プー太郎の慟哭。
「働かない、絶対にだ…!」
皆様こんにちわ、こんばんわ。そしてお早うございます。毎度お馴染み、俺氏で御座います。時の流れとは残酷にも早いものでありまして、今回で三度目の登場と相成りました。
今回何故私が…え、あ、はい…
えー、只今作者殿からお叱りの言葉を頂きました。
『前置きは程々にして、さっさと本編を語れ』だそうです…
何とも勝手気儘な作者殿です。
状況説明をする事の何が駄目だと言うのでしょうか? 完全に読者様置いてきぼりですよ、これじゃあ。
ブラウザバックされても何も文句は言えませんね。
さっさと本編に行けと注意を促されましたが、語り部の私としましては、一体全体何がどうなってこうなったのかを説明しないわけにはいきません。
簡単に事の経緯を綴りたいと思います。
今日も作者殿は不眠症(自称)故に眠れないようで、短編小説を書く事にしました。
しかしながら、まぁ作者殿にとってはいつも通りの事なのですが、全くもって筆が進まないわけです。そして私に白羽の矢が立ったと…
実に情けない作者殿です、こいつは…
こんなボンクラに生み出されたかと思うと、胃の内部で溶解された内容物を今にも全て吐き出してしまいそうになります。
『おい、今お前が口から吐き出したのは内容物ではなく毒舌と言うやつではないのか?」
私とした事がやってしまいました。
作者殿を貶めるような言葉を吐いてしまうなんて、これはもう自害するしかありませぬ…!
『キャラ振れまくりだな、お前…つうか前置き長過ぎねーか? これ一応、練りに練った設定の上に成り立っている短編小説だからね』
「え、そうなのですか? 私はてっきり、作者殿お得意のおふざけだと思っていましたよ」
『馬鹿か、お前は。俺は何時如何なる時でも真面目だぞ。つうか俺から真面目を取ったら何も残らん!』
「あぁ、分かりました。それは所謂真面目系クズと言うやつですね。そういえば、これの元ネタって何なんですか?」
『某巨大掲示板群で一時期流行っていたと思うが、今はどうか分からん。そんな事よりだ。お前との無駄話に時間を割いている余裕なんて皆無なんだよ、俺には! 一体今何時だと思ってんだ。俺は明日も仕事なんだ!』
「あぁ、だから冒頭の台詞なんですね。わかります」
『そんなもんは偶然の産物だ。まぁ働きたくないのは事実だが…それより、さっさと本業の語り部に戻れ。給料出さんぞ!』
「はなから出す気なんて無いくせに(ボソ」
『何か言ったか?』
「いえいえ、何にも言っちゃいませんよー。
では、そろそろお仕事始めるとしますかね」
ーーベッドの上で、心の深淵に眠る憤りを慟哭しているのが、この短い小説の主人公であり、現在NEET期間三ヶ月目に突入しようとしている瀬戸君なわけであります。
瀬戸君はつい三ヶ月前まで、アルバイターとして、いい気分になれると評判のとあるコンビニで仕事をしておりました。
何時も何時でも如何なる時でも、髪はボサボサ、髭は無造作、目は魚。そんな具合の彼でしたから、職場では稀有な存在で、同僚たちと馴染む事も出来ず、何時も一人で孤独に寂しく仕事をこなしていたわけです。
彼は同僚たちの間で『孤独の権化(キモイ』と呼ばれていたことからも、彼がどれだけ社会に馴染めない社会不適合者人間なのかが、お判りになられると思います。
そして彼はアルバイターを辞め、ニーターに進化を遂げたわけです。何と言う人類の神秘。
ベッドからひょいと飛び降りた瀬戸君は自らの部屋を見渡して驚愕してしまいます。
「何て汚い部屋なんだ…!」
私から見ても、お世辞にも綺麗とは言えない部屋です。床に天高く積み上げられた書籍(エロ注意)は瓦解一歩ですし、パンパンに詰め込まれた本棚は、キャパ越えが著しく、いつ破裂してもおかしくない状態です。
その他にもお菓子の袋や、カップラーメンの食べ残しなどなど。書ききれない程のゴミが足の踏み場が無い程に散らばっているのです。
しかし、これだけはどうしても伝えなくてはならないでしょう。ゴミ箱には、使いづみのティッシュペーパーが山のように盛りに盛られておりました…おおふぅ、吐きそうです。
