいですし。」

「えっ。Kさんって<サラマンダー>に所属していたのか。それより恭哉、Kさんのお陰ってどういう事だ?」

「いえ、Kさんが上級モンスターを狩るときについて行くことでレベルを上げていると言う噂を聞いたことがありますので。」

「じゃあ別にどうってことないだろ。」

「それが<サラマンダー>に平均レベルが30のパーティーがあるらしいんですよ。」

「平均レベル30!?そのパーティーの最高レベルはどれくらいだ?」

「今は知りませんが聞いた時には...35だったと思います。」

「35ってたった半年で?じゃあKさんは?」

「その時は45だったそうです。」

「化け物かあの人は!一体何レベのモンスターを倒したらそうなるんだ?」

「さぁ、そこまでは分かりませんが取り敢えず今は<サラマンダー>に関わらないことをおすすめします。」

「どうもその様だな。昔みたいな動きができりゃあ話は別なんだけどな。」

「確かに。」

「じゃあ<ダークフォレスト>に行っていいか?<ブラックソード>を強化させたいし。」

「私の愛剣<シャインダーク>の強化材料にも<黒き獣毛>が必要になりますので丁度良かったです。それと<ホワイトクロウ>の<ホワイトフェザー>もですが。」

「前から思ってたんだけどお前のそれって伝説の準器だよな?」

「そうですよ。強化素材がなかなかレアなんで強化するのが大変なんですけどね。」

「やっぱりか。スゲーな。」

「それほどでもないですよ。それよりそろそろレナ達を呼びにいきましょう。」

恭哉がそう言って、ケントと女子達を呼びにいった。


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