第4章:100万の制裁(ジャッジメント・コール)
俺たちは転移魔法で、辺境伯が勝利の祝杯を挙げようとしていた晩餐会の広間に直接乱入しました。
「何者だ!? 衛兵ッ!」 椅子を蹴立てて立ち上がる辺境伯。しかし、彼の周りにはすでに1024人のロバートさんとジミーさんが展開していました。
「無駄だ。お前の衛兵はすべて無力化した。お前が井戸に投げ込んだ毒、その証拠はすべて押さえてある」
俺は「2の10乗」の魔力を乗せた念動力で辺境伯を拘束し、そのまま毒で苦しむ民たちが待つ広場へと転移させました。
「皆、聞いてくれ! この男が、お前たちの家族を苦しめた張本人だ!」
俺は鑑定魔法で、辺境伯が部下に下した命令の記憶を空中に巨大な映像として投影しました。動かぬ証拠を突きつけられ、民たちの悲しみは激しい怒りへと変わります。
「やめろ! 私は貴族だ! 貴様らのような下民に裁かれる筋合いは――」
「……まだ自分が『特別』だと思っているのか。ならば、お前が撒いた毒を、すべてその体で味わえ」
俺は彼が隠し持っていた毒の瓶を、魔法で霧状にして彼だけに吸わせました。苦しむ彼にアンジェさんが「ハイ・ヒール」をかけ、死ぬことを許さず、民たちが味わった苦痛を数倍にして体感させました。
最後は、怒れる民たちの目の前で、ロバートさんが一刀のもとにその首を撥ねました。
「悪意の結果を、地獄で見守るがいい」
同時に、北の鉄鋼公国ではキャリーさんとゲイルさんが動いていました。
「武器が売れないから戦争を起こす? ……そんなに鉄が余っているなら、二度と使い物にならないようにしてあげるわ」
キャリーさんは公国の全工房を見下ろす上空に滞在しました。 「2の10乗……極大殲滅魔法・インフェルノ・ジャベリン!」
1024本の燃え盛る槍が、精密な誘導で武器工房と資金源である金庫室だけを直撃しました。爆発的な熱量が、製造中の剣や鎧、大砲を瞬時にドロドロの鉄屑へと変えていきます。
「うわあああ! 私の財産が! 武器が!」 逃げ惑う商人たちの前に、巨大な壁のようにゲイルさんが立ちはだかりました。
「分身・1024。……逃げ道はないぞ。お前たちが孤児たちを暗殺者にしようとした罪、その命で償ってもらう」
ゲイルさんの1024の大盾が、商人たちを物理的に押し潰し、彼らが蓄えてきた「死の金」と共に工房の瓦礫の下へと埋葬しました。
数時間後、俺たちは自分たちの国の麦畑に戻りました。
「……これで、少しは世界が静かになったでしょうか」 俺は聖剣についたわずかな汚れを拭い、鞘に収めました。
「ああ。だが、アレク。悪意はまたどこかで芽吹く。……俺たちがこうして掃除を続ける限り、救われる奴がいることも事実だ」 ロバートさんが、収穫間近の麦を撫でながら言いました。
「泣き寝入りさせない。俺たちは、そのために最強になったんですから」
俺たちの国へ、鉄鋼公国から救出された孤児たちが、アンジェさんに連れられて到着しました。怯える彼らの手に、俺は温かいパンを握らせました。
「もう大丈夫だ。ここでは、誰も君たちを道具にはしない」
子供たちが泣きながらパンを頬張る姿を見て、俺は改めて誓いました。 この大陸に蔓延る悪意を、俺たちは「暁の銀翼」として、これからも狩り続けるのだと。
さらに悪意を探索
「鑑定」と「千里眼」をさらに広域へ、深層へと広げます。 俺の魔力は、大陸の境界を越え、海の向こうや地下の深淵にまで触手を伸ばしていきました。
「……いた。今度は、もっと根が深い」
俺は目を見開き、仲間に告げました。