瀬戸君は家族と共に日々の生活を送っています。家族構成は働き者の母親が一人と、容姿端麗で、リア充街道真っしぐらの高校生の妹が一人。そこにプー太郎こと瀬戸君を含め、計三人で閑静な住宅街に聳えるお世辞にもブルジョワとは言えないアパートに住んでいるのです。
ちなみに母親の口癖は『リア充爆発しろ! 』
バツイチはお辛いのでしょうね。心中お察知致します。
瀬戸君が自室の扉を開け放ちます。
今の衝撃でアパートの耐震構造に深刻なダメージが与えられたと私は推測します。
恐るべきNEETパワー。私も見習いたいものであります。
家族団欒の場、リビングへと足を進める瀬戸君。その表情は決意に満ち溢れています。
働かない決意。三ヶ月に渡る黙考の果てに辿り着いた決意。この先どんな逆境に見舞われようとも決して折れる事のない鋼の決意を胸に、瀬戸君はリビングへ続く扉に手をかけます。
使い古された引き戸が若干の軋みを上げながら、横にスライドします。
瀬戸君の眼前には四角テーブルに座り、お味噌汁を啜っている母親の姿があります。
母親に向かって一歩足を踏み出すと、まるで今にも獲物を仕留めようとする鷹と形容せざるを得ない眼光が瀬戸君を捉えます。
「今日は随分早いじゃないの、プー太郎」
ちなみに申し上げますと、瀬戸君の名前はプー太郎などではなく、大志という立派な名前が存在するのです。俄かには信じられませんが、彼は大きな志を名前に冠する瀬戸君なのです。
「今日はクソババアにいう事があってな。だから早く起きたんだ。有難く思え」
実の母親に向かってクソババア、かたや母親といえば実の息子に向かってプー太郎。
この家、大丈夫なんでしょうか?
「クソババアとは言ってくれるじゃない。それで言いたい事ってなに?」
既に皺が刻まれている眉間に更に皺が寄り、こめかみの血管は爆発寸前です。
クソババア…あ、失礼。お母様の身体が心配でなりません。
「俺は決意したんだ。この三ヶ月、悩みに悩んで末に導き出した結論だ…」
「前置きはいいから、さっさと言いなさいよ」ま、前置き…耳に痛い話です。
瀬戸君の体勢が下がって行きます。
これは、ジャパニーズ土下座ではありませんか! 私初めて目にしました。
何と凛々しいお姿なのでしょう、瀬戸君…
額をフローリング敷の床に押し付け、瀬戸君の口が開きます。
「クソババア…」
土下座しながら、この物言い。
そこに痺れる! あこが(ry
瀬戸君が大きく息を吸い込む音が殺伐としたリビングに響き渡ります。
「俺を養って下さい!」
刹那、お母様の踵が瀬戸君の頭にクリーンヒットします。
「…」
どうやら瀬戸君は気絶してしまったようです。私も久々に度肝を抜かれました。まさか、あのような発言が飛び出すとは。
「働かないなら、そのまま氏ね!」
クソババアの一喝。
気絶しているであろう瀬戸君に、この一喝は届いているのでしょうか。届いている事を願うばかりです。
願う事しか出来ない私は、やはり何処までいったところで語り部でしかないのでしょう。
突如、引き戸が軋みを上げながら開きました。姿を現したのは、噂の彼女ではなく、瀬戸君の妹です。
起きたばかりで寝呆けているのか、床に倒れている瀬戸君に気付かずに頭を踏み付けてしまいます。
「あ、何か踏んだ。何これ?」
「ただの穀潰しのプー太郎よ。死んではないからほっときなさい」
「おはよう、お母さん」
と、言いながら瀬戸君の頭を人差し指で突ついて遊ぶ無邪気な妹。実に微笑ましい光景です。
「お兄ちゃん、妹から一つアドバイスしてあげる。働きたくないないならね、プロニートにならないと駄目なんだよ。先ずはお母さんのご機嫌取りをしなくちゃ」
満面の笑みを湛えながら言う台詞ではないと思うのですが、この兄にして、この妹とあれば納得も出来ると言うもの。
果たして瀬戸君はプロニートになる事が出来るのか!?
彼の闘いはまだまだ続く。
自分で書いておいてアレですが、悪ふざけにも限度があると思います。
いつか真面目な小説を書いてみたいものです(遠い目
と言いますか、今回のこれに関しては、完全に小説ではない別物ですね。
では最後に。
ここまでお付き合い頂いた読者の皆様、本当にありがとうございました。




