暗殺者の憂鬱
スコーピオン:「不死身」の肩書を持つ暗殺者。対象一人の能力を一瞬だけ消滅させる能力を持つ。
かいこ:スコーピオンの標的。能力持ち。
五人衆:かいこの部下。全員能力持ち。
1対6はさすがに無茶と考えたスコーピオンは分断作戦を実行。見事に成功し、ほくそ笑んでいたのだが・・
不死身のスコーピオンは、5人衆の一人・わかなと対峙していた。
拳銃を用いての一騎討ち。先に動いたのはわかなだった。
(弾の撃ち合いなら俺の方が上だ)
彼女の放った弾はスコーピオンより大きく右にずれていた。
(ふ、どこを狙っている?)
その時、弾が突然左に向けて急旋回。
(曲がってきたか、これがあいつの能力)
辛うじて回避したスコーピオンは坂を下り地形での利を取る。
(高低差さえあれば、その能力は怖くない)
わかなは再び弾を放ち、左右に旋回させるもののスコーピオンの遥か手前で着弾
・・するように思われた。
着弾するはずの弾は急上昇。スコーピオンを狙う。
(まさか・・)
スコーピオンは5人衆2人目・えりむの存在を確認した。
えりむの能力は弾の高低を操るのであった。その弾は他人のものでも有効。
(上下左右自由自在か・・だが所詮向かってくる弾、避ければおしまい)
わかなの3発目。スコーピオンはあえて弾を引きつけ、当たる直前で回避する神業を披露。
あとは弾が地面に当たるのを確認するのみ・・と後ろを振り返ったその時、
通り過ぎたはずの弾はスコーピオンに向けて戻ってきていた。
わかなの隣に5人衆3人目・れんげがたたずむ。
(れんげ・・確か弾の前後を操るのであったな。この3人が集まれば弾は勢いがとまるまで対象を追跡し続けるようになる)
それでもスコーピオンは弾を回避し続ける。
(同時に出せる弾はたかだか一発。絶え間なく自分に向かってくると考えれば目を閉じても回避できる)
その時、二発目の弾がスコーピオンをとらえていた。
(5人衆・4人目のまきほ。あいつは弾を複数出せるようにするサポート専用の能力を持っていた)
だが動じることはない。
弾を撃っているのはあくまで一人目のわかな。それ以外の人物から倒していけばいいだけのことだ。
スコーピオンは得物を持ち、一番厄介なまきほを仕留めにかかる。
まきほは慌てたそぶりもなく、自分の拳銃を取り出した。
(この様子じゃ全員持っている・・一旦引くか・・)
スコーピオンは壁の裏に潜み、幾らかの弾をやり過ごす。
(人体には致命傷だが、破壊力そのものは壁を破壊するには足らない)
その時、5人衆がいた方角から眩しい光が放たれる。
5人衆・最後の一人・るるみの号令の直後、5人の銃弾が合体、巨大な砲弾となってスコーピオンに放たれる。
彼を守っていた壁は虚しくも破壊され、彼は逃げ場を失った。
(5人衆が全員そろったか・・これはやばいな)
そんな彼の前にさらなる追い打ち。
スコーピオンの標的にしてこの5人衆を率いるリーダー・かいこの登場。
自傷行為によって負ったダメージを相手に押しつけるという能力を持っている。
無論、仲間の自傷行為のダメージも転移が可能。
スコーピオンの不死身伝説に終止符を打つために、標的がわざわざやってきたのだ。
5人衆とかいこ、全員が自身に銃を向ける。
この攻撃は誰であっても回避することはできない。
彼女らは更に念を入れ、自身のこめかみに銃を向けた。
スコーピオンは覚悟を決めた。
「今回も見事な暗殺劇だったね」
「いいえ、彼女とその部下は自殺しただけです、私は一切攻撃していませんよ」