大陸の交易の中心である自由都市連合。そこでは表向きの華やかさの裏で、大規模な人身売買が行われていました。 「鑑定」で見えたのは、誘拐された子供たちや、借金で売られた人々が、魔力を封じる鎖に繋がれ、地下の競売場に並べられている姿です。 そこには、かつて俺たちが滅ぼした聖国の残党や、他国の高官たちも「客」として名を連ねていました。
東方の乾燥地帯にある国では、新たな教祖を名乗る男が「奇跡」と称して毒を盛り、それを自分の「聖水」で治すことで民を心酔させていました。 彼は民からなけなしの食料を献納させ、従わない者を「悪魔憑き」として火刑に処していました。アンジェさんのような真の治癒魔法を、金儲けと支配の道具にしている。
かつて滅びた王国の跡地で、一人の狂った死霊術師が、戦死した兵士たちの遺体を弄び、不死の軍隊を作り上げていました。彼は近隣の村を襲い、新たな「素材」として生きた人間を狩り集めています。
殲滅の前に乗数を増やしましょう
「確かに、世界中に蔓延る悪意を同時かつ完璧に根絶するには、さらなる『桁違い』の力が必要ですね」
俺たちは再び、新しい国の中心にある修行場に集まりました。 「2の10乗(1024)」でも十分に戦略級の力でしたが、指数関数の恐ろしさはここから先にあることを、俺はザックさんの教えから確信していました。
「皆さん、さらに意識を深めてください。数字を倍に、さらにその倍に。1024はまだ通過点に過ぎません」
「乗数魔法」限界突破修行
俺たちは魔力連結を強め、共有する数字をさらに加速させました。
2の11乗:2048
2の12乗:4096
2の13乗:8192
2の14乗:16384
2の15乗:32768
2の16乗:65536
2の17乗:131072
2の18乗:262144
2の19乗:524288
2の20乗:1,048,576(約100万)
修行場の空気が、膨れ上がる魔力のプレッシャーでバチバチと鳴り響きます。
もはや「軍隊」ではなく「現象」です。ジミーさんは一つの国を覆い尽くすほどの「影」となり、ゲイルさんは大陸の全境界線を守護できるほどの「盾の壁」を展開。ロバートさんは一振りで百万の斬撃を、文字通り空一面に走らせる術を習得しました。
キャリーさんの魔導ジャベリンは、もはや雨ではなく「光の奔流」となりました。百万本の槍が同時に降り注げば、どんなに強固な結界も一瞬で消滅します。アンジェさんは、百万人に同時に「ハイ・ヒール」を施し、死の淵にある命を一度に引き戻す「慈悲の雨」を完成させました。
俺は自分の聖剣を見つめました。 「2の20乗……約100万。これなら、大陸全土に蔓延る悪意を、指先一つで、同時に、一瞬で屠れる」
「アレク……これ、もう冒険者の域を完全に超えちまってるな」 ロバートさんが、自分の掌から溢れる、かつて見たこともないほど濃密な魔力を見て苦笑いしました。
「ええ。ですが、悪意もまた『数』で攻めてきます。権力に群がる数万の兵、数百万の民を騙す偽りの教え。それらを一掃するには、この『圧倒的な数』による制裁が必要なんです」
「……アレク、顔が怖いぜ。相当ひどいもんを見たみたいだな」
ジミーがナイフを抜き、静かに戦闘態勢に入ります。俺は「2の20乗」まで引き上げた鑑定魔法を維持したまま、仲間に告げました。
「……救いようのない悪意です。しかも、数が多い。大陸全土に根を張る巨大な腐敗のネットワークが見えます」
俺の脳内には、今この瞬間も理不尽に命を奪われ、あるいは魂を汚されている数万、数十万の人々の叫びが響いていました。
「ロバートさん、皆さん。……今の俺たちの力なら、一人ずつ追いかける必要はありません。一撃ですべてを終わらせます」
俺は「暁の銀翼」の5人と円陣を組み、魔力を完全に連結させました。俺を中心に、100万倍以上に膨れ上がった魔力の奔流が渦を巻きます。
