黒リボン・ドール・ガール
学園【購買部】
学園を徘徊するコト、数日。
見るもの全てが新鮮で、鼻歌混じりのフェアリーステップも、だいぶ板についてきたと思うの。
お気に入りの場所もいくつか見つけたし…今日は、そこで暇つぶし。
購買部の棚の一角、たぶん、私の為に空けてくれてるんじゃないかなぁ…と思う場所。
気に入ってるトコロは、なんと言っても、学園の案内板に載っていない所。
私も最初は、探検気分で探した購買部、自主運営なお店。
案内に載っていないのは、欲しいものがないと来れないから。
願わないと来れない『願いの購買部』
ちょっと不思議で素敵よね。
そんな購買部、先日もこんなコトがあったわ。
「なんでだっ!?」
私は、ハイ・エルフの男子生徒のおっきな声で驚いてしまい、危うく棚から落ちそうになったの。
「…ごめんなさい、あるけど、貴方には売れないの」
購買部の妖精さん、ビクビクしながら、カウンターから耳を寝せて目だけだしてる。
「だからなんで!…たかが、消しゴム一つだし、ちゃんと料金だって支払うって言ってるんだぞ!!」
カウンターにF通貨をバンッと投げ付ける。
「ほ、ほんとに、ごめんなさい。怒らないで…」
もういい!!
そう言って立ち去るハイ・エルフさんに、妖精さんは、申し訳なさそうに頭を下げた。
これは面白そう♪
私は、ハイ・エルフさんの後を付けるコトにしたの。
二年生の教室…さっきのハイ・エルフさんは…とっ、いたっ、みつけたっ♪
授業が始まり、不機嫌そうに席に座ってる。
正直、少し退屈な授業風景、ハイ・エルフさん真面目にノート取ってる。
「ぁ…やべ」
筆箱を開けて見たものの、消しゴミがないのに気づき、困ってる。
「どうしたのよ? いいわ、私の貸してあげる」
隣りの女子生徒、みるにみかねて、兎のかたちをした消しゴムを出した。
ぁ、なるほど。
私は、教室を出たわ。
これで三人目♪
数日後、噂になるのよね、あの二人。
購買部に戻って、お気に入りの場所で、足をぶらぶらしている私。
妖精さんの独り言が聞こえる。
私の気づいていないのに、まるで、私に話しかけるように。
「想いを寄せる殿方に…貸すと両想いになれる兎消しゴム」
妖精さんは、箱いっぱいの兎さんの消しゴムを、並べているの。




