Collar
ある男が言った。
「俺は、俺という人間の存在意義が分からない」と。
存在意義。
それは理由であり、訳であり、必要性であり、意味である。
意味のない人生などは存在しない。
しかし
一個人の必要性とか。
意義ある人生とか。
人生の理由とか。
生きる訳とか。
そんなものはあるだろうか。
世界における自分の存在意義。
果たして。
一人一人はしっかりと、この世界という機構の歯車で居られるのだろうか。
否。
人間というのは世界を彩るに過ぎない。
要するにペンキだ。
だから、誰かが死んだところで世界が回らなくなることはない。
少し、色彩が変わるだけ。
少し、世界が軽くなるだけ。
むしろ、軽くなった世界はそれまで異常に軽快に回り始めるかもしれない。
じゃあ、意味ある人生とは?
単純。
人間は世界を彩るペンキだ。
塗料。
それならば。
より美しく
より鮮やかに
この世界を彩ろうじゃないか。