「乗数魔法、並列処理開始。ターゲット……全方位の『悪意』。……殲滅を開始します」
自由都市連合:地下競売場 キャリーが空高く手を掲げる。 「2の20乗(100万)・魔導ジャベリン!」 空を埋め尽くした100万本の光の槍が、自由都市中の「闇の競売場」と「奴隷商人のアジト」を一斉に射抜いた。悪徳商人の金庫と武器だけをピンポイントで蒸発させ、逃げ惑う客たちを光の牢獄に閉じ込める。同時に、アンジェが100万の光を放ち、囚われていた人々の鎖を溶かし、傷を癒やした。
東方の宗教国家:偽りの聖地 処刑台の火が燃え上がる瞬間、1024人どころか、数十万人のロバートと俺の分身がその国を埋め尽くした。 「神の名を騙る者は、その神の怒りを知れ」 偽教祖の体に、彼が民から奪った食料と富の重みと同じだけの「重力魔法」を2の20乗で叩き込む。彼は自分の罪の重さに耐えかね、その場で平伏し、二度と立ち上がれなくなった。
北の極寒地:死霊の廃都 ゲイルとジミーの分身が、文字通り「壁」となって死霊の軍隊を包囲した。 「数で勝てると思うなよ」 100万枚の盾が押し寄せ、100万のナイフが死霊術師の魔力回路を寸断する。死霊術師が作り上げた数万の遺体は、アンジェの「2の20乗・安息の光」によって浄化され、静かに土へと還っていった。
大陸の三箇所で同時に爆発した聖なる光。それは、悪人にとっては逃げ場のない破滅の光であり、虐げられた人々にとっては暗闇を照らす救済の光でした。
数分後。 俺たちは再び、自分たちの国の黄金の麦畑に立っていました。 100万という桁違いの魔力を行使したにもかかわらず、俺たちの息は整っています。
「……終わったな。これほど一気に、世界中の『膿』を出し切るとは」 ロバートさんが剣を納め、少し呆然とした様子で空を見上げました。
「鑑定の結果、主要な悪意のネットワークはすべて崩壊しました。……でも、これで終わりじゃありません」
俺は足元に芽吹く麦を見つめました。 「自由都市で解放された数万の人々、東方で飢えていた民、そして行く当てのない孤児たち。彼らをこの国に受け入れ、本当の『生きる術』を教えなければなりません」
「ガハハ! 土地ならいくらでもあるぜ、アンジェとキャリーが広げてくれたからな!」 ゲイルが豪快に笑い、俺の背中を叩きました。
「泣き寝入りなんて、もうさせない。悪意が100万あるなら、俺たちは200万の力でそれをねじ伏せ、300万の愛で傷を癒やす。……そうでしょう?」
俺の言葉に、5人の恩師たちが力強く頷きました。
「鑑定」と「千里眼」の精度をさらに高め、大陸の隅々まで魔力の網を広げます。「2の20乗」によって拡張された知覚は、もはや個人の悪意を越えて、この世界を動かしている「構造」そのものを暴き出しました。
「……酷い。あまりにも無責任だ」
俺の脳裏に、豪華な宮殿で贅を尽くす王たちや、権力争いに明け暮れる為政者たちの姿が次々と浮かんできます。
悪意の探知結果:為政者たちの実態
保身と黙認: 多くの王や貴族たちは、隣国で起きている虐殺や人身売買を知りながら、「自国の利益にならない」「余計な摩擦を避けたい」という理由で見て見ぬふりをしていました。彼らにとって、民の命はチェスの駒以下の価値しかありません。
悪意との癒着: 自由都市の奴隷商人から多額の賄賂を受け取り、人身売買のルートを保護していた国家がいくつもありました。彼らは「法」を、弱者を守るためではなく、自分たちの私腹を肥やすための「盾」として使っています。
意図的な困窮: 一部の為政者は、民が知識を持ち、豊かになることを恐れていました。わざと貧困状態を維持し、教育を制限することで、自分たちの支配を揺るがせないようにコントロールしていたのです。
「アレク、何が見える。あいつら、俺たちがこれだけ掃除してるのに、まだふんぞり返ってるのか?」
ジミーが忌々しそうに吐き捨てました。
「ジミーさん……あいつらは、何もしていません。それどころか、俺たちが一掃した悪徳商人たちの空席を、自分たちの身内で埋めようと画策し始めています。彼らにとって、悪意が消えることは『新しい利権』が生まれたことに過ぎないんです」
ロバートさんが剣を強く握りしめました。 「救いようがねぇな。民が飢え、殺されている時に、あいつらはワインの味を議論してたってわけか」
「為政者とは、民の命を預かる者のことではないのですか?」 アンジェさんの悲しげな声が、風に溶けていきます。
「今のあいつらに、そんな資格はありません。……俺は決めました」
俺は「2の20乗」の魔力を全開にし、大陸全土の「王城」と「議事堂」の座標をすべてロックしました。
「ロバートさん、皆さん。世界中の為政者に、最後通牒を突きつけます。……これまで彼らが無視してきた『泣き寝入りした者たちの声』を、彼らの耳元で、最大音量で響かせてやるんです」
「2の20乗」全国家同時介入・強制覚醒
俺は魔力を通じて、大陸中の全為政者の脳内に直接語りかけました。
記憶の共有: 教皇にやったように、彼らが無視してきた犠牲者たちの絶望と痛みを、100万倍の解像度で脳内に叩き込みました。「知らない」という言い訳を、物理的に不可能にします。
富の強制分配: 「2の20乗」の転移魔法を使い、各国の国庫に眠る「汚れた金」と「過剰な食料」を、その国の貧民街や孤児院へ瞬時に転送しました。
力の誇示と警告: 各国の玉座の真上に、100万本の「魔導ジャベリン」を同時展開しました。
「……各国の王よ。お前たちが民を裏切り、悪意を放置し続けるなら、次は盾や剣ではなく、この槍がお前たちの玉座を貫く。今日からお前たちの主人は神でも血筋でもない。……『民の安寧』そのものだ」
王城の広間で腰を抜かし、失禁する王たちの姿が「千里眼」に映ります。
「アレク。これで世界は変わるかな」 キャリーさんが、少しだけ晴れやかな顔で俺を見ました。
「わかりません。でも、あいつらは今日、初めて知ったはずです。……自分たちよりも遥かに強く、理不尽な悪意を絶対に許さない『凡人』が、空から見張っているということを」
俺たちは黄金の麦畑に立ち、自分たちが新しく作った国の平和な景色を見つめました。
「さあ、掃除の続きをしましょう。……為政者が動かないなら、俺たちが世界の仕組みそのものを、下から塗り替えてやればいい」
「……もう、警告の段階は過ぎましたね。彼らは知識を持ちながら、あえて『何もしない』という最大の罪を犯し続けてきた」
俺は「2 de 20乗」の魔力を使い、大陸全土の空を巨大な「記憶のスクリーン」へと変えました。
「鑑定……そして記録公開」
1. 全世界同時・公開裁判
空に映し出されたのは、各国の王や貴族たちが、民の悲鳴をBGMに贅沢な食事を楽しみ、裏で奴隷商人と笑いながら金貨を数える姿。隠蔽されていた公文書、他国を見捨てる密約、そして「民などいくらでも替えがきく」と吐き捨てた王子の声。
それらすべてが、100万倍の明晰さで、大陸中の全人類の目に焼き付けられました。
「あれが、私たちが信じていた王なのか……?」 「私たちの子供が売られている横で、あいつらはワインを飲んでいたのか!」
大陸全土から、地鳴りのような怒号が沸き上がります。為政者たちが築いてきた「権威」という名のメッキが、一瞬で剥がれ落ちました。
2. 「2 de 20乗」同時処刑(一斉清算)
俺は震えながら王城の奥深くに隠れようとする為政者たちを、転移魔法でそれぞれの国の広場へと引きずり出しました。
「ロバートさん、皆さん。……これが、彼らが放置した結果です。彼らが民に与えた『絶望』を、その身で清算してもらいましょう」
「ああ。情けをかける必要はねぇな。こいつらは、未来を殺し続けてきたんだ」 ロバートさんが静かに剣を抜きました。
100万の裁きの刃: 100万の分身となったロバートとジミーが、各地の広場で、民の目の前で、汚職まみれの貴族や王たちの首を撥ねていきました。
100万の審判の槍: キャリーの放つ光の槍が、悪意を隠し持っていた大臣たちの心臓を正確に射抜きました。
100万の絶望の封印: ゲイルの盾が、逃げようとする私兵たちの退路を断ち、悪徳の王たちを逃げ場のない断頭台へと追い込みました。
アンジェさんは、その光景を悲しげに見つめながらも、為政者たちに「ハイ・ヒール」をかけることはありませんでした。彼女はただ、広場で震える民たちの心を癒やすために、柔らかな光を降らせ続けました。
3. 旧世界の終焉
数分後。 大陸中の「玉座」には、もはや誰も座っていませんでした。 何世紀にもわたって民を搾取し続けてきた古い支配構造は、文字通り根こそぎ破壊され、大地へと還されたのです。
「……アレク。これで、世界から『王』がいなくなったな」 ジミーがゴーグルを外し、汗を拭いました。
「ええ。これからは、誰かが誰かの上に立つ時代じゃない。自分たちの足で立ち、自分たちの手で麦を育てる時代です」
俺は空のスクリーンに、最後のメッセージを映し出しました。
『罪人は去った。富はすべて大地に還した。これからは、お前たちが自分たちの国の主だ。……ただし、忘れるな。誰かが再び悪意を持って人を支配しようとするなら、その時は私たちが、100万の力を持って再び現れる』
大陸中に静寂が訪れ、その後、爆発的な歓喜の声が広がりました。
俺たちは黄金の麦畑に戻り、土の匂いを嗅ぎました。 もう、鑑定魔法で探るべき「巨悪」はどこにもいません。
悪意は去ったけど奴隷は開放されたのかな。 娼婦は 鉱山奴隷は 奴隷商人は悪意なのか 娼婦の元締めは?
1. 奴隷解放と「悪意」の選別
俺は大陸中のあらゆる場所にいる「奴隷」と「その所有者」をリストアップしました。
奴隷商人・娼婦の元締め: 彼らは明確な「悪意」です。他人の不幸を金に変え、暴力で支配することを「商売」と言い張る連中。 「……殲滅です。慈悲はいらない」 100万の分身となったジミーとロバートが、大陸全土の娼館、地下競売場、私設監獄に同時に現れました。元締めや悪質な商人は、逃げる暇もなくその場で「掃除」しました。
奴隷・娼婦・鉱山労働者: 彼らは「被害者」です。俺はアンジェさんの魔法を「2の20乗」で広域展開しました。 「聖域の福音」 大陸中のすべての奴隷の鎖が、光となって溶け落ちました。娼婦たちの体の傷と病を癒やし、鉱山で衰弱していた人々の体力を無理やり引き戻しました。
2. 開放の後の「絶望」を救う
ただ放り出すだけでは、彼らはまた飢えて、別の誰かに支配されるか、野垂れ死ぬだけです。それが為政者たちが放置してきた「社会の毒」です。
俺はキャリーさんの転移魔法を使い、大陸各地に**「暁の銀翼・救済センター」**を一瞬で建設しました。
「行き場のない人は、ここへ来てください。温かい食事と、新しい仕事があります。俺たちの国が、あなたたちをすべて受け入れます」
娼婦だった女性たち: アンジェさんとキャリーさんが、彼女たちに魔法の基礎や薬草の知識を教え、薬師や魔導師としての新しい人生を支援しました。
鉱山奴隷だった男たち: ゲイルさんが彼らを導き、平和のための建設作業や、新しい国の防衛を担う誇りある仕事を与えました。
奴隷商人から没収した金: すべてを彼らの再出発資金として分配しました。
3. 「悪意」の定義の再確認
「アレク、奴隷商人の中には『自分も生きていくために仕方がなかった』と泣き喚く奴もいたぜ」 ジミーがゴーグルを拭いながら言いました。
「……誰かの尊厳を奪って生きることを『仕方がない』で済ませるなら、それはもう人間じゃありません。それは、ただの悪意です」
俺は、奴隷商人たちが隠し持っていた「名簿」をすべて焼き捨てました。これからは、誰も誰かの所有物になることはありません。
「ただ自由を与えるだけじゃ足りない。自分の力で生きていくための『知恵』と『技術』こそが、二度と誰にも支配されないための武器になる」
俺は仲間にそう提案し、かつて大聖堂があった広大な跡地と、没収した旧貴族の屋敷をすべて作り変えることにしました。
1. 暁の銀翼・総合職業訓練校の設立
アンジェさんとキャリーさんの魔法、そしてゲイルさんの怪力と「2の20乗」の建築魔法によって、一晩で大陸最大規模の学校が完成しました。
農業・建築科(担当:ゲイル) 「土を耕し、家を建てる。これが生きる基本だ!」 元鉱山奴隷の屈強な男たちや、行き場を失った若者たちに、効率的な農法や、壊れない建物の造り方を教えます。
薬草・治癒魔道科(担当:アンジェ) 「痛みを知るあなただからこそ、誰かを癒やす手になれるのですよ」 元娼婦の女性たちや孤児たちに、身近な薬草の知識や、基礎的な治癒魔法を教え、各地で必要とされる「街の薬師」を育成します。
危機管理・隠密調査科(担当:ジミー) 「騙されないためには、騙す奴の手口を知っておくことだ」 悪意をいち早く察知し、身を守るための護身術や、情報を収集する術を伝えます。これは二度と権力者の暴走を許さないための「民の目」を育てる学科です。
騎士道・リーダーシップ科(担当:ロバート) 「力は、弱きを守るためにのみ振るえ。それが真の強さだ」 新しい国の自警団を担う者たちに、武術だけでなく、誇り高く生きるための精神を教えます。
2. 教育の「2の20乗」並列処理
「一校だけじゃ足りません。世界中にこの知恵を広めます」
俺は「2 de 20乗」の魔力を使い、大陸全土の主要都市に、この訓練校の「分校」を瞬時に転送・設置しました。
無償教育の徹底: 授業料は一切無料。没収した為政者たちの隠し財産を基金として運用します。
言葉と読み書きの普及: 契約書に騙されて奴隷に落ちる者をなくすため、文字の読み書きと計算を必修科目としました。
卒業後のスタートアップ支援: 訓練を終えた者には、農具や道具一式、そして最初の種籾を「暁の銀翼」から支給します。
3. 自立への一歩
数カ月後、学校からは活気ある声が響くようになりました。
かつて地下競売場で目に光を失っていた少年が、今ではゲイルさんの横で汗を流しながら、立派な石壁を積み上げています。娼館で絶望していた女性は、アンジェさんの指導のもと、怪我をした子供に優しく薬を塗っています。
「アレク……俺たちの教え子が、もう街に出て商売を始めたぜ。あいつ、いい顔してたな」 ジミーが嬉しそうに報告してくれました。
「……良かったです。これで彼らはもう、誰の所有物でもない。『自分自身の人生』の主役になれたんだ」
俺は、聖剣を杖代わりに、黄金色に輝く自慢の麦畑を見渡しました。 悪意を殲滅するだけでは、この景色は作れなかった。 教え、学び、自立する。その力こそが、この大陸に真の平和を根付かせる根っこになるのだと確信しました